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都市事変  作者: フカマル
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8/11

鋼鉄を誘い込む罠

僕はひたすら走り続けていた。


背後からは、金属同士が激しくぶつかり合う音が聞こえてくる。


ジンは大丈夫だろうか。


そんな不安が頭をよぎる。


けれど、今は振り返っている場合じゃない。


僕がやるべきことは、あの作戦を成功させることだ。


「シオン、聞こえる?」


僕は通信機に向かって声をかけた。


『聞こえてるよ。そっちはどう?』


「今、ゴミ処理場に向かってるよ。ジンが鉄を引きつけてくれてる」


『そっか……。こっちも準備はできてるよ』


シオンの声を聞いて、少しだけ安心した。


だが、もう一つ伝えておかなければならないことがあった。


「あ、そうだ。シオン、一つお願いがあるんだけど」


『お願い?』


「タワーの下で待機していてほしいんだ。もしジンに何かあったら、車でゴミ処理場まで連れてきてほしい」


『……分かった。任せて』


「ありがとう。頼んだよ」


通信を終えると、僕は再び走り出した。


あとは、鉄をあの場所まで誘い込むだけだ。


やがて、目の前に巨大な施設が見えてきた。


僕はその建物を見上げる。


――ここからが本番だ。


「よし、これなら……」


僕は目的のものを探すため、施設の奥へと向かった。


⸻


その頃、ジンは鉄と互角ともいえる戦いを繰り広げていた。


鉄が次々と放ってくる剣や槍。


ジンはそれらを弾き、時には身をひるがえしてかわしていく。


しかし、いくら攻撃をしのいでも、鉄との距離を縮めることができない。


「くそっ、これじゃらちがあかねぇ!」


ジンは何とか鉄の懐に潜り込もうと、相手の動きを注意深く観察していた。


「てか、なんだよその能力! ずりぃだろ!」


攻撃をかわしながら、ジンが叫ぶ。


「教えてやろうか? この能力を」


鉄は余裕のある表情で答えた。


「俺の能力は金属を操ることだ。浮かせたり、投げたり……金属であれば何でもできる」


鉄の周囲に浮かぶ剣や槍が、ゆっくりと動き始める。


「この力で俺は今の地位まで登り詰めたんだ」


そして、鉄はジンを見下ろすように言った。


「人は裏切っても、金属の硬さや強さは俺を裏切らねぇ」


その言葉を聞いた瞬間、ジンは鉄に向かって斬り込んだ。


「だったら、その金属ごとぶっ壊してやるよ!」


しかし、その一撃が届くことはなかった。


鉄の目の前に、突如として巨大な鎧が現れたのだ。


ガキィン!!


ジンの剣は鎧に阻まれ、激しい金属音が響き渡る。


「なっ……!」


「お前に俺は倒せねぇよ」


鉄がそう言い放つ。


次の瞬間、鉄の操る刀がジンに向かって飛んできた。


「うっ……!」


ジンは避けきることができず、腹部に攻撃を受けた。


「少しはやると思ったのに、そこまでか?」


ジンの呼吸が乱れる。


「はぁ……はぁ……。ミナト、すまねぇ……」


ジンは苦しそうに息を吐いた。


「俺一人の力じゃ、こいつに勝てねぇ……」


その場に立つのもやっとの状態だった。


「何人で向かってきても一緒だ。俺と金属の強さには勝てない」


鉄はゆっくりとジンに近づいてくる。


「最後に言い残すことは?」


「……まだ終わってねぇ」


そう言うと、ジンは残った力を振り絞り、勢いよく走り出した。


「往生際の悪いやつだ」


鉄はジンを追いかけ始めた。


(ミナトのところに……あいつを連れていかねぇと……)


ジンの体力は、すでに限界に近づいていた。


それでも、ミナトとの約束が彼を突き動かしていた。


背後からは、鉄の足音が迫ってくる。


「約束……守らねぇと……」


足を引きずりながら、ジンは何とかタワーの入口までたどり着いた。


だが、もう鉄はすぐ後ろまで迫っていた。


「ここまでか……」


ジンが諦めかけた、その時だった。


「ジン! 何やってんの、あんた! って、その傷、大丈夫なの!?」


そこにはシオンが立っていた。


「お前……なんでここに?」


「ミナトに頼まれたのよ。詳しい話は後! 早く乗って!」


シオンは急いで車のドアを開けた。


ジンは彼女に支えられながら、なんとか車に乗り込む。


シオンはすぐに車を走らせた。


⸻


「で、なんであそこにいたんだよ……」


応急処置を受けながら、ジンが尋ねた。


「ミナトがね。『ジンは負けないと思う。でも、何かあった時のためにタワーの下で待っていてほしい』って」


「そうか……ミナトが」


ジンはそっと微笑んだ。


「まったく、心配性なやつだな」


「ふふっ。あんたのことを信頼してるんでしょ」


シオンは前を向いたまま答えた。


「さぁ、もう着くよ。作戦通り、あいつを倒してきてよ?」


「ああ。ミナトにも色々言うことがあるしな。必ず倒すさ」


そう言い残し、ジンは車を降りた。


そして、ゴミ処理場の中へと消えていった。


⸻


その頃、鉄もゴミ処理場へとたどり着いていた。


周囲を警戒しながら、施設の中へと足を踏み入れる。


すると、奥に二人の姿が見えた。


そこには、ジンとミナトが待ち構えていた。


「逃げなくてよかったのか?」


鉄が不敵に笑う。


「逃げるわけないだろ。ここでお前を倒すんでね」


ジンが剣を構える。


「お前と、そこの俺に負けた剣士で、どうやって勝つって言うんだ?」


鉄は二人を見比べながら、余裕の表情を浮かべた。


その言葉を聞いたミナトは、静かに機械のレバーへと手を伸ばした。


そして、一気にレバーを動かす。


ガコンッ!!


施設の奥に設置された巨大なクレーンが動き出した。


「……なんだ?」


鉄は警戒し、すぐさま自分の身体を鉄の鎧で覆った。


その瞬間だった。


ゴォォォン!!


巨大なクレーンに取り付けられた電磁石が作動し、凄まじい磁力が発生した。


「なっ……!?」


鉄の身体が大きく揺れる。


次の瞬間、身にまとった鉄の鎧が磁力に引き寄せられ、鉄の身体ごと宙へと持ち上げられ始めた。


「ぐっ……! なんだこれは!?」


鉄は必死に能力を使い、鎧を動かそうとする。


しかし、巨大な電磁石の力はあまりにも強かった。


「この電磁石はあまり持たない代わりに

とても強いんだ」


「くそっ……! 俺の能力が……!」


その様子を見て、ミナトは静かに口を開いた。


「それが狙いなんだよ」


鉄を引き寄せる巨大な磁力。


それこそが、僕たちの作戦だった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!


感想やコメントをいただけると、今後の執筆の大きな励みになります。

気になったことや、考察なども気軽にコメントしていただけると嬉しいです!


これからもよろしくお願いします!

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