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29 『今後の方針。やっぱり変更なし』


「きゃーろーっと」

「きゃーろーっと」

英語verになってた。


人参体操をする。

衛兵とメイド達が揃ってする朝の体操は普段と変わらない。


朝食をした後に改めて迷宮であったことを話すことになった。

朝の稽古はちょっとお休み。


コーンスープ、目玉焼き、ヨーグルト、パン。そして紅茶。

パンはカリカリしたフランスパンみたいな食感のトーストで美味しい。

小人の持ち込みらしい。ハードトーストとかいう食パンだそうだ。

毎日食べても飽きない味だ。

もし外つ国へ帰ったらこれ食べれないのかと思うと残念感がある。


「お前様の国はパンレベル高いべ。旨いパン屋を探すと良い」

小人がそんな事を言った。コンビニっ子だからな、俺。

きちんと探してみるのも良いなと思う。


雑談をしながら食事をする。

ミムさんだけかと思ってたらエイプリルも寝ている間に来て看病してたらしい。

色々心配かけてた。すまねえ……!


小人がこれで看病イベントの実績をクリアしたどすな! と言った。

実績のメニューを確認したら本当だ、いつの間にか増えてた。


城ついて気絶した理由は40km走った結果だったらしい。

……あったな! そんな設定。


お茶を飲みながら庭でカルガモごっこをしている小人を眺めた。

カルガモごっこは巡回している兵士にカルガモを模した動きをしながらひたすら付いて行き、

兵士が振り向いた途端に突然風で吹き飛ばされる動作を行うだけの遊びである。

しょうもない遊びである。



会議室で人払いをした。

エイプリルとちゃっきーさん、俺の三人だけである。

ミムさんはすでに聞き取りしたからという理由で居ない。


お茶を飲む。エイプリルはミルクティーだ。

小人は熱々のフランスパンにベーコンとレタスを挟んだうまそうな物に夢中だ。

かぶりつく。というか俺もそれ食べたい。


「水取くん。ヨアヒムの事だけど」

「はい」

「亡くなった。ミムにはまだ言っていない」

「はい」


心のなかでヨアヒムさんが我関せずと茶を飲んでる。

碁盤で豆知識先生と五目並べに興じている。孫と祖父みたいな事してる。

心を覗かれたら一発でこの光景を見せれるのだけど気遣われて覗き見されていない。

難しい所だ。


「ここの人達は動く骨の人々で普段は死ぬことはないけどゲームの間は普通に死んでしまう。

 だから復活はしない。水取くんの世界の動く骨は何度でも蘇るみたいだけども」


それ漫画とかゲームのだから。動く骨自体がいない。


「――水取くんには予定通りに帰還してもらう。異存は?」


「それは、」

本音で言えば仇を取りたい。

しかし足手まといになっているのは判る。


チートな体とはいえ残機が残り1しかないのだ。


――お前には力がある。

ちりちりと脳裏で言葉が囁かれる。左手の袖に隠れている蛇が熱くなる。


「水取くん。……王の間に入ったね」

「え?」


「呼ばれた、というのが正しい?」

エイプリルがじっと見つめてくる。

並外れた美少女に見つめられると童貞としては挙動不審にならざるを得ない。

見つめられていない時は隙を見てがっつり見ているのは童貞だから仕方あるまい。


はて、童貞っていうよりスケベなだけじゃねえかなと、心のなかの豆知識先生が首を傾げた。

やめて。



そうした心の葛藤をよそにエイプリルはため息をついた。

「困った」とぽつりと漏らした。


言い訳をする。

「案内された王の間には入ってない!

 ――だけど、昨日変な夢を見て、骸骨に玉座に座られそうになった」


「座った?」

「豆知識先生が助けてくれた」

「だれ、それ」


もぐもぐとパンを食べていた小人がガッツポーズをした。

「対呪防衛機構が上手く作動したようどすな!」


「――なのかなあ。報告するとその時にゴーレムの鍵というのを貰ったよ。

 王の間にあるやつの」


「どふっ」

ちゃっきーがパンをむせた。

対面のエイプリルが顔を拭く。す、すまねえ! と小人が平謝りしてる。


「それあかんやつやで!」

「なんかそう書いてる。……呪いまでついてるのだけど、どうすれば良い?」


「あー。うーん。

 ――辞世の句の用意から始めよう!」

「あかんやつや!!」


「水取くん……」

エイプリルの顔色が悪い。


「どうして、受け取ってしまったの? 帰れなくなるのよ」


「正確にいえば、今の状態で帰るとテロリストコースだべさ。

 ――千の秋の王はな。戦う事が大好きな奴でな。超のつく問題児なんや。

 つ国に帰ってもお前様の体を乗っ取って世界大戦を起こすぐらいは頑張る逸材」


逸材にも程があった。



「ど、どうすれば?」

「どうしようか!!」


「まだ一度も呼んでいないなら千秋王は寝ている、はず」

「お。解呪はおいどんより詳しそう」

「星乙女の護符を作る。それ持っておいて。

 そしてそのまま帰れば千秋王は諦めて離れる、……と思う」


自信がなさげだ。


「それに、このまま居ても水取くんは沼の魔女に殺されてしまう。

 居た場合は血だまりに倒れる未来が見える」

「うお」


「おとなしく帰れば助かる未来も見える。

 ――お願い、水取くん。手遅れになる前に帰ってくれる?」



帰る方向で決まった。

寝ている間に帰還のための魔法式は出来上がってたらしいけども

星乙女の護符の用意ですぐに帰還とはいかなくなった。2日程待つことになった。


脳内のヨアヒムさんは

「ええ。それが良いでしょう。呪いの方は私どもの方でも抑えるように協力します」


そう言うと豆知識先生と一緒に親指を立てた。

記憶の中から覚えたらしい。




ほどよくダンディのままで居て欲しい。



ともかくも、元の世界へ帰る事になった。

BGMは展覧会の絵のバーバヤーガ手前ぐらいのプロムナード。

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