作戦開始
その後、僕たちは依頼料や、仕事にかかるであろう期間などを老人と話し合った。
話し合いを進めていくうちに、期間やお金のことは僕たちに任せるという結論に至った。
助かった、と僕は思った。
お金に関しては今のところ困っていないので問題ない。だが、期間に関しては別だ。
もし「1週間以内に全員倒してくれ」なんて言われていたら、どうしようかと途方に暮れていただろう。
そんなこんなで話がまとまり、老人を見送ろうと席を立ったときだった。
「てか、名前なんて言うんだ?」
ジンがそう尋ねた。
そういえば、まだ名前を聞いていなかった。
ずっと老人と呼ぶのもいろいろと不便だろうし、ジンが聞いてくれて助かった。
「確かに、なんて言うんですかー?」
シオンも気になっていたらしい。
「そうじゃな。名前を知らないといろいろと困るし、教えておいた方がよさそうじゃ」
老人はそう言うと、口を開いた。
「みくらさやが、わしの名前じゃ」
「みくらさやさんかー。さやおじさんって呼ぼうかな?」
「どんな呼び方でも、わしは大丈夫じゃ」
シオンは人付き合いが上手いなぁ、と僕は感心した。
そのまま僕たちは、さやさんを見送った。
「さて、これからどうしようか」
「まさかミナト、お前、何も考えなしに依頼を受けたんじゃないだろうな?」
「え? その通りだけど」
「はぁ? お前ってやつは……」
ジンの言う通りだ。
なんの計画もなしに、とんでもない依頼を受けてしまった。
まぁ、でも後悔はない。
さやさんのあの話を聞いて、放っておけるわけがない。
「とりあえず、私は裏四天王について調べてみるね!」
「うん、シオン。頼むよ」
「俺はそいつらに備えて、稽古でもするかな」
こうして、僕たちはそれぞれ行動を始めた。
それから1週間が過ぎた。
シオンは今日も、裏四天王について調べていた。
「今日も夜遅くまで裏四天王について調べてるの?」
「あ、ミナト起きてたのね、そうよ今日も調べてるの」
「それでシオン、裏四天王について何かわかった?」
「そうね。情報は出てきたんだけど……」
シオンは少し難しそうな顔をした。
「裏四天王の4人のうち、1人の情報しか見つからなかったの。他の3人については、まったく情報が出てこないのよ」
「情報が抹消されてるってこと?」
「そうなるわね」
まぁ、そうだろうなと薄々感じていた。
普通に生活していても、裏四天王の情報なんてほとんど耳にしたことがない。
「で、その情報が出てきたっていう1人はどんなやつなんだ?」
ジンが尋ねた。
「名前は黒石鉄。2年前の鍛冶屋襲撃事件の首謀者と言われているわ」
あの事件は覚えている。
鍛冶屋で作られた刀や防具などが、短時間のうちに盗まれた事件だ。
目撃者によると、金属が宙に浮いていたとか、自分のベルトが何かに吸い寄せられたとか、さまざまな証言があったらしい。
ただ、結局のところ詳しいことはよくわかっていない。
「で、そいつの拠点はわかったの?」
「当たり前よ。私をなんだと思ってるの?」
さすがシオンだ。
おそらく監視カメラの映像を解析したり、聞き込みを行ったりしたのだろう。
「ここね。椿タワーってところ」
「黒石鉄が定期的に出入りしてるし間違いないわ」
シオンがマップに場所を表示した。
画面に映し出された場所を見て、僕は驚いた。
「あのゴミ処理場の近くにあるのか……」
依頼などで出たゴミを処理するとき、僕たちがよく利用する処理場。
そのすぐ近くに黒石鉄の拠点があるとは思わなかった。
でも、これは利用できる。
「ジン、作戦を思いついたから聞いてほしい」
「おっ、やっとか。どんな作戦なんだ?」
「こうゆう作戦はどうかな?」
…………
「マジで言ってる?」
「ミナトらしいっちゃ、らしいが……」
「これしかないと思うんだ。奴を倒す方法は」
「まぁ、そこまで言うなら……」
そして、作戦当日。
「じゃあ、みんな作戦通りで!」
2人が同時にうなずいた。
「それじゃあ、作戦開始!!」
僕たちはそれぞれ、作戦通りに動き出した。
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