28 『孫と祖父』
ヨアヒムさんが脳内で茶を飲んで正座してくつろいでる。
初老の枯れた武士といった感じだ。
スケルトンの時と雰囲気は変わらないのね。目隠しは取って和服を着ている。
渋い。
「これは喜ばしい事ですな。弟子に教えを続けられるという事ですから。
普段は奥に引っ込んでおりますから用件がある時だけお呼びください。
何気ない事まで一つ一つ見られては嫌でしょう」
はい。そのとおりでございます。
ヨアヒムさんの周りに日本庭園が出来る。
小さい茶室が出来た。
老いた剣の達人が立つと非常に絵になる。
「これは勇者殿の記憶ですかな。風流ですな」
お気に召された。
豆知識先生が遊び相手が出来たとばかりにヨアヒムさんの和服の裾を握って振り回している。
ヨアヒムさんは小人に引っ張られて池に行き鯉の餌をぱらっと一緒に撒く。
和やかな光景だ。
切り札の説明を受けた。
「切り札を使うと私が得た剣技を勇者殿が同じように使えます。
ダメージを受けるまで最大一時間、との事です。随分と余裕のある時間ですが
相手がこれを知れば時間を稼ぐでしょう。お気をつけ下さい」
「すげえ! 元剣聖とか言ってた?」
「それは勝手に呼ばれただけですな。私は師匠に一度も勝った事がありませんぞ」
「……恐ろしい人がいるもんだな」
「美しい人でした」
「へえ」
「人ならざるお方ですから、いつか勇者殿も会えるかも知れません」
「楽しみだなあ」
「ええ。勇者殿も一層強くなるでしょう」
修行モードはちょっとパスしたい。
「朝練は変わりなく続けれます。
心を覗ける霧の魔女殿とコボルトの大君は私に気付くでしょう。
ミム殿にはよろしく言っておいてください」
「らじゃー」
「おはよー!」
赤マフラーの小人が部屋に入ってきた所で脳内劇場に幕を落とした。
「人参体操の時間だべ。お。水取どんも起きたどすな。行くべ行くべ」
小人が入ってくると部屋の雰囲気が明るくなる。
ちょっと残っていた黒い雰囲気も消えて随分と助かる。
現実の小人も脳内の豆知識先生も居るだけでありがたい。
脳内住民:豆知識先生、ヨアヒムさん、奥の方に千秋姫の禍々しい部屋 (ひぃ)
次回 29 『今後の方針。やっぱり変更なし』 どす。




