表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレと笑われた『罠』スキルの俺、実は超激レアな最強スキルでした  作者: シマリス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
103/116

キラークイーン④

何もできないまま無情にも『ウッルの目』の発動時間が終了した。ドームの壁面を埋め尽くしていた金色の瞳が淡い光の粒子となって次々と消えていく。


残されたのは静かに鎮座する女王キラークイーンと、たった今召喚されたばかりの獰猛なキラービーが一匹。

そして、直接的な攻撃手段を持たない死神の仮面をかぶった悠太だけだった。


「ここからはキューブだけで凌ぐしかないか」


悠太はすぐに『キューブ』を三つ同時に発動し、自分の周囲に配置した。透明な檻の盾に守られながら、激しく思考を巡らせる。


この状況を打開する方法はやはり自分の罠スキルの中にしかない。

しかし、肝心のボスが動かない限り、攻撃系の罠は牙を剥かない。


「ギィィッ!」


不気味な羽音を立てて、召喚されたキラービーが悠太目掛けて突っ込んできた。悠太はビーシューズの機動力を活かして紙一重で回避し、背後にあったキューブの中へとキラービーを誘導する。


キラービーは透明な立方体の中に閉じ込められたものの、これだけでは時間稼ぎにしかならない。

中で狂ったように暴れ回る巨大な蜂は、キューブのクラックポイントを探るように動き続ける。十数秒後にはバリィンと小気味悪い音を立ててキューブが破壊され、再び鋭い針が悠太を襲った。


悠太はそれをまた別のキューブへと誘導し、破壊されるまでの僅かな時間を使って、必死に新しいキューブを再構築した。


「くそっ、こんな自転車操業を続けてても、いずれ俺の魔素が枯渇して終わる。どうすれば……」


冷や汗がポタポタと地面に落ちる。

キラークイーンの腹部が再び蠢き、さらにもう一匹のキラービーが召喚されようとしていた。絶望的なループに陥りかけたその時、悠太の脳裏に閃きが走った。


(待てよ? 捕獲途中のキューブでも場所変更できるのかな?)


キューブがレベル4になった時、新しく付与された特殊効果『設置箇所変更』。


今までは敵を捕らえる前の空のキューブの位置しか変えていなかったが、敵を閉じ込めている最中でも可能であれば勝機があるかもしれない。


「試してみる価値はある」


悠太はキラービーを閉じ込めているキューブに意識を集中し、頭の中で移動をイメージした。


すると、キラービーを内部に有したまま、透明な立方体が一瞬消え、悠太の指示する場所へ姿を現したのだ。


「よし! 動いた」


悠太の目に、一筋の勝機が宿る。


キラークイーンの右側に設置してある『空のキューブ』と反対の左側にバネ床を設置し、キラービーの入ったキューブを僅かに浮かせて、バネ床の上に移動する。


(破壊してくれ)


悠太は心の中で強く願った。


仕様上、罠は同じ場所に設置できないので地面と空間に若干の隙間が開くようギリギリまで調整した。


徐々に小さくなるキューブの中でキラービーが暴れまわる。悠太は固唾を呑んで「その瞬間」をじっと待った。


キューブの内部からキラービーの狂暴な羽音と、バリバリと亀裂の入る音が響く。


パリン!


ガラスが割れるような音とともにキューブが消滅した。その刹那、地面に設置していた『バネ床』が起動した。

地面にバネ床、その直上にはキューブ。


キラービーの足が地面に一瞬触れた瞬間、バネ床の発動条件は満たされた。


ドゴォン!!


遮るもののなくなった地面から、凄まじい反発力を持ったバネが跳ね上がる。今回はただのノックバックではなく、やつにダメージをしっかり与えられるように出力をかなり引き上げていた。


自由になった瞬間のキラービーは、成す術もなく真下から強烈な衝撃を食らい、弾丸のような速度で真横へと弾き飛ばされた。


「ギェェェェッ!?」


キラービーは思惑通り、すぐ隣にいたキラークイーンの巨体へと激しく激突。


想定外な身内の体当たりを受け、微動だにしなかったキラークイーンが初めて苦悶の声を上げ、その巨体を大きくのけ反らせた。


「よし! いける!」


動かないなら動くものを弾き飛ばしてぶつけるしかない。追いつめられた悠太の導き出した執念のコンボだった。


悠太はすぐさま、新しく召喚された別のキラービーを使って、同じ工程を繰り返した。回避し、キューブに閉じ込め、ボスの隣へと移送し、バネ床でドカンと打ち出す。


二度、三度と繰り返され、キラークイーンの体はジリジリとキューブに引き寄せられていた。


そして、四度目のこと。


高出力のバネ床によって弾き飛ばされたキラービーが上下の感覚を失ったまま、必死にその最期の武器である毒針を突き出した。


「ギギィィィッッ!!」


不運にも、その鋭い針はキラークイーンの剥き出しの頭部へと深く突き刺さる。


我が子の決死の一撃を受けてしまった女王蜂は、これまでにない凄まじい雄叫びを上げ、激痛のあまりその巨体を激しく悶えさせ、大きく横へとよろめいた。


ゴロゴロと転がるように、初めて座標から大きく移動したキラークイーン。


だが、その移動先には、悠太があらかじめ設置していた『キューブ』が佇んでいた。


ズシン……。


透明な空間へと、自ら吸い込まれるように倒れ込んだキラークイーンの巨体。


キューブの判定が完全に書き換わり、立方体の枠線がパッと輝いた。


一度罠に捕捉されたキラークイーンは、もはや一切抵抗をすることができなかった。

収縮するキューブの中で相変わらず毒液を飛ばすも、それはもはや何も意味しない。


キューブが消えた後に残ったのは特大の魔石。

残りのキラービーもキューブで仕留め、悠太をホッと胸を撫で下ろす。


「……はぁ、はぁ……。勝っ、た……?」


死神のローブを揺らしながら、悠太はその場にへたり込んだ。


最弱と言われるボスを相手に、過去最も敗北を意識し掴み取った勝利だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
コピー能力のないゲームボーイ版のカービィを思い出した…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ