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27 『ブラッドレター』

脳内にウィンドウが出ている。

――騎士ヨアヒムが死亡しました。-more-



この-more-って何だろう。

豆知識:

-more-表示がある場合はクリックして続きを読む事ができる。

知らなかったよ!


豆知識先生に促されてクリックする。



――騎士ヨアヒムに切り札『死ぬ前に良い奴(ブラッド)になる権利(レター)』を使いますか? (y/n)



……。なんだろう、これ。ネタと思ってた切り札の使用を尋ねれている。

豆知識先生が目をキラキラさせて正座してる。とても期待しているようだ。


yを選んだ。たぶんこれが正解なんだろう。

死ぬ前に良い奴になるって、もう既に死んでるのだけど。

いやヨアヒムさんは良い人だったけど。



考えている間に魔法が開始された。


――時間跳躍を開始します。


立ちくらみがする。


足元がガラスのようになり下に情景が映った。

水族館の巨大な水槽の上に立って下を見るような風景だ。


過去の光景が映っている。遠くは見づらく近い過去は見やすい。

ある地点に注視すると目線が潜っていく。過去をそうやって見る。

不条理に満ちているが感覚上では整合性があるという不思議があった。


引っ張られる。

目的の過去へと向かう。


白い花の中庭で小人がヨアヒムさんとハイタッチしている。

ああ、最初にあった時のだ。

暇人だなあって言ってたっけ。


過去のヨアヒムさんに触れる。ヨアヒムさんが銀色に一瞬輝く。

え?


――騎士ヨアヒムに死ぬ前に良い奴(ブラッド)になる権利(レター)を使用しました。



そしてまた上へと引っ張りあげられた。

ちゃっきーさんがこちらに手を振って見送ってる。そんな伏線が。え?

じゃあ死ぬって既に判ってた事? 銀色の光は死亡フラグ!?



混乱しながらも過去から戻る。

脳内は真っ黒でウィンドウだけが見える。


――魂の収穫に成功しました。

――死者からEXP『騎士ヨアヒム』を獲得できます。インストールしますか? 必要容量30 (y/n)


yを選ぶ。


――騎士ヨアヒムをインストールしました。(97/300)

――切り札『騎士ヨアヒム』を獲得しました。

――騎士ヨアヒムのアバターを表示しますか? オプションで切り替えが可能です。 (y/n)


yで。



……。

「勇者殿。これは中々恥ずかしいものですな。私としてはもう少し死の余韻に浸って貰いたいところですが」

ヨアヒムさんの声が脳内に響いた。


誰だ、この人。ヨアヒムボイスを持った見知らぬ老人。

白髪で短髪、髭があり柔和な表情をしている。


「ふむん。これは生前の姿ですな。もう少し若い頃が良かったのですが、骨の体よりは良いでしょう」

細めていた目が開くと眼光が鋭い。木刀を出現させて軽く振ってみせる。



まごうこと無くヨアヒムさんだった。





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