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ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


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スキルチェック

東郷が最も注目していたのは罠の「設置」と「発動」のプロセスだった。


かつて日本のトップで前線を張り、数多の死線を潜り抜けてきた東郷の目をもってしても、悠太が罠を仕掛ける挙動を肉眼では何一つ確認することができなかった。


「……なるほど。これは驚いたな」


東郷は手元の魔素測定器のログに視線を落とした。測定器のデータで確認できたのは悠太がスキルを設置した瞬間に発生する、ごくわずかな魔素の揺らぎのみ。それはどのような探索者であれ、スキルを発動する際に必ず発生する一般的な現象に過ぎない。


つまり、最高峰の測定器をもってしてもスキルを使ったタイミングは判別できるものの、その罠が「どこに設置されたのか」「どれほどの魔素が凝縮されているか」「どのような大きさや形をしているのか」という肝心な部分は一切確認できなかったのだ。


その不可視の特性に東郷は静かに唸る。


「さすがは罠スキルといったところか。これでは実戦で相手が看破するのは至難の業だな」


しかし、すべての罠が完璧というわけではなかった。

悠太が次に試した『落とし穴』だけは、この特殊な訓練施設の床において一見すると何もないように見えるものの、周囲の質感と完全に同化しきれていなかった。

わずかな違和感を察知したのか、自動モードの試験体ロボットも、その座標を不自然に避けるようにして動いている。


それを見た悠太は頭を掻きながら苦笑いを浮かべた。


「あはは……やっぱり、こういう人工的な床には不向きですね。土の地面とかダンジョンの自然な床ならもっと綺麗に隠せるんですけど」


「設置する環境に左右されるわけか。とはいえ、それを差し引いても実用性は極めて高い」


ひと通りの検証を終えたが、まだ東郷には見たいものがあった。動画でも圧倒的な火力を誇っているあの狙撃罠だ。


「甘露寺くん、君にはまだ隠し玉があるだろう? あの狙撃する罠も見せてもらえないだろうか。私たちのことは一切気にしなくていいから、君が出せる最大出力で撃ち込んでみてくれ」


東郷からのリクエストに悠太と如月は思わず顔を見合わせる。


東郷が言っているのは術者を視認したものを無差別に狙撃する『ウッルの目』。それを二人に向けて最大出力で撃てという。


「本当にいいんですか?  万が一当たったら東郷さんでも結構危険だと思いますけど」


「私も少し怖いです。私達じゃなくても、さっきのロボットじゃダメなんですか?」


「試験体の最大出力でも、おそらくあの銃撃をくらったらひとたまりもないだろう。それだと検証にならないからね」


如月も不安そうな表情を浮かべるが、東郷は「ははは、問題ないさ。如月くんのことはしっかり守るよ」と余裕の笑みを崩さない。

二人は一瞬躊躇したものの、彼がそこまで言うのなら大丈夫だろうと腹をくくる。


「分かりました。じゃあ、行きますよ」


悠太は深く息を吸い、全魔素を引き絞るようにして『ウッルの目』を起動した。今回の倍率は悠太の残存魔素の限界値に近い「二十倍」。


間違いがないよう悠太はチラチラとカウントダウンを確認し、残り時間を告げる。


「十秒前……、三、二、一、撃ちます!」


次の瞬間、競技場の壁という壁にいくつもの瞳が同時に出現し、東郷と如月の二人へ照準を合わせる。


空気を引き裂く凄まじい衝撃音が響き渡り、二十倍にまで跳ね上げられた魔素の銃弾が暴風となって二人のもとへ降り注いだ。


音速を超えた衝撃波による轟音が鳴り響き、激しい光の破裂音が鼓膜を揺らす。しかし、爆風が吹き荒れる最中に見えた光景に悠太は目を見張った。


東郷と如月の周囲には、いつの間にか球体の形をした透明な膜のようなものが構築されており、二十倍の狙撃を全て弾き返していた。


風魔法を得意とする東郷のスキル『エアーベール』。大気を極限まで圧縮して絶対的な防御壁を作り出す元DATたる所以の防壁だった。


「むう、一枚では厳しいか…。中堅探索者くらいの攻撃なら問題なく防げるんだがな」


そう言うと、エアベールは一瞬輝きを増し、その膜を覆い隠すようにさらなるベールが出現する。


四分が経過し銃撃が収まったことを確認した東郷はゆっくり防壁を解いた。


「いやあ、素晴らしい威力だ。直撃すれば防具ごと消し飛ばされかねない」


東郷は何事もなかったかのように衣服の埃を払い「これで全部かな?」と問いかけてる。


「えーと……はい、お見せできるスキルはこれで全部です」


悠太がそう答えると、隣の如月も黙って頷く。東郷はそれ以上追及することなく、手元の測定器の数値を凝視したまま、しばし考え込むように顎をさすった。


「なるほど、素晴らしいデータが取れた。甘露寺くん、君の罠スキルは、私が思っていた以上に底が知れない。これからが本当に楽しみだよ。ありがとう」


東郷にそう太鼓判を押され、悠太は少し面食らいながらも、自らのスキルの可能性に確かな手応えを感じた。


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