表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
93/115

キラービーとの初対面

第七階層へと降り立つと、そこには事前の動画情報で見た通り、どこまでも続く穏やかな草原が広がっていた。吹き抜ける風の音に混じり、時折「ブゥゥゥン」という、空気を切り裂くような鋭い羽音が鼓膜を叩く。


動画情報によれば、この階層に出る『キラービー』もロンリータートルほどではないが単独行動が多いという。悠太は不測の事態に備え、いつでも逃げ込めるよう転送装置からなるべく離れず、周囲に仲間がいない孤立した個体を探した。


少し進むと、草花の影で羽を休める一匹を発見した。


大きさは一メートルほど。外界のスズメバチをそのまま巨大化させたような姿で、その腹部の先には見るからに禍々しい毒針が鈍い光を放っている。


(あんなものに刺されたら、ひとたまりもないな)


悠太は予定通り、自分の近くに『キューブ』を三つ構築。一辺が二メートルほどの透明な立方体が、草原の上に整然と並ぶ。魔素の消費量は一つにつき90。三つで合計270だ。キラービーは外界のハチと同じく、敵とみなした獲物を執拗に襲う習性があるらしい。


「行動パターンが読みやすいのは助かる」


スピードそのものはガルーダにも匹敵するが、知能は低く、飛び道具もない。キラービーとの直線上に並べたキューブを確認し、深呼吸してから手近な石を相手へと投げつけた。


コツン、と乾いた音が響く。


攻撃されたと認識した瞬間、キラービーの複眼が赤く光り、羽を一気に加速させる。一直線に悠太へと突っ込んでくるその弾丸のような軌道上に、まずは一つ目のキューブが起動した。


キラービーは勢いよく透明な壁に衝突し、そのまま閉じ込められた。狭い檻の中で狂ったように暴れ回り、鋭い針を何度も壁に突き立て、十秒ほど持ち堪えたところでキューブは無数の亀裂が走り爆散した。


自由を取り戻したキラービーが、さらに速度を上げて襲いかかる。悠太は二つのキューブの陰に隠れるように移動。

執拗に攻撃を仕掛けようとするキラービーは迷うことなく、二つ目の透明な檻へと飛び込んでいく。


だが、一個目同様やはり、パリーンと嫌な音を立てて、二つ目のキューブもわずか数秒で粉砕された。散らばる魔素の欠片を突き抜けて、キラービーの針が悠太の喉元をかすめた。


「あっぶねぇ!また壊された。くそ、攻撃が速すぎる!」


悠太は冷や汗を流しながら、三つ目のキューブへと誘導する。常にキラービーと自分の間にキューブがくるよう、足元の草を蹴りながら焦らず冷静にステップを踏む。

三つ目が起動し、再び敵を閉じ込めた。


今度こそと願ったが、キラービーは甲高い羽音を立てて旋回しながら、キューブの隅から隅まで余すところなく体当たりを続ける。


そして、三つ目のキューブもキラキラと光りながら消滅。そのきらびやかな演出が無性に腹立たしい。


「いい加減にしてくれよ……」


悠太はバックステップを踏みながら、魔素を振り絞り、あらかじめ構築していた四つ目のキューブへと誘導。

罠の成功が先か、魔素が尽きるのが先か、常にリソースがなくならないよう予備がある状態を保ち続ける。もはや怒りの権化と化したキラービーの羽は、熱を帯びて赤みを帯びていた。


四つ目のキューブが発動。


「よし!こんどこそ最後だ!」


キラービーが突進し、四度目の拘束。悠太は辺りに気を配りつつ、キューブの収縮を祈るように見つめる。


「もう動くな…」


閉じ込められたキラービーは、最後の一撃と言わんばかりに針を何度も突き立てるが、四度目の檻の中でついに体力を使い果たしたのか、数瞬後、破壊することができず、キューブとともに光の粒子となって消えていった。


結果として、一匹を討伐するのに使用したキューブは四つ。


罠としての成功率はわずか25%。


「予想はしてたけど、きついなぁ。一匹倒すだけで消費魔素360か。次はもっとかかるかもしれないし……。ピクトグラムよりはマシだけど、リスクも高いし、これじゃ先が思いやられる」


その後も同じ方法を繰り返し、神経を研ぎ澄ませたまま三時間ほど戦い続けた。成功率はやはり、二割、三割といったところ。


結果、討伐できたのは五匹。魔石は一つ三千円程度の価値があるため、一万五千円の儲けだ。金額だけ見れば悪くないが、いつ刺されるかわからない極限状態での三時間は、肉体的にも精神的にも悠太を激しく消耗させた。


「今日はここまでにしよう……」


魔素の残量も限界に近い。悠太は重い足取りで転送装置へと戻り、第七階層を後にした。夕闇が迫る静岡の街へ戻る頃には、悠太の全身は疲労感に包まれていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
読みながらポケモンGoでボール投げてた時の気分を思い出した(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ