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夜

 夜。

 鬼たちが寝静まり、灯台が静かに海を撫でる頃。

 海臨むビルの屋上にサキはいた。

 金網に指をかけて思案している。

 ツクモ、カメちゃん、雨、ハナ、ツクモ狩り部。

 この2日間は色々なことが濁流のように過ぎていった気がする。

 やけに気になるのはカメちゃんと呼ばれる存在だ。

 あんなもの今まで見たことがない。まるで物に生命が宿っているかのようだった。

 それに、カメちゃんとやらにシャッターを切られたとき微かに鬼力を感じたのは勘違いだっただろうか。

「ツクモ、狩り……」

 思わず声に漏れる。

 おもむろに脇に置いていたギターケースを開く。

 そこにあったのは黒い鞘に収まった二振りの刀。

 握り締め、胸元に寄せる。

「犬童さん、茨木さん、みんな――」

 目を閉じて、祈るように呟く。

 

 自分は一人じゃない。みんなの思いがここにある。

 

 ふと、目を開ける。

「あ」

 花びら描かれた傘もギターケースに入っていた。

「返しそびれちゃった……」

 何故だか、そんな一言が喉元を過ぎていった。


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