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64話 間話

♢♢♢



「え、もう23時じゃん!れんれん明かり消し……」


あっそうじゃん。……家に帰って来たから一緒に寝る人は居ないんだった


ママは今日も夜勤で居なかったし…


自分で明かりを消して、ベッドにダイブする


ダイブした後、昨日と同じようにれんれんが撫でやすいように頭を下げる


「えっ……今…ルナなにしてた?……」


自分の行動で思わず体が熱くなってくる。家に帰って来たから、れんれんは居るはずないのに


「…別の事考えよ……」


とりあえずムカつく男の事は忘れてお気に入りの抱き枕を抱き寄せながら、今日の出来事を振り返る


「あの店員さん……れんれんとどんな関係なんだろ」


いつもあんな近い距離で話してるのかな?…


ヤバい。なんか2人の関係性想像してたらイライラしてきた……原因は全部れんれんなんだけど…


あれ?でもバイトも終わったしあの店員さんとれんれんは関わる事なくなるよね?…


そう思ったらホッとして、つい体の力が抜ける


なんか眠気こないし、2人で一緒に寝てる時のれんれんのアホづらでも見よーかなー


「れんれんの写真があったはず…」


ベッドの端にあるスマホを手に取って、隠し撮りした写真を眺める


「ぷっ…あはは。まじれんれんアホづらすぎ…」


でも…


「アホのくせして全然触ってくんないし…作戦に手応えないじゃん…挙句店員さんに手出してるし…」


最近はどんどん女としての自信を失ってる。たぶん最初に会った時よりも…


「……はぁ…ムカつく……ムカつく…」


……ん?別のこと考えようと思ってても、全部れんれんじゃない?


「気のせい気のせい。ねよねよ〜」


スマホをベッドの端に投げて、抱き枕を抱きしめる。でも少し匂いが気に食わない…かも?


いつもコレで寝てるはずなのにしっくりこない


「……あっ!れんれんのTシャツ着させればいいんじゃん!ルナちゃんってばてんさーい!」


自分が着ていたぶかぶかのTシャツを、抱き枕に着せて抱きしめてみる


「…ん!完全にれんれんじゃんコレ…」


抱き枕の匂いを堪能しながら、顔を擦り付けると少しずつ瞼が重くなって眠気がやってくる


「……ねっむぅ…」


驚くくらいドッと眠気がきた。昨日2人で一緒に寝た時と全く同じ感じの…


「うへへ……れんれんおやすみぃー……」


すぅ…すぅ…すぅ…



♢♢♢



私はそこら辺の聖華女学院のモブ生徒


「でぇ!ウチの彼ピがマージイケメンすぎてさ〜」


「はい?アレのどこが?眼科行って来たら?」


男が居ないのを良い事に、聖華女学院の民度はかなり低いとモブの私は思う


モブの私の席は、窓際の最前列だ。いつも休み時間になると隣にギャル達が集まってくる



仕方ない。私の隣の席がギャルだから………



聖華は着崩したギャルと、気崩さない清楚系女子の2種類に分かれている。そしてコレを派閥と言う


要らない情報だけど、ちなみに私は清楚派閥…


「うひょおっ!うひょひょ〜!眼科いこ!うひ!」


男が居ないから女子の笑い方が終わってるんですこの学園


そんなモブの私でも楽しみはある…それはーー


窓際の一番後ろの席で、外を眺める一ノ瀬さんの顔を見つめること


「うひょひょひょ!うひぃぃ!」


隣がうるさいけど気にしない。私は一ノ瀬さんのお人形さんみたいな可愛い顔を見つめる


ゴールデンウィークという長い休みで、一ノ瀬さんを暫く見れてなかった。今日はとことん見なきゃ


「今日も可愛いなぁ…」


だけど誰も一ノ瀬さんには話しかけない。着崩し方が中途半端で、金髪はハーフだから。らしい


つまりどっちの派閥が話しかければいいのか分からなくて、一ノ瀬さんは浮いている


「でもさぁ!やっぱり自分で触るのと彼ピに触って貰うのとじゃ全然違くて〜」


ずっと一ノ瀬さんを見つめ続けていたら、下品な会話が私の隣から聞こえてきた


「チッ」


そんな大声で話してたら一ノ瀬さんに聞こえるからやめて欲しい……


でも外を見つめていた一ノ瀬さんは、気付けばギャル達を見つめていた


しかも一ノ瀬さんの顔は赤くなっていて、それから一瞬だけ席を立ったと思ったら座り直した


「え?…」


もしかして一ノ瀬さん…今、会話に入ろうとした?


「まじそれなぁ!でもおまえの彼ピの顔面は終わってるけど。うひょひょひょ」


き、…気のせいかな。もう外を眺めてるし……


でも、一ノ瀬さんは頬を赤くしながらふやけた笑顔になっていた


「えへへ」


それから暫くして、そんなニヤケ笑いが私の耳に届いた気がした

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