怪奇!山中の人食いオバケ自販機の怪!
放課後のツクモ狩り部。
やはりというか、顧問であった大江が部員4人を集めて、楽しげに宣言した。
「と、いうわけで〜今日の活動目標はこれで〜す」
ホワイトボードに文字『怪奇!山中の人食いオバケ自販機の怪!』。
書道のそれだろうか、書き殴りつつも変に達筆なタイトルが白板を余すことなく占領し、変なイラストを隅に追いやっていた。
「おーっ!」
「いぇ〜い」
ハナとユカが大きく鬨の声を上げる。ノアもまたぱちぱちと手を叩いている。
ルカだけが、眉をひそめて釘を刺した。
「怪が2つ入ってる⋯。先生、いつにも増してテンション高くないですか……?」
「え〜?そんなことないよぉ?」
大江はふにゃふにゃと笑いながら長机に突っ伏した。
「もしかしてー、先生さぁ」
ユカが頭に後ろ手を組んで疑問を投げかける
「お酒の自販機だったらいいな〜なんて考えてないっすよね〜?」
「……」
大江の動きが固まった。
「えっ、マジで図星!?」
「当たらずも遠からず、近う来てもっと飲め⋯」
「なんですか、それ……」
ルカが突っ込む。
「じゃあ決まりだね! 今日のターゲットは“オバケ自販機”!」
「ツクモガミさんかもしれないわね〜」
ハナとノアはもうヤル気に満ち溢れている。
「ま、ちゃちゃっと片づけて、帰りにおでん食って帰ろうぜ〜」
「冬も夏も年中食ってるよな」
ルカもユカにツッコミながら行く気だけはあるようだ。
「黒川ちゃんも行くよねー!?」
ハナが出し抜けに叫ぶ。
一同がはて、と首を傾げる。
部室に黒川はいないのに、何をしているのだこの娘は、と。
「……勝手に決めないで」
そのご本人は、溜息とともに窓枠から顔の上半分だけ出して中を見ていた。
「おわぁっ!?やめろ、心臓に悪い!ここ2階だぞ、危ない!」
ルカが白目を剥き、あぶくを吐いて震えだす。彼女はジャンプスケアが大の苦手だった。
「あ、ルカぁー!?しっかりしろー!」
「あらあら〜」
そんな混乱と混沌の部室で、大江はにやりと笑っていた。
「黒川ちゃん、見学は全然構わないのだよ〜。人数多いほうが楽しいしね〜。ま、私は行かないけど」
「興味ない」
サキはぷいとそっぽを向く。どうやってそこに立っているのか皆目見当がつかないが、地があるように振る舞っているのは謎だった。
「残念ね〜。美味しいお紅茶と茶菓子、黒川ちゃんの分も用意してあったのにね〜」
ノアの言葉にサキの耳がぴくりと動く。
「大丈夫だよ、ノアちゃん!私がいっぱい食べてあげる!」
ハナが目を輝かせてガッツポーズ。
「興味ないけど、行かないとは言ってない!」
サキが窓枠を飛び出してノアとハナの間に滑り込んだ。
一同笑う。
ルカはまだ痙攣し、ユカは正気に戻れ〜!と揺さぶっている。
「じゃ、決まり! 行こ、みんな!」
カメちゃんはぴっと親指を立てる。




