その後
危険な行動をしたため、ツクモ狩り部は当面部活動禁止になった。公務執行妨害もあったが、大江がこっぴどく怒られたくらいで済んだらしい。
部室で説明を受けてユカが不服に叫ぶ。
「えぇ〜!大江ちゃんまじっすか!?」
「期末テストも近いし、勉強してなさい。学生の本業は学業学業〜、はっはっはっ」
「解決したのは私たちですよ」
珍しくルカも強気に出る。
だが、大江はのらりくらりと躱す。
「ルカちゃん、大人の言う事聞けないなら、立派な衛士になれないぞ〜」
「ぐっ!大人って卑劣!」
「なはは」
「じゃあ、書類も出さなくていいのよね」
サキが挙手する。
「それは駄目」
「なんでッ⋯⋯!」
その後、たまちゃんはノアの手によって一夜にして復活した。
「なんかできちゃったわね〜」
と嬉しそうに微笑みながらも、その指先はタールで凄く汚れていた。
たまちゃんは、これでVer15.0になったようだった。
ハナは嬉しかった。
いつもの日常が戻ってきた。
泣き腫らした目がまだぱさぱさじんじんするけど、みんなの笑顔が見れてよかった。
そう思うと何だか無性に写真が撮りたくなって、ひとつ提案した。
こうして急遽、夜半に蛍の写真を取りに行くという、蛍狩り部が発足したのだった。
——理科の授業中。
窓際の一番後ろの席。
なびくカーテン越しに外を見やりながら、サキはひとり考える。
両刀に僅かに鬼力が滲んでいるような気がする。もしかしてツクモガミに宿った鬼力は物から物へ移っていく性質があるのではないか、と。
ならば、鬼力が使えない自分でも、強くなれるかもしれない。
ツクモガミを狩り続ければ、"ヤツら"に対抗でき得る力が手にはいる。
先のツクモガミは、確かに陰陽兵と同じ瘴気を放っていた。あの呪札も見間違いではない。
"桃源"。
ヤツらの手が、遂に鬼ヶ島にまで到達したのか。
それとも――。
「コラー!大江ちゃんが説明しているのに余所見とは何事か!黒川ちゃん!」
教壇に立っていた大江が吠えて、サキを指し示した。
しかし、どっちにしろ暫くは、活動禁止なのだ。
「チッ、はーい⋯⋯」
「舌打ちッ!?」
燻る思いを静かに沈めて、不貞腐れたように返事をした。
彼女の赤い双角は陽の光に照らされて、少しだけ掠れて見えていた。




