第一話 音の中で
世界は、日常は
退屈な程に何も起こらない
目の前には、崩れた街路の上を、いつも通りの通学路として人が歩く、耳をすませば、捨ててしまった畑をまた耕す音が聞こえる。
少し歩けば、何も残ってない公園で子供達が遊んでいる。
……平和は退屈なものだ、だが美しい
私の名前は鈴蔵八幡、山の麓で今年で16になる子を男手一つで育てている。
「八幡さん!早く手伝ってくれよ!明日入学式なのにまだなんも準備できてないんだよもう夕方になる!!」
「おうおう!それはお前が準備してなかったのが悪いんじゃないか?私がやるべき事は既に全部やってあるからな!
…それにしても高校か、時が経つのは早いな」
「ジジイみたいな言葉話すなよ!まだ若いだろ、動け!」
彼は景虎、8年前に結構いろいろあって私が引き取った子だ。何年か前まではずっと塞ぎ込んでいて、しきりに「俺もあの時死ねばよかった」と言っていたが、元気になってくれてよかった。
最近は髪を伸ばすと言っている、ロン毛に憧れてるのだろうか。
まぁなんであれ、自分のやりたい事ができているのはいい事だ
あれから8年、色々あったが元気に高校までこれた、本当に良かったよ。
まだお父さんとは言ってくれないが…それもまた微笑ましい。
ざぱんざぱん
雨か…最近よく降るな、というか…私が携わる節目は毎回天気が悪いな、なぜだろう。
さぱんざぱん
今日は雨が強い、力がある感じがする。
ざぱんざぱんざぱんざぱんざぱんざぱんざぱんざぱんざぱんざぱんどじゃ゛あ゛ざぱんざぱんさぱん
血の気が引くのを感じる…これは不味いな
「すぐに来い!」
「どうしたんだよ八幡さn」
ぺた
「なんだこれ…水漏れか…?いやこれは下から…吸い込まれそうな…」
「そこから離れろ!吸い込まれるぞ!」
「どうしたんだよ!それにこの水、すごくべたべたするし…」
「今は説明している暇がない、とりあえず避難するよ」
津波か…?いやそんな筈がないな、海は山を超えて向こうだ、ここまで来れるはずもない、とりあえず外にでて確認をしなければ。
ガチャ
開けると同時に、白い世界が視界を覆った。
「…霧!、私から絶対に手を離すなよ!」
震えている…無理もない、まだ16なんだから、落ち着かせるためにはどんな言葉をかければいいn
「波!波の音がする!」
「逃げるぞ!」
危なかった…景虎が気づかなければ手遅れになるとこだった…余計な事を考えるな、私。
息を整え、思考を整理する
目指すとするなら麓の学校…いやダメだ
目指すは…いや違うか、目を背けるけるな私!。
何かが崩れる音が聞こえた
「!止まれ!そこは危n ザガン!!!!!!!
落石…!?つくづく運がないn……?……っ!?
先ほど周りは確認した…音を聞いた…私達の周りには何も居なかったはずだ…居ないはずなのに!。
現れたのは、目の前には7〜8歳くらいの背丈をした影と巨大な蛇のような影
「少年、いい顔をしているな…少年でこの顔なら君はどうなっているんだろうな…?」
「そうだねー!気になるなー見せてちょうだい!"お父さん"」
っっ!蛇と子供…?二つの声…いや"あいつ"か…!。
「それをお前が言うなよ、なんのつもりなんだ、バケモノども…!」
八幡の怒りを乗せたその問いかけに子供はただ、いたずらが成功した時の子供のような顔をした
まずいな…多分私より強い。
「私から離れるなよ…」
二つの影と八幡たちの間で、一瞬、静寂が訪れる
その瞬間!蛇の影が八幡めがけて急接近、後…即打撃!
不味い!吹き飛ばされすぎだ!…この方角には崖が!。
「え…八幡さん…は?崖から落ちた…は?」
喉が渇く…逃げ出したい…だけど足が動かない!。
「そう驚かないでよーよくある事でしょー」
「そう言うな河太郎、少年はまだ何も教わってないらしいぞ」
二つの影の笑い声が森の中で響き渡る…そして次第に霧が晴れてきた
青いレインコートの子供と、龍のような見た目をした青色の…
「蛇っ…なのか、大きすぎる…!」
景虎は酷く恐怖している、その表情をみた子供がまた笑う
「蛟!見てよー!すごく怯えてるよー!楽にしてあげたらー?」
その問いかけに、蛇が答える
「それはできないな、河太郎…こいつは我の復讐に必要だからな!」
人と蛇がまた笑う、虫の鳴き声よりも大きく笑う
「なんで…笑ってるんだよ、人が落ちたんだぞ」
蛇が少し傾き応える
「酷く憎んでる奴が…最悪な目にあったら…楽しくて仕方がないだろ?」
また笑う、獣の鳴き声よりも大きく笑う、笑う、笑う
その雑音の中で、音が聴こえる、初めは弱く、だが次第に大きく
雑音が止まる、それは蛇にとっての"敵"が現れたから
「まったく、飛ばし過ぎなんだよ…でここまで音が届くのに時間がかかったよ」
どこか安心するその声が、その姿が、景虎に元気を与える
「八幡さん!!!」
「おうおう!ごめんな、怖かったよな、でも大丈夫だ、私がいる!」
怪我ひとつないその姿で、男が喋る
「我は手加減したつもりはないのだがな…だがそれでこそ我が怨敵だ!
「やめてほしいなストーカーは、こっちはもう退職済みだ、それに子供を育ててるんだよ」
「ほう?やはりお前が育てているのか!!」
「言っておくが、私の子供には手を出すなよ」
「それはお前の頑張り次第だ!!」
「私の戦いをよく見ておけよ、これで最後になるかもしれない」
八幡さんの雰囲気が違う、なんだ?ずっと微かに音が聞こえるし、というか…
最後って…なんだよ!
「はははははは死ぬる覚悟か面白い!」
〈太郎!行くぞ、我に応えろ!〉
《一瞬一秒見逃さずよく見ておけ!》
その言葉を皮切りに、両者詠唱を開始する
《原理ログイン!》 〈現天業、天憑る!〉
【OK】 〈南無不動妙〉
【Next. idea select】 〈この世に未練残りし魂よ〉
【make your choice?】 〈来たりて申せ、戦い申せ〉
《音鳴・セレクト!》 〈刻印怪号第三番〉
【Savage of Control】 〈蛟ノ水虎〉
【Sounds online】
ガイア?サウンズ?ミズチノスイコ?何を言っているんだ…
「「変身」」
《森が騒めき虫が鳴き、獣が遠吠え風舞い上がる!
自然の音が歓迎し機械の音が鳴り響く!》
〈怪奇乱麻白子どり…側に纏し毒霧の蛇、即ち洪水の神なり!〉
見た目が変わった!?八幡さんの服がなんか機械的になってるし左手にいたっては機械そのものになっている…!レインコートの子供は…河童?河童になっている…それにさっきまで蛇ぽかったやつが少し龍が混じったような見た目になっている…本当に何が起こってるんだ…?
景虎が困惑してる時、八幡が喋る
「突然姿が変わって困惑してるだろうが、これはそういう能力系のやつだ、感覚で理解しろよ!」
流石に解説が薄すぎるだろ…感覚で理解しろって、こんなに意味不明なことが起こってるのに?
またも景虎、困惑!だが八幡、気にせず喋り始める!
「さぁやり合おうじゃないか!よく見て学べよ!これが終わったらもう二度と見せられない!」
「「いざ尋常に、勝負」」!!!
弩級の合図が森厳を貫く!覇道の旋律が夜を響かせる!爆水粉砕音岩砕き!時代を開く一戦が今始まる!!
「もっとアゲてくぞ!轟音共鳴 !! 」
「我を満たして溺死しろ!荒海停滞水!!
音が大地を掻き鳴らし!!毒が大地に響き渡る!!
「絶叫、発振、共鳴!!」
ド確定コンボを決めるが蛟、その覇水に一切の乱れなし!!!
何が起こってるんだ…突然音が鳴ったと思ったら戦いが始まった…ただ言われた、よく見ておけと、なら……よく見るだけだ!!!!。
景虎、ド級の思考!顔にも出まくる!!すごいわかりやすい!!
「雑音!!歪!!爆発!!!!!」
「良い!良いぞ!潤って行く!それでこそだ!!
俺からも行くぞ!!!!」
ド級の宣告!のち!構えをとる!足を広げ重心を下げる!故、不動の台座となる!
見据えるは前、敵のみ!
それら全て完遂したのち、圧倒的な力を得る!
まさに「「静」」故の「「均衡」」
この構えを取ったからには、相手もそれに乗らないといけない!それが"ルール"!無論!その制約がなくとも八幡は乗らないわけがないが!!
「その構え、相撲か!やはり伝承通りの水虎というわけか!でも良いのか?私に挑んで!」
八幡同じく構えをとる、ただの構えではない、ド級の構え、すなわち大地への干渉!!!
つまりはズル、ただのズルである!!!
だが蛟、それを許さない、ズルへの対策、それすなわち土俵にド級の水を浸す!当然毒入りでべたべただ!
そう!!つまりはただの妨害工作である!!!
殴る!蹴る!鳴らす!みぞおち!金的!果てには顔にパンチ!もはやただのケンカ!
ただ勝負である限り勝敗はある!!
先に土俵から出し、ルールによってダメージを与えたのは────蛟!!
勝敗得点は1分間の殴り放題!!
「オラオラオラオラどうしたぁ!!自慢の音を鳴らして見せろ!お前の最大級の音なら相撲にも勝てただろうに!」
「うるさいなぁ!!私はコンパクト主義なんだよ!!!」
「そんなわけないだろうが!!そうか!あの少年が気がかりなんだな!!なら殺してやるよ!お前が昔やったように!!!」
瞬間、俺の目の前に蛟が現れた、死を覚悟した、だが…避ける気はなかった…。
「っ!!!!」
「少年!避けれたのか!次は本気で行くぞ!」
なんだ…?体が勝手に…いや…俺はまだ生きたいと思っていたのか…。
「不味い、避けろぉぉぉ」
八幡さんの叫び声が聞こえる…
あっ…これは本当に無理だ、さっきみたいに余裕がない…。
「うぐっっっっっ」
死んだ…いや生きている…なんだ、何が起こった?。
景虎は目を開いた、いや…開かなかった方が良かったのかもしれない
「はっ?」
目の前には、景虎を庇って腹を抉り取られ肉片が飛び散っている八幡の姿が見えた
「どれだけ強かろうと、どれだけその強さを活かせる技を使えようと、守るものがいる奴は弱いな…この戦いの最後がこんなもので我は悲しい」
蛟が手向けるように喋っている…八幡さんは死んだのか…?。
「え?ちょっとまってよ…」
景虎は希うように喋る、目の前の出来事を、信じない為に
景虎は頭の整理がついていない、それを理解した八幡は即座に景虎を蹴飛ばし、離れさせた
「ぐっっっっ!」
はっ…一瞬気絶していた、落ち着け俺…まずは八幡さんがどうなっている、か…。
そこには、左手がもがれ、絶え間なく殴られている八幡の姿が見えた
いやだ…いやだよ八幡さん…やめてくれよ、いなくならないでくれよ…やめて…。
その時、景虎は気づく、八幡がこちらを見ていることに、そしてその顔は、この8年間、毎日見てきた笑顔だった…まるで別れの挨拶をするように、ただ、微笑んでいた
光を見ろ、事あるごとに八幡さんはそう言っていた…ようやく意味がわかったよ、俺は…失うことを恐れていた、亡くした両親を、過去を見ていた、その先にある光を見ずに…。
もう嫌なんだよ…何かを失うのも、誰かに置いていかれるのも、そして、過去を見続ける俺自身にも…!。
水で手を濡らす、毒であろうと関係ない、だらけきった髪を後ろに流す、全てをその目で見る為に。
瞬間!景虎は音を超える!即ち、覚醒の瞬間なり!
「うぉぉぉぉぉ!!!!!」
その咆哮がのち、黒きを持つ音が蛟と八幡の間を貫く
「ぐはっ!!なんだ、誰の横槍だ!っ!
おいおいおいおい!マジかよ少年!今のは音越波か?ふは、はははは!!!!」
「名乗れ少年!貴様は原理だ!!!」
誰?ああそういうことか。
一瞬の間、のち覚悟を糧に
その少年は、目の前の河童と蛇(蛟)にこう言った
「俺の名前は鈴蔵景虎、覚えておけ河童、
お前を殺す男の名だ」
森が騒めき獣が叫ぶ!新たな覇者の到来に!
今すごく速く移動できた、あれがなんなのかわからないが、今はできるってことだけ理解していれば良い!
追い討ちをかけるぞ!
「オラァ!!」
拳を放つ、まるで鉄に打った時のような感覚…!
こいつ硬すぎる…!鉄とかのレベルじゃない!
俺の拳の火力が足りない!
だがあいつは俺の速度に対応できてない…!これならいける!
蛟の周りを駆けながら殴る、蹴る!蛟耐える!そして少し遅れて攻撃、それが数十秒続く!先に限界が来るのは──景虎
これはまずい…足に痛みが出てきた…!そりゃ能力だからと言ってこんなに酷使していたら疲れがでるか…!避けながら殴り続けるのはあと20秒が限界だな
それまでにこいつを殺すかどうにかして、そばで倒れている八幡さんを助けて、逃げるか一緒に戦うかしないといけない、だがこいつをどうにかしないと始まらない!こいつは、本体の河童を自分の体を壁にして守りながら攻撃している、ならこいつ壁を通り抜けて本体の河童に攻撃しなくてはならない!
次の一発に賭けるしかないか、俺がさっき助けた時の速さ、あれが俺の最高速度だった、あれをもう一度出せれば行けるかもしれない、思い出せ、あの時の俺の状態と感情を、…!あの時俺はいつも以上に感情が昂っていた!鍵は感情か!なら俺が出す感情はこれしかない!
「絶対に殺してやる!」
一瞬!黒きを持った閃光が音を越え蛟にあたる!
「ぐっっ!?」
効果は出ている…!だがまだ足りない!ならば!拳にも乗せる!
「オラァァ!!」
「あぁぁっ!?これは!魂への攻撃!?」
内と外の攻撃により蛟、吹き飛ぶ!
やったぞ!だがあいつ、魂への攻撃とか言っていたな…それが俺の力なのか?
だが今はそんなことを考えてる暇はない!
その少年は駆け寄る、育ててくれた、父の元に
その父を、助けるために
「ほら、立ってくれ"父さん"俺はハッピーエンド以外は嫌いなんだ」
その一言に、その歩みに、どれほどの時間があっただろう…だが、その時間が!限界を超える鍵となる!
「あぁ!景虎!父さんはこんなのでは死なない!」
再び八幡の目に光が灯る、息子の問いかけに応えるが如く
「最後だ蛟!音、絞り尽くそうぜ!」
「良いだろう音の使い手よ!その音に応えるぞ!」
「覚えておけ景虎!これが奥義だ!」
「自らの心象風景で、烏滸がましくも
人の力が現実を侵す、すなわち、人が至る究極!
不撓不屈・雲外蒼天・快刀乱麻!
人が、心が、血脈が!
沈黙を射殺すその魂!
それこそが!無双無敵の意味を持つ!」
天、ぶつけるはバチ!
大地、向けるは両手!
両者、構え、
言葉を発する、これしかないと言うように
「「 果敢開闢 」」
《Sounds.Signal.Resonance》
〈河越零号閻浮提〉
その瞬間、両者の世界が溢れる…
原理が大地で!怪が天!塗り替えるは現実!
塗り替えた世界は両者の特性を上書きされる、そこから導き出されるは───
音/魂の吸収!集めた分、そのまま放つ!
ありったけの音の波を!ありったけの水の波を!
!!!!「「放て」」!!!!!
これは…音波と…魂を持つ水?そんなものをぶつけ合っているのか。
俺も、何か手伝えないか…あの間に入る事は邪魔でしかない、なら父さんのように何かを放出するか。
何を出せばいいんだ…父さんがいつも言っていた
「物事だいたい気持ちでなんとかなる」と、なら、俺の心を出し切る!そのイメージで!。
ぬわっ…
景虎がその心を放った瞬間、世界は黒く染まった
「「「は?」」」
三者固まる、その事象について考える間もなく、黒が滲んでいく
草木は枯れ果て生命は鳴き止んでいく、それと反して、カラスが鳴き声を上げる
八幡が考え出した結論は何か不味いと言う事だけ、だが伝えるしかない
「景虎!それは不味い!今すぐ止めろ!」
その警告を受け取った景虎はすぐに放出をやめた、ただ、遅かったのだ
度重なる音の波、それをより早く、より遠くへ伝える魂を含む水の波、"それ"を受け入れる条件としては完璧だった、そして、景虎の"黒"が、トリガーとなった
「おい…父さん…なんだよあれ」
目の前には、なんとも言えない顔をした頭が大きい男性の頭をした、細身の体で肌の色はピンクがかったベージュ色をした、手足の長い四足歩行の存在が前を歩く
"それ"が歩くたび、蝋燭が灯り、死体が現れる
そして"それ"が口を開く
「諠第弌縺九i縺ョ螳ウ謔ェ縺梧?繧具シ」
景虎、蛟、八幡それら三者は目の前の正体不明の外敵を前に、話す事なく結託
蛟が一番乗りで"それ"に近づく
瞬間、蝋燭が灯り、蛟は地面に引き込まれるように圧死…いや、ただでは終わらない
「う゛ぅ゛あ゛ぁ゛!!」
蛟が耐える、惑星の影響から、そして放つ、戦いの合図を
「いざ尋常に、勝負!!」
戦いの合図、それに乗らなければ当然、罰が与えられる
そのペナルティは、能力の弱体化及びそのものの情報の開示
勿論、人の言葉を使用しない"それ'が合図に応える事はない
"それ"の情報が、蛟へと与えられる
蛟は今にも潰れる状況で、これを話した
「奴の名前はドーバーデーモン、その力はソロモン72柱が内1柱ビフロンス、死体の移動と惑星の絶対的な宣言、惑星の影響だ…景虎ァ…我を殺すと言ったよな…!なら我が復活するまで死ぬなよ…」
蛟が圧死する、圧死した死体はレインコートの子供に戻っていた
「景虎…今すぐ逃げろ」
「え?いや一緒に…」
「そのレベルではないんだ…なぜだ…まだ8年しか経っていないじゃないか」
「何を…それにあいつはなんなんだよ」
「未確認生命体…UMAと言った方がわかりやすいか、それに厄介な力が混じっている」
「わからない、もっと説明してくれよ」
「そんな暇はない、逃げr」
言いかけるその瞬間、ドーバーデーモンがこちらをみる
あの手の構えは…まずい!。
反応する間もなく景虎が圧死…しなかった、先ほどの開示による弱体化の影響だ
ドーバーデーモンは少し揺れる、ゆらゆらゆらゆら
ゆらゆらゆらゆら、そしてこちらに歩み始める
「いいか、今から俺の音を使う、勝てるかわからない、だから逃げろ!」
「待ってくれよ!二人で逃げればいいじゃないk」
言い切る前に八幡は突撃する
私の音はあと何回音を上げれる?わからない…だが考える暇はない、子を、私を父と呼んでくれた子の為に、全てを燃やし尽くすだけだ、標的に到達するまであと3秒、その攻撃に全てを賭ける!
脈動、定位・固定、位相・刻銘、外しはしない!
その音が、その男の一生を表す、その音が、その男のの全てをぶつける
代償は音つまりは生命の力、それが消えると人の心は消える、世界の全てから消える、ただ一つ、継承という例外を除いて
《音楽理論・終止形》!!!!
その音は起承転結、物語を終わらせる最後の一音
華々しくも高らかに終わりを告げる、別れの一音
「やったぞ父さん!あいつ(ドーバーデーモン)が死んだ!今の技はなんなんだ?教え、て…」
その男は、もう消えていく
「ごめんな景虎、不甲斐ない父さんで、でもさ、あんな奴を倒したんだ、かっこいいだろ…?」
「なんでだよ…!そんな…命を使ってまで、そんなのかっこよくない!」
「悲しいな…だがそうだ、命を犠牲にする事も、命を軽んじる事もあってはいけない
───景虎、継承しろ」
「……」
「俺の全てを、もっていけ、それが必ず力になる、そしてまた誰かに継承するんだ」
「何を言ってるのかわからないよ!」
「はは、そうだな、だが時間がないな…これだけは教えておこう、俺の使ってる力は原理と呼ぶ、それは遥か昔から継なぎ、承り、継承してきたものだ、そして俺はそれを、お前に継承する
使い方はさっき見せた通りだ、お前ならできると信じている」
「待ってくれよ、行かないでくれ…!」
「泣くな、さっき覚悟したんだろ?」
「でも…」
「大丈夫だ、お前ならできる、そしてその命の価値観を絶対に忘れるな、人を助けろ、人を救え
───それじゃあ、またな」
その男、名を鈴蔵八幡、自分の大切な物を最後まで守り切った者
享年31歳、風光明美な自然の中に清風明月が琴鳴らす
息子の元で、その一生を終える
「結局…また失った…何も守れなかった、俺は、俺はまた…」
もう中身が残ってない死体を、再び抱きしめる
「父さん……俺はどうすればいいかわからないよ…!またいつもみたく教えてくれよ…!」
問いかけてみる、返事がないとわかっていても
「くっ、う゛ぅ゛」
堪えていたものが、溢れる
声が、湿っている気がする
「ふざけるなよ…クソが…!」
悲しくも何処か清々しい、そんな音、そんな音が、激動の夜に終わりを告げる
青く澄むは朝日の中、遥か遠くで音が鳴る
ここまでお読みいただきありがとうございます!
人生初の創作と小説なので拙い部分が沢山あるかもしれないです、ごめんなさい!温かい目で見てもらえるとありがたいです!よければ感想いただけると嬉しいです!
読んでみたいものを書けてるかがまだわからないので感想くれると嬉しいです!




