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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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決戦前夜

明日はいよいよ第八階層のフロアキーパー『剣豪』に挑む。


どんなに実力をつけ新しい罠を取得しようとも、階層の主と初めて対峙する前日の緊張感は何度経験したところで決して慣れるものではなかった。

アパートの六畳間の天井を見上げ、悠太は落ち着かない様子で部屋の中をウロウロと歩き回る。


「うーん、まず一つ一つ確認だ」


思考を整理するため、ベッドの縁に腰掛けて現在の持ち駒を脳内のチェス盤に並べていく。


まずは『落とし穴』


事前情報によれば、剣豪と戦うステージは歴史ある剣道場のような広々とした木造空間らしい。床は一面が丁寧に磨かれた板の間だ。

先日の訓練施設での検証でも分かった通り、人工的な床では落とし穴の周囲との擬態効果は大きく落ちてしまう。


「まぁ、まず引っかかってはくれないだろうし、戦闘が長引いて俺の消費魔素が減ってきたら、罠自体が維持できなくなって発動すらしない可能性もあるけど……」


それでも悠太は落とし穴を設置しておくことにした。なぜなら、罠使いの特性として設置するだけならタダ(魔素消費0)だからだ。

落ちてくれたら超ラッキー、落ちなくても相手の移動経路を狭めるブラフにはなる。置いて損はない。


次に、一番の悩みどころである『キューブ』


素のスピードの剣豪にはまず役に立たないだろうが、『アンダーマイン』が決まり、脚と腕の二箇所を同時に拘束することができたなら、捕食が成功する可能性はあるかもしれない。


「ワンチャンいけるかもだけど、第八階層のボスクラスだと、一発の消費魔素がどれだけ跳ね上がるか分からないんだよな……」


これが罠使いの最もシビアな仕様だった。

各罠の正確な消費魔素だけは攻略動画やサイトなどで事前に知ることは不可能。実際にその魔物と対峙し、罠を設置してみるまでシステム的な消費量の全貌は分からない。

もし、キューブ一発で相当な魔素を持っていかれるようなら連発はできない。

だが、試す価値はある。


「保険として一つ置いとくのはありかも」


そして、中へ入ると同時に設置が必須なのは『アンダーマイン』と『ウッルの目』。

この二つは初動の生死を分ける重要なポイントだ。


続いて『スネア』

魔素ワイヤー式のくくり罠であるこれも、一応は仕掛けてみることにした。剣豪のパワーならすぐに引きちぎられるだろうが、数秒でも足止めできれば、そこへウッルの目の狙撃を叩き込む決定的な隙が生まれるかもしれない。


そして、『バネ床』は防御壁として有効に機能してくれるはず。飛燕を防ぐ方法はこれしかないだろう。ただ、剣豪の攻撃に耐えうる強度が必要なので、その消費量は未知数だ。


「今回も結局『ピクトグラム』の出番はなしか。発動条件が厳しすぎるんだよな……」


地上だけでなく空中にも散りばめられる九枚のカードを全て起動しなければならないこの罠は、ガルーダのような飛行タイプの相手でなければまず成功しない。


「使えれば一撃必殺なんだけどなぁ…」


誰もいない部屋で小さく愚痴を漏らす。


「よし、あとは」


悠太は床に置いたバックを開け、中身を一つずつ手にとって確認していく。


明日の戦いを克明に記録するための撮影用『ドローン』

自身の立ち回りの復習用でもあるが、しばらく動画配信していなかったので、今回は公開も視野に入れた撮影をするつもりでいた。


近所の激安スーパーで箱買いしたペットボトルのお茶を二本、財布、スマホなど、一通りの持ち物を詰め終え、最後に最も重要な二つのアイテムを手に取る。


まずはレベル2に上がったばかりの『パリィクロス』

カバンの中にしっかり四つの漆黒のロザリオが入っていることを確かめる。


そして、緊急脱出用の『帰還石』

これさえあれば、最悪の事態になってもダンジョン外へ強制転移できる。


「パリィクロスよし! 帰還石よし! ドローンよし!」


東郷から貰った二百万の『魔素誘発薬』も、しっかりとジャージのポケットに忍ばせた。


もう、やれる準備はすべてやった。あとは明日、自分の戦略と進化した罠達を全てぶつけるだけだ。


興奮と緊張で弾みそうになる鼓動を意識的に鎮め、悠太はいつもより早い時間に電気を消してベッドへと潜り込んだ。


フルフェイスのマスクを被り、死神のローブを翻して戦う、そんなコミカルな装いとは裏腹に悠太の表情はいつになく真剣だった。

孤独なソロ探索者の夜は静かに更けていった。


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― 新着の感想 ―
雑魚相手でもいいから使わないとレベル上がらないからずっと使い勝手悪いままなのでは?
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