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5/5(日) <力の限界>

名古屋への家族旅行の二日目の目玉は、世界最大のプラネタリウムだ。

目の前に広がる宇宙空間は広大で、吸い込まれるように見入った。

僕の親は旅行に来るたびに何か思い出の品を作るのが好きで、今回の旅行では絵付け体験をした。

僕はお皿にあの異世界の村の風景をイメージしたものを書いた。

これが何か分かるのは、世界に僕だけだ。


家に帰りお風呂に入った後は、旅行で疲れたのか僕はそのままベッドにダイブし寝てしまった。

僕は全身に走る激痛で目が覚めた。

なんだこの痛みは?

なぜか目の前は真っ暗で何も見えない。

首のあたりが特に痛いので触って確かめようとしたが、触った感じがしない。

皮膚感覚が死んだかのようだ。


激痛に耐えながら、ひとまず自分の体を治療するイメージを作り出す。

じわじわと痛みが弱くなり、少しずつ楽になる。

目の周りの治療が済むと、周りが見えるようになった。

窓の外は雨。

僕は床に倒れているようだ。

起き上がろうと手に力を入れたが、なぜか手が床に触れない。

手が床を貫通しているかのようだ。

なにかがおかしい。


治療がすまなければ現状は把握できそうにない。

目を閉じ、自分の治療を優先する。

首、体、腕、腰、足。

治療を進めれば進めるほど、今の状態が見えてきた。

こっち側の僕の体がバラバラに切断されたんだ。


全身が治療でき、ひとまず痛みはおさまった。

服は治癒で治らなかったようで、今の僕は全裸だ。

立ち上がって周りを見る。

雨が降っていて薄暗い。

そして煙のような匂いもする。

足元に黒コゲな何かがあった。

人の形をしているが……もしや……

壁か天井が崩れたかのような、ガラッという音がした。

人の形をした黒コゲの何かには、ネコ耳のような焦げ跡があった。


僕は家を飛び出した。

モダン建築は真っ黒で、窓ガラスは割れ一部の壁は剥がれ落ちていた。

村に立ち並んだ家も真っ黒な炭と化した柱を残してほぼ崩壊していた。


「そんな……なんだよこれ……」


村じゅうを走り回ったが、燃え残った残骸があるだけで人影はない。

僕の国が、僕が居ない間に燃え尽きていた。


村の中で、ひとつだけ燃えていない物を見つけた。

地面に刺してある、大きな旗だ。

その旗には見覚えがあった。

タッセの街を千里眼で見たときに、この旗を見た。

これは、帝国の国旗だ。


「そんなの、駄目だろ。卑怯だろ……」


僕はその場に泣き崩れた。

僕が何も出来ない間に帝国が僕の国を焼き払ったんだ。


僕の力で村を直すしか無い。

村なんて大きいものが直せるかどうか分からないが、村をまるごと直すように力を込める。

足元からじわじわ影響が広がっていき、周囲の家が少しずつ直り始めたが、そこで止まる。

力が足りないのか?

さらに力を込め修復を進めようとするが、直らない。

ダメだ、イメージが足りていないんだ。

僕は千里眼を使って村を見通す。

今の村じゃない、数時間前の村を千里眼で見るんだ。

壊滅する前の村の様子がイメージとなり具体的に頭の中に湧き上がる。

それと同時に、帝国の軍人が村を蹂躙し壊滅する様子も見えた。

僕の村を、僕の国をこんな目に遭わせた帝国め、絶対に許さない。


「直れ、治れ、なおれよ!」


僕の全てのエネルギーを使い果たしても良い、この村だけは治さなくてはならない。

体からエネルギーを絞り出すと、一瞬僕の意識が飛んだ。


気がつくとニャオが僕の顔を見つめていた。

ニャオの目には涙が溢れていた。

悲しみではなく安堵の涙だ。

良かった。村は修復できたんだ――

僕の中で怒りがふつふつと湧き、寝転がったままベッドを何度も殴った。

僕の国をめちゃくちゃにしやがって。

帝国め、絶対に許さない。

どうやって報復するか、僕はベッドの中で朝まで考え続けていた。

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