愛愛傘
雨は再び降り出した。
「ばいばーい!また明日〜」
ルカとユカと手を振り合って別れる。
じゃーなー、と返す2人の手に、更に大きく手を振って元気を示す。
「てゆうか、ユカは今日も傘を無くしたのね」
サキがぼそっと呟く。青い傘はひとつ揺れて、雨からふたりの幼馴染を守っていた。
「よし、じゃあ私たちも!」
ハナが満面の笑みで、ぐっ、と振り返る。
サキがいそいそと避けようとした。
しかし、ハナは傘の柄を握り締めて引き寄せる。
「だめ!約束したでしょ!?」
「えぇ〜」
露骨な嫌な顔。
ふたりもまた、相合い傘をして帰る。
肩寄せ合い、押し問答もありつつ、ひとつの庇護の下で笑ったり怒ったり。
ハナの手には返してもらった桜色の傘が握られているが、開こうという気はないらしい。
張り合わせた箇所の残るビニール傘の下、ふたりは一緒に帰路を進む。今日の出来事、他愛もない話、大江の授業のこと、今この瞬間だけは角が有る無しに関わらず普通の女子高生のようだった。
「バサバサ!」
「うわ、いきなり閉じたり開いたりするな!」
「濡れちゃうよ〜!オバケ傘さん!」
黄金色の粒子が、満足げに輝き、雨の中へ次第に薄れていった。




