↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/109

77話 帰らないと胸揉むぞ

♢♢♢



桜丘学習図書館を出て、俺と黒瀬はスマホのバッテリー交換の為に駅前の商店街に向かっていた


「わざわざ付き合わなくていいぞ?」


「全然大丈夫だよ。それより場所は分かってるの?」


「実は桜坂駅の近くってことしか知らなくてさ」


「えっと……確か駅前の雑居ビルの二階だったと思うよ?」


「おーそうなのかー引っ越してきたばかりで分かんなくてさーありがとなー」


長時間のナデナデタイムでようやく拷問から解放された為か、俺はつい気の抜けた返事をしてしまった


少し適当すぎる態度に怒ってるんじゃないかと思ったが、それでも黒瀬は嬉しそうだった


「…そんなに見つめられると恥ずかしい…」


「いや、俺の態度が適当すぎると思ったらそう言ってくれていいんだぞ?」


西城だったら“私の話ちゃんと聞いてます?”とか言うんだろうが黒瀬はそーゆう事言わないんだな


「そうかな?…私はそんなトコも…い、イイと思うんだけど」


「……そうか?じゃあ転校2日目に俺が言ったことはどう思うんだ?」


「えっと…何かあったっけ?」


黙らないと胸揉むぞってヤツなんだが…覚えてないならそれでいいか


「いや……なんでもない。あの時はちょっと態度大きかったよな。すまん…」


どうせ日本から出るし人に接する態度とかどうでもいいと思ってたしな。俺も少しは変わったのか?


「…態度は今とあんまり変わらない気はするよ?」


グサッ


「い、いやいや。最近の俺はオラついてないと自負している」


「……ちょっとは強引な方が…いいかも?」


「強引っておまえな。そんなん好きな奴そうそう居ないだろ」


少なくとも俺の周りにそんな奴は居ない


西城は強引なタイプが苦手なのは明白だし、おさわり禁止が当たり前だ


ルナもイチャあま雰囲気が大好きで、雰囲気をぶち壊すとすぐ怒るしな


九条は……今は考えなくてもいいか


黒瀬はどうだ?アレ?ちょっと待てよ


確かゴールデンウィーク前にムリやり黒瀬を抱き寄せて頭を撫でたことがあったな


「わ、分かんないよ?好きな子も居るかもだよ?」


「それってアレか?ムリやり抱きしめても一切抵抗しない奴のことか?」


俺が隣を歩く黒瀬を見ながらそう言うと、黒瀬は俯いて指先を合わせてモジモジしていた


「そ、そんな人居るのかな〜…あはは…」


「今俺の目の前に居るな」


黒瀬のいいなり気質は本当に危ない。ガードもガバガバすぎるからルナよりも酷い事になっている


「あっ!……修理の前にごめんね。ちょっと寄っていこ?」


そう言って黒瀬が指を指していたのは、商店街の一角にある小さなクレープ屋だった


「いつの間にか商店街にまで来てたのか」


「うん。時間は大丈夫そ?」


「まあ少しはな。で何食べるか決めてるのか?」


「うん。チョコバナナクレープと苺クレープ…かな」


食べ過ぎな事に俺がドン引きでもしてると思ったのか、黒瀬は俺の方を何度もチラチラと見てきた

  

「なんだよ。奢って欲しいとかか?」


「えっ違うよ。そんなこと「んじゃ買ってくるからちょっと待っとけ」

    

「え?あ……ありがとう」


既にクレープ屋に歩みを進めていた俺の耳に、黒瀬のお礼が聞こえてくるのが少しだけ心地良かった



♢♢♢



「甘いもの好きなんだな」


歩きながらクレープを頬張る黒瀬にそう問いかける


「ちょっと勉強しすぎちゃって。甘いモノが……欲しいなーって…」


「………ん?」


その言葉を聞いた時、激しいデジャヴに襲われて俺の脚は止まってしまう


「どうしたの?」


「………いや、なんでもない」


「そっか」


ホームランちゃんと全く同じ事を言うのは反則だろう。あの子元気にしてんのかなー…


ゴールデンウィーク明けに撫でてくれたら許すとか言ってたがアレ以来会えてないから謎なんだよな



同じ発言をした黒瀬に違和感を感じて隣を見ると、チョコクレープは既に全部食べ切って苺クレープを食べていた



「……半分こする?…」


クレープを見ていたと思ったのか、黒瀬はクレープを差し出してくる


「いや、いいって」


そんな寂しそうな目で言われてもな……


「それじゃ食べちゃうよ?…」


「食べてくれ」

 

「いただきます」


幸せそうにクレープをもしゃもしゃする黒瀬を見ながら歩いていると、あっという間に目的地に着いた


「案外早かったな…」


「あ、あの……ごちそうさま。ありがとね」


「あぁ、俺も弁当貰ったしな。気にすんなよ。じゃ俺は修理行くから、そろそろ解散な」


「え…ええ?」


「じゃお疲れ様。また月曜な」


サッサと修理して帰りたい気持ちが出ていたのか、俺は既に手を振って別れる気満々だ


「…………」


でも手を振っていても、黒瀬は中々その場から動かなかった


「どした?」


「…もう終わり?…もう帰っちゃうの?…」


気付けば夕方で、夕陽に照らされた寂しそうな顔は一層寂しく見えた


「………はぁ…黒瀬。またいつでも会えるだろ」


俯く黒瀬の頭を撫でて解散を促すが、なかなか動かない


「…………」


もうコレはドン引きさせるしかないか


「…帰らないと胸揉むぞ」


「ッ…」


一瞬何かを思い出した様にハッとした表情になった黒瀬は、一歩離れた後にまた一歩距離を詰めてきた


俺が転校2日目に言った事を思い出したようだが…


おっぱいを揉まれてでも一緒に居たいかどうかで迷っているようだ。迷っちゃダメなはずなんだが…


だが暫くすると、ようやく俺から離れてトボトボと歩きだす


寂しげに歩く後ろ姿を見つめていると、黒瀬は立ち止まって振り返り、俺をまっすぐ見つめてきた


「…離れなかったらどうしてた?」


「めっちゃおっぱい揉んでた。じゃ気を付けてな」


「えっ?あ、あの!…」


早く帰りたいので無視して雑居ビルの扉を開けた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。