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都市事変  作者: フカマル
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5/10

歓迎される来訪者


 今回の作戦における配置は、こうだ。


 ジンと僕が椿タワーに向かい、黒石鉄と接触する。そして、シオンが事務所から監視カメラなどを通じて敵の動きを確認し、僕たちをサポートする。


 作戦の要となるのは、シオンの情報収集能力と、僕たち二人の戦闘力だ。


 椿タワーに向かって走っていると、無線機からシオンの声が聞こえてきた。


「ミナト、ジン、聞こえる?」


「あぁ、聞こえてるぜ、シオン」


「こっちも聞こえてるよ」


「聞こえてるならよかった。監視カメラで確認しているけど、今のところ異常はないわ。何か変わったことがあったら、すぐに連絡するから」


 やはり、シオンは頼りになる。


「うん。よろしく頼むよ」


 そんなやり取りをしているうちに、僕たちは目的地に到着した。


 椿タワー。


 黒石鉄が拠点としている場所だ。


「本当にここにいるのか? あいつ」


「シオンが調べてくれたんだ。間違いないよ」


「だといいけどな……」


 ジンは少し疑わしそうな顔をしながら、目の前の建物を見上げた。


 椿タワーは、いかにも普通の高層ビルといった外観だった。


 裏四天王の一人が潜んでいる場所だとは、とても思えない。


 僕たちはガラス張りの自動ドアをくぐり、建物の中へと足を踏み入れた。


 中は白を基調とした清潔な空間だった。床には白い大理石が敷き詰められ、天井の照明がその表面を美しく照らしている。


「なんか普通だなー。裏四天王がいるとは思えねぇ」


 ジンが周囲を見渡しながら、つまらなそうにつぶやいた。


 確かに、見た目だけなら普通の企業が入っているビルと何も変わらない。


 僕は周囲を見渡し、受付があることに気づいた。


 とりあえず、あそこに聞いてみよう。


 僕たちは受付へと歩いていった。


「すみません。僕たち、用事があって黒石鉄さんに会いたいんですけど……」


 受付にいた女性は、僕たちの顔を一度見てから、にこやかに微笑んだ。


「黒石ですね。でしたら、あちらのエレベーターで最上階までお上がりください。おそらく、そこでお会いできると思いますよ」


 あまりにもあっさりとした返答だった。


「ありがとうございます」


 僕はお礼を言い、ジンと一緒にエレベーターへと向かった。


 エレベーターに乗り込むと、ジンが小声で話しかけてきた。


「おい、ミナト。明らかに怪しいだろ、これ」


「それはわかってるんだけど、これくらいしか会う方法がないと思って」


「もっと何かあっただろ……」


「今さら言われても困るよ」


「はぁ……。本当に大丈夫なんだろうな」


 そんな軽口を叩き合いながら、僕たちはエレベーターの到着を待った。


 しかし、僕はまだ気づいていなかった。


 受付の女性が、僕たちの姿を見送ったあと、笑顔を消したことに。


 女性は周囲を確認すると、静かに電話を取り出した。


「黒石様。例の二人が到着しました」


 電話の向こうから、低い男の声が返ってきた。


『そうか。報告ありがとう』


「いかがいたしましょうか?」


『決まっているだろう』


 男は、どこか楽しそうに笑った。


『せっかく来てくれたんだ。歓迎してやらないとなぁ……』


 電話が切れる。


 女性は何事もなかったかのように受話器を戻し、再び受付の笑顔を浮かべた。


 一方、その頃。


 椿タワーの最上階では、大勢の男たちが武器を手にして待ち構えていた。


 刀、槍、金属製の盾。


 そのどれもが、普通の人間を相手にするには十分すぎるほどの装備だった。


 そして、その部屋の奥。


 一人の男が、窓の外に広がる街並みを眺めていた。


 黒石鉄。


 裏四天王の一人である。


「さて……どんな顔を見せてくれるかな?」


 鉄が指先を軽く動かす。


 すると、部屋の隅に置かれていた金属製の椅子が、音もなく床から浮かび上がった。


 鉄はそれを一瞥すると、口元をわずかに緩めた。


「楽しみだなぁ……」


 その頃、エレベーターの中では――。


 僕たちは、これから待ち受ける危険など知る由もなかった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!


感想やコメントをいただけると、今後の執筆の大きな励みになります。

気になったことや、考察なども気軽にコメントしていただけると嬉しいです!


これからもよろしくお願いします!

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