緊急収集
程なくして、サキとツクモ狩り部が集合した。
早朝も早朝だというのに、ユカすら遅刻せず険しい顔をしている。
ただひとりだけ。ノアだけがこの場にいなかった。
「ノアちゃん、連絡つかないの!」
ハナが息を切らしてやってきた。
「もしかして……」
ルカが最悪の状況を察する。
そんな、とハナの顔が青くなる。
ユカはその肩を軽く小突き、先導した。
「とりあえず向かおう!ノアはもう行ったのかもしれないぞ!」
一同は港の工場群へと向かう。
そこは液晶越しで見たよりも凄惨たる有様だった。
黒煙が至る所から立ち昇り、爆発の衝撃が圧となって空気と大地を揺らす。金属音がぶつかり合う耳障りな音が海を大きく波立たせている。
多数のパトカーと消防車が赤い光を閃かせて目を突き刺す。規制線は広く長く張られ、野次馬と報道記者たちが遠巻きに現場を見つめていた。
「ノア!」
そこにノアがいた。
皆が駆け寄る。
「みんな……!」
「よかった!無事だったんだね!!」
振り返るノアにハナが抱きつく。本当によかった、と涙さえ流して。
「えぇ、ありがとうハナちゃん」
頭を撫でて落ち着かせる。大丈夫よ、大丈夫、と囁いて。
その姿はどこか健気に振る舞おうとしているように、サキの眼には映った。その言葉は自らに言い聞かせているように、サキの耳には聞こえた。
ユカとルカもまたノアの元に寄り添う。無事を確認して、ほっとしたのだろうか。掛ける声には疲れが滲んでいる。
サキだけは立ち止まっていた。その様子を眺め、しばらく、規制線の向こうへと視線を戻す。まだ、混乱は収まらない。そればかりか間隔が短くなって激化しているようにさえ思えてきた。
「ノア、そういえば、たまちゃんはどうしたんだ」
「——っ!」
ルカの言葉にノアの動きが止まった。
「ノアちゃん……?」
異変にハナが気付き、顔を覗き込む。
ノアの顔がみるみる内に青ざめていく。微かに指先も震えている。
「……いないの」
それは消え入りそうな呟きだった。いや、実際に搔き消されたのだろう。ただ唇の動きで察したに過ぎなかった。
「たまちゃんがいないのっ!」
ノアがしゃがみ込んだ。顔を覆い、泣きだした。
「い、いないって、まさか!?」
ユカが工場の方を見やる。
先ほどから響く金属音。ひしゃげ、捻じれ、縺れ合う音。
サキにはわかっていた。この音は、戦闘の音だ。鋼鉄同士が、戦っているのだ。
太陽はまだ低い。




