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76話 ハグナデ


やっちまった…


俺の爆弾発言でこの場の空気が一瞬で凍り付いてしまった


「…………」


「……えっと…デカいって言うのは?…」


何か、何かないのか!この状況を覆す一手は!


俺が目を泳がせていくうちに辿り着いたのは、弁当箱の中にある卵焼きだった


「た、卵焼きがな!卵焼きのサイズがちょっとデカいなってさ!」


おっぱいがデカいとか言える訳がない


初めて出会った時はどうせ関わる事なんてないし適当なことを言ってもいいと思ったが…


「…もっと違うトコ見てなかった?…」


「見てないが。気のせいだろ」


視線は泳いでいるが当然違う。俺はおっぱいに釣られるような人間じゃないからな


「…ホントに?」


「ホントだって」


今度こそは目を合わせて否定しよう


そう思って黒瀬の方を見ようとしたが、俺の視線は再び胸元に吸い寄せられた


黒瀬が指先で胸元を引っ張って、手を団扇代わりにパタパタして谷間を俺に見せてきたからだ


「…あ、あついね……?」


チラッ


顔を赤らめて上目遣いで見つめるその姿に、俺を落とす意志が少しだけ感じられた


そーいえば黒瀬の日記を見た時、俺の事が好みとかなんとか書いてあったな……


でもコレが黒瀬の限界だろう。気にすることはない。受け流して分からせるだけだ


「おー。結構デカいなその服。そこまで伸びるとはなースゴイスゴイ」


俺はこの角度でしか崇めない谷間を見てそう言った


「もしかしたらって思ったけど佐藤くんって…」


「おう」


「…やっぱりホモ…なの?」


「……………………え?」


なんでそうなったんだ?俺にホモ要素なんてひとつでもあったか?


「…覚えてない?生徒総会の時の…ほらあれ…」


「生徒総会?…なんかあったか?…」


全く心当たりがない。デブとメガネを無理矢理キスさせて、顔パンパンの西城を宥めた事しか記憶にない


「ほら…剛田くんの件…」


「剛田?なんであいつが出てくるんだ?」


「だって…剛田くんを体育館の外に連れ出して……え、えっちしてたでしょ?…」


ピシッ


あまりにも理解不能な言葉が俺の耳から脳内に響き、俺は放心状態になってしまった


「…………………………」



「…やっぱりそうなんだ。剛田くんの気持ちよさそうな声が体育館にまで響いてたし、パンパン打ちつける音も聞こえてきたから…」



「ハッ!……」


ようやく脳が働き出した時には誤解が加速してやがる


てか剛田のせいで俺がホモ扱いされてるなんて初めて知ったぞ…


「いや違うっての!アレはアイツのお尻に平手打ちをしてた音なんだって」


ついでに“アイツのケツはいい音が鳴るんだ!”って勢い余って言うところだった。危ない


「後からなら…なんとでも言えるんだよ」


その発言はちょっと威力高くないか黒瀬…


「いやいや俺があの時言ったセリフ覚えてるか?」


「そ、その…剛田くんのはしたない声で実はあんまり聞こえてなくって…」


ならあの時の言葉を控えめに表現してみることにする。もう一度聞けばきっと分かってくれる



オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!いいケツしてんじゃねえか剛田君よお!……って言ったんだぞ俺は…」


こんな態度取りながら体育館の外でハメる奴が居るか?こんな態度じゃなくても俺はホモじゃないが…


「後からなら…なんとでも言えるんだよ」


さっきと同じこと言ってて話が進まない。なんなら少し楽しんでないか?


「ならなんて言えばいいんだよ?もうどう足掻いても俺ホモ確定じゃねーか」


俺のそんな言葉を待っていたのか、黒瀬はベンチから立ち上がって一歩、また一歩と脚を進めた


よくドラマで見るシーンだ。俺の方を見ずに感情を吐露するシーンが今から始まりそうな予感がする?


「えっとね…実は今日、お弁当しか持って来てないんだよね…」


ベンチのカバンを見るが、明らかに教材や筆記用具が入っていないのが見て分かる


でもそれは今関係ない気がする。俺のホモ疑惑は晴れないからだ


「つまり勉強しに来る気はなかったと?」


「うん。あのね?……今日くらいはリラックスしようかなって思ってて…」


「ホモの俺と一緒にか?」


「そ、その…抱きしめて頭撫でてくれたら認識を改めようかなーって…思っちゃったりして…る…」


「なるほど。ホモじゃないなら行動で示せって事か」


その言葉にコクリと頷いて、俺の方を振り返って歩み寄る黒瀬の顔は真っ赤だった


「照れすぎだろ。そんな初心だったらおまえ…」


悪い男に引っかかるぞと言いたかったが、俺も悪い男の部類なのでそんな事は言えなかった


「て、照れてない」


「はいはい。いいから座れよ」


自分の股の間を手でポンポン叩いて俺はそう言った。まぁすぐには座らないだろうが…


と思っていたが、黒瀬はあっさり座って来た


「30分くらいお願いね…」


「へいへい」


股の間にすっぽり収まった黒瀬を抱き寄せて、頭をナデナデする


「…いい顔にしてもらうハグナデ好き…」


ボソボソと何かを呟いているが、この距離でも聞き取れなかった


「なんか言ったか?」


「ん〜…なんでもー…」


黒瀬はリラックスしているのか体重を後ろに掛けてきて、俺の息子ちゃんに尻を押し当ててくる


「お、おい…黒瀬…」


「我慢…」


「…我慢っておまえな…」


ワガママチックな圧を瞳に込めて、俺を見つめてくるものだから、ここは引き下がる事にする


だが俺の股間が反応したらヤバい。耐えれるか?


しかし30分どころか1時間程抱きしめてナデナデしたが、俺の息子ちゃんは反応しなかった


まるで前日に2.3発くらいの精を抜き取られたかの様に沈黙していた

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