新たなる2つの脅威
巨大な金属の塊が、ゆっくりと左右に崩れ落ちていく。
それを見た鉄は、信じられないものを見たかのように目を見開いていた。
「バ、バカな……俺の金属を……斬った、だと?」
ジンは剣を構えたまま、鉄を見据えていた。
「これで終わりだ、鉄」
その光景を、僕はただ呆然と見つめていた。
タワーで戦ったときとは比べ物にならない剣術。剣の速さも、力の使い方も、何もかもが違っていた。
たったこれだけの時間で、ここまで成長するなんて……。
ジンは剣を構え直すと、鉄に向かって強烈な一撃を叩き込んだ。
「ぐはぁっ!」
鉄の身体が強く地面に叩きつけられる。
「もうミナトに負けた姿は見せられないんでね」
ジンはそう言いながら、地面に着地した。
「ジン! 今のすごかったぞ!」
僕はたまらずジンに話しかけた。
「それは嬉しいんだが、ミナト。こいつをどうにかするのが先だ」
そう言って、ジンは鉄の方を指さした。
そうだ。鉄をどうにかしておかないと。
今は気絶しているようだが、またさっきのように動き出してしまったら、今の僕たちでは勝ち目がないかもしれない。
僕はポケットから、あるアイテムを取り出した。
「それは?」
「特異者殺しの手錠さ」
この手錠は、ある個人業者が作ったとされる特殊な手錠だ。
装着された特異者は、能力を使えなくなるという。
どういう原理で能力を封じているのかはわかっていない。
一説によると、その個人業者自身も特異者であり、自分の能力をこの手錠に込めているとか、いないとか。
でも一つこの手錠には問題がある、装着するまでに
時間がかかる、なので今回みたいな相手は気絶しているなどの特定の場面でしか使えない
僕は慎重に鉄の腕へ手錠を装着した。
「しばらくすれば能力は使えないはず」
とはいえ、手錠だけで安心することはできない。
念のため、僕たちは鉄の身体を縄でしっかりと縛っておいた。
「これでひとまず大丈夫かな……」
僕たちは鉄から少し距離を取り、シオンや警察の到着を待つことにした。
しかし、そのときだった。
ピシッ……。
突然、空中に小さな亀裂が走った。
「……ん?」
僕が見上げると、その亀裂は徐々に広がり、やがて大きな裂け目へと変わっていった。
「おいおい、なんだよあれ!」
ジンが驚いた声を上げる。
「わからない。でも、やばいのは確かだ」
裂け目の向こう側は、真っ暗で何も見えなかった。
そして、その中から一人の男が姿を現した。
男はゆっくりと地面に降り立つと、僕たちには目もくれず、鉄の方へと歩いていった。
「お前が……」
男は鉄の前で立ち止まり、何かを呟いた。
だが、その声は僕たちには聞こえなかった。
「おい! お前、何者だ!」
ジンが叫ぶ。
しかし、男は答えない。
そのまま鉄の身体を掴むと、空中に開いた裂け目へ向かって歩き始めた。
「おい! 何を持っていくつもりだ!」
「そいつを返せよ!」
ジンが叫ぶが、男は一切聞く耳を持たない。
そして、鉄を連れたまま裂け目の中へと消えていった。
数秒後、空中の亀裂は跡形もなく消え去った。
「くそが……!」
ジンは悔しそうに拳を握りしめた。
あいつはいったい何者なんだ。
なぜ、裏四天王の一人である鉄を連れ去った?
何の目的があって、あんなことをしたんだ?
いくら考えても、答えは見つからなかった。
「とりあえず、あの老人……さやさんだっけ? に報告しないとだろ?」
ジンが僕に尋ねた。
「そうだね。まずは状況を伝えよう」
そう答えた直後、僕のポケットに入れていた携帯電話が鳴った。
画面を見ると、シオンからの着信だった。
「もしもし、シオン? どうしたの? こっちは色々あったんだけど……」
『ミナト……』
電話越しのシオンの声は、いつもと違っていた。
「どうしたの?」
『さやさんが……さやさんが……』
「ん? さやさんがどうかしたの?」
しばらくの沈黙。
そして、シオンは震える声で告げた。
『さやさんが、奴らに……』
「奴ら?」
『残りの裏四天王の3人に……殺されたの』
「……え?」
僕は言葉を失った。
手に持っていた携帯電話を、強く握りしめる。
さやさんが……殺された?
いったい、何が起きているんだ……。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
これからも面白い、読んでよかった!と思えるような
物語を書いていけるように頑張りますので
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