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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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準備完了

木製の引き戸を勢いよく開け放つと、目の前に広がる薄暗い庭園に早くも二体の流浪人が静かに待機していた。


開いた扉から差し込む外光が彼らの不気味な赤い瞳を捉える。二体は悠太の姿を視認するやいなや、示し合わせたかのように同時に地を蹴り、一直線にこちらへと迫ってきた。


前方の左右から、それぞれ凄まじい風切り音を立てて加速する流浪人。


これまでの悠太であれば、反射的に後退しながらバネ床やアンダーマインを駆使したコンボで対応するところだった。しかし、今の悠太にその必要はない。


キィン――!


流浪人の凶刃が悠太の鼻先に届くよりも遥か手前、庭の植え込みの影や敷地を囲む外壁から無数の『瞳』が鋭い視線を収束させた。直後、大気を引き裂くような不可視の銃撃が二体へと一斉に放たれる。


凶悪な破壊力を秘めた魔素の銃弾は加速していた流浪人の巨体を容赦なく吹き飛ばす。

銃弾とは思えないほどの衝撃に土煙を上げながら倒れ込む流浪人。

驚異的な耐久力でなんとか態勢を整え、悠太を見据えて這い上がろうとするも、その足掻きは意味をなさなかった。


容赦ない追撃の銃弾が再び彼らの脳天へと降り注ぐ。抗う術もなく肉体を撃ち抜かれた二体は、そのままサラサラとした光の粒子へと変わり、夕闇に消滅した。


「まず二体…」


悠太は小さく呟くと、すぐさま屋敷の中へと土足で踏み込んだ。


ここからは時間との戦いだ。板張りの廊下をドタドタと激しい足音を立てて駆け抜け、左右に並ぶ襖や格子戸を次々と力任せに開け放っていく。


暗がりの中で身構え、侵入者である悠太を視認した瞬間に流浪人たちは不意を突かれたように身構えるが、彼らが刀を抜くよりも早く、空中から無慈悲な銃弾が正確にその急所を撃ち抜いていく。


土間、居室、縁側、厠、さらには奥にある離れに至るまで、悠太は屋敷の隅々までを隈無く一気に回りきった。死角から飛び出してくる流浪人も、ウッルの目の広大な視界の前にはただの的でしかない。屋敷の構造を完全に把握していたことも功を奏し、次々と魔素の弾丸を叩き込んで、合計十体の流浪人を瞬く間に討伐した。


「ふぅ……終わりか?」


静まり返った屋敷の中で、悠太は脳内に表示されているタイマーへと目を向けた。


クリアタイムは『3分22秒』


最後の一体を光の粒子へと変えたその瞬間、頭の中に残されていた制限時間は38秒を表示していた。


「これなら、もう一軒いけるか」


ウッルの目の効果時間が残っているうちに、悠太はすぐさま屋敷を飛び出した。隣接する街道沿いには、同じような構造の武家屋敷がいくつも並んでいる。


「たのもー!」


誰に言うでもなく声をかけると同時に、武家屋敷の扉を思い切り蹴り開け放つ。

突如として乱入してきた死神に、屋敷の住人である流浪人たちが咄嗟に構えるも、すでに照準を合わせ終えているウッルの目は容赦しない。残りの魔素をフルに使い、文字通り屋敷の住人(流浪人)たちを徹底的に蹂躙していった。


一度スキルを発動してしまえば、複数の罠を組み合わせる必要がないため精神的な疲労も段違いに少ない。


「やっぱりこの狩り方が一番だな」


この日を境に、悠太は数日間にわたって何軒もの武家屋敷を襲撃し、ウッルの目で一網打尽にするという経験値稼ぎを繰り返した。

キラービーの巣と同じく一度殲滅した屋敷はしばらく復活しないものの、巣に比べて数は多い。


効率的な各個撃破による討伐。武家屋敷を探し回り、そんなループをひたすら続けたある日、ついにその努力が結実する。


頭の中に、響き渡ったのは聞き慣れた高らかなアナウンス。


『【ウッルの目】の熟練度が一定値に達し、レベル4に上昇しました』


「きた! きた!ウッルの目レベルアップ!」


悠太は思わず拳を握りしめ、安全な場所に身を隠してからステータス画面を開いた。


期待を込めて詳細を確認したものの、残念ながら設置時間や発動時間に変化は見られず、四分間という時間制限はそのままだった。


しかし、その下に書かれていた一文を見て悠太は驚きに目を見張る。


--------------

『ウッルの目』Lv4

特殊効果:目の数+2 → 目の数+8(NEW)

--------------


「目の数がプラス8…!?」


これまで稼働している目の数はせいぜい十数個。それが一気にプラス8されたことで、およそ二十の瞳からの狙撃を浴びせ続けられることになる。


「一度に六個増えたってことは……二個ずつ動くから、実質的にスナイパーが三人増えたようなもんだな」


狙撃手が増えれば死角はさらに消え去り、同時に複数の敵を別々の角度から正確に狙撃することが可能になる。手数も攻撃のバリエーションも、これまで以上に増えるはずだ。


これなら『剣豪』がどれほど素早く動き回ろうとも、短時間に多くのダメージを与えることができるかもしれない。


「レベル上げといて良かったぁ」


確かな進化の手応えと、深層攻略への新たな切り札を手に入れた満足感に包まれながら、悠太はコロンと転がった魔石を拾い上げ、ホクホクとした気分で静岡ダンジョンをあとにした。


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