大掃除
空気に湿り気を全く感じない冬の季節。
空に雲一つなく、青の快晴。からっからに乾いた陽の光は少し痛いくらいの強さで、これまた肌刺すような冷気になけなしの暖気を当てていた。
「なんでよりによって大晦日に大掃除なのよ⋯⋯」
「ユカのことだから、冬休みに浮かれてすっかり忘れてたんだろ」
「そこ!口の前に手を動かす!」
ぼやくサキとルカに、割烹着姿のユカがびしっと指をさした。
「あら〜、見てこれ〜、懐かしいわね〜」
「わー!ホントだー!まだ春頃だから、サキちゃんすっごい睨んでる」
「コラー!真面目にやれー!」
和気あいあいと思い出話に浸るハナとノアにも、パタパタとハタキを振るう。
5人の姿は埃っぽい部室にあった。棚と引き出しからは荷物が引っ張り出され、長机に積まれている。水を貯めたバケツとモップは片隅に置かれ、床掃除の時を待ち構えているものの、一向に第一段階すら進む気配がない。
「大体、ハナのアルバムが多すぎるのよ⋯⋯なんで部室に置いてるの⋯⋯」
山積みになったアルバムの段々を見つめ、サキは呆れてため息をついた。
ハナがすかさず身を乗り出して反論する。
「えー!みんなで見たほうが楽しいよ!」
「だからって全部置いておくことないでしょ。持って帰れ」
「うえーん、ノアちゃーん、サキちゃんがいじめるぅ」
「よしよし、可哀想に〜。でも、サキちゃん、たまにひとりっきりのときに見返してるわよね〜」
「はぁッ!?なんで知ってるの――」
「そうなんだ~」
「しまっ⋯⋯!」
「おいー!お願いだから掃除してー!!」
ユカが泣きつくも、本当に年内に終わるかわからないくらい。
「お前もだぞ、ユカ」
黙々と作業をしていたルカがたしなめる。確かにユカもまた騒ぐだけで何も手をつけていない。
「アタシは現場監督だから」
「いいから、ゴミ出しよろしくな」
「ひぇーん」
5袋くらいのゴミを渡されて、トボトボと持っていった。
「とりあえず、お前たちも進めてくれ」
「うん!」
ルカにはハナのお尻にぶんぶんと揺れる尻尾が見えた気がした。ただ、やる気満々に見上げてくるだけで動く気配がない。完全に指示待ちの体勢だ。
背後を一瞥すると、ノアが、ゆっくり、ゆっ〜くり、棚の整理をしていた。進んでいるものの遅すぎる。中途で物を落として、あらあら〜としゃがんだ拍子に、他の物を落としている。
サキだけはぶつくさ文句を言いながらも、きちんと働いている。なるほど勉学だけではなくきちんと優等生だ。だが、度々ハナに突っかかるので進捗は遅い。
ユカは帰りが遅い。たぶんどっかで道草くってる。
はぁ、とルカは大きく嘆息した。
「よし、お前たち。私が指示するからきちんと働けよ!」
ホワイトボードにそれぞれの分担を書き殴る。ハナは棚の整理。サキは引き出しの中。ノアは窓枠や床。ユカは、早く帰ってこい!
「ツクモ狩り部、GO!」
ルカの一声で掃除がきちんと再開した。




