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都市事変  作者: フカマル
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9/10

金属をも切り裂く一閃

鉄は、身にまとった金属ごと巨大な電磁石に強く引き寄せられていた。


「くそっ……こんなもの、俺には!」


鉄は能力を使い、周囲の金属を操ろうとする。しかし、操ろうとした金属までもが電磁石に引き寄せられてしまう。


「無駄だよ。その電磁石の磁力を、お前の能力で打ち消すことはできない」


僕は鉄を見上げながら言った。


「なるほど。確かにいい作戦だ。最初からこれが狙いだったんだろ?」


「まあ、そういうことでもあるかな」


鉄は困惑した表情を浮かべた。


「僕たちの作戦を説明すれば、きっとわかるよ」


僕は鉄に向かって、ゆっくりと話し始めた。


「僕たちの最終的な目的は、確かにお前をここへ誘い込むことだった。でも、それには三つの懸念点があったんだ」


「懸念点だと?」


「一つ目は、お前の能力が何なのかわからなかったことだ。事前に情報を調べて、ある程度の予想はついていた。でも、確証はなかった。もし金属ではなく、あらゆる物体を操る能力だったら、この作戦は使えなかった」


「だから、わざわざ俺のところに攻め込んできたってわけか」


「そうだ。ジンがお前に能力について尋ねただろ? あのときの会話は、無線機を通して僕にも届いていたんだ。それで確証が持てた」


「俺はお前らのために、ペラペラと喋っていたようなものか……」


鉄は悔しそうに顔を歪めた。


「そして二つ目は、能力の効果範囲がわからなかったことだ。もし金属を一定の距離までしか操れないなら、この作戦は成功しなかった。だから、実際に戦って確かめる必要があったんだ」


「能力の強さが、仇になったというわけか……」


「そういうことだね」


僕は一度、鉄の様子を確認した。


「そして三つ目。鉄、お前が僕たちの想像以上に強かったことだ」


「……何?」


「正直に言うと、僕たちはタワーでジンがお前を倒してくれると思っていた。ジンの剣術なら勝てると、本気で信じていたんだ。でも、お前の能力も、その使い方も、僕たちの予想を超えていた」


「だからジンは、お前にゴミ処理場へ向かうよう指示したのか」


「ああ。ジンは勝つつもりだった。でも、万が一のことも考えていたんだ。だから第二の作戦に切り替えられるよう、僕に先に向かうよう伝えた」


僕は隣にいるジンを見た。


ジンは小さく頷いた。


「能力の範囲を確かめるために、ジンが至近距離まで切り込んだときも、お前は反撃してきた。その結果、ジンは大きなダメージを負った」


「だが、そのおかげでお前の能力と効果範囲を知ることができた。そういうことか」


「そうだ。ジンが時間を稼いでくれたからこそ、この作戦は成功したんだ」


僕は鉄を見上げ、声を張り上げた。


「もうお前に勝ち目はない! 降参しろ!」


「……そうだな。ここまでかもしれないな」


鉄は静かに答えた。


僕は、ようやく決着がついたのだと思った。


しかし、その直後だった。


バチッ――!


突然、電磁石から火花が散った。


次の瞬間、電磁石の電源が落ちた。


「なっ……!」


それまで引き寄せられていた金属が、一つ、また一つと落ち始める。


「くそっ……発電機の電力が尽きたのか!」


強力な磁力を維持するために、大量の電力を消費していたのだろう。ついに限界を迎えてしまったらしい。


「なんで今のタイミングで……!」


僕は思わず声を漏らした。


磁力が弱まったことで、鉄の身体も少しずつ落ちていく。


「最後の最後でしくじったな……。やはり、金属こそ絶対だ」


鉄は能力を使い、周囲の金属をかき集めようとした。


しかし、その瞬間だった。


横からジンが飛び出した。


「もう負けねぇ。今度こそ、絶対に!」


空中にいる鉄に向かって、ジンは剣を振りかぶった。


「させるか!」


鉄はどうにか身を守ろうと、能力を使って目の前に巨大な金属の塊を作り出した。


「どうだ! これなら斬れまい!」


ジンは剣を強く握り直した。


タワーで敗北したとき、自分の剣が鉄の鎧に通用しなかったことを思い出す。


あのときは、どれだけ剣を振るっても金属を斬ることはできなかった。


だが、もうあのときとは違う。


これまでの戦いで、ジンは何度も強敵と刃を交えてきた。


力任せに剣を振るうだけでは、越えられない壁があることも知った。


(……待てよ)


ジンは目の前の巨大な金属の塊を見つめた。


(鉄だって物体だ。だったら、力の使い方を変えれば……斬れるはずだ!)


これまでの戦いで得た経験が、ジンの中で一つにつながっていく。


ただ力を込めるだけではない。


今まで身につけてきた剣術を信じ、自分の力を最大限に引き出す。


そのすべてを、この一撃に込める。


「今やらなくて、いつやるんだよ……!」


ジンは腰を深く落とし、剣を両手で強く握りしめた。


これまでとは違う構えだった。


(もうミナトに支えられてばかりの俺じゃねぇ……)


(今までの戦いで得たもの、全部この一撃にぶつけてお前を倒す!)


ジンの表情には、迷いなど一切なかった。


「お前の金属なんて関係ねぇ!」


ジンは地面を強く蹴った。


その一瞬、ジンの動きが変わった。


これまで積み重ねてきた経験と剣術。そのすべてを込めた一撃が、巨大な金属の塊へと振り下ろされる。


「うおおおおおおおおっ!!」


ガァァァンッ!!


凄まじい衝撃音が、ゴミ処理場に響き渡った。


僕は思わず目を見開いた。


そして――


巨大な金属の塊は、真っ二つに切り裂かれていた。


「なっ……!?」


鉄の表情が驚愕に染まる。


ジンは剣を振り抜いた姿勢のまま、ゆっくりと顔を上げた。


「……これで終わりだ、鉄」

いつも読んでくださってありがとうございます!


今回のお話で、ひとつの戦いが終わりましたね。

少し長くなってしまったかな? とも思っています(笑)。


シオン、ジン、そしてミナト。

この3人のキャラクターはどうでしたか?


1人でも「好きだな」「かっこいいな」と思ってもらえていたら、とても嬉しいです!


次回からのお話も頑張って書いていきますので、これからもどうぞよろしくお願いします!

追記 コメントをくれるととても励みになります!

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