第三話
しばらく進むと、道の脇に小さな洞窟があった。
「ここか……」
ゲームで見たことがある。
俺は霊馬を消し、洞窟の中へ入った。
内部は暗い。
足元に注意しながら進む。
そして、少し奥へ進んだところで――
「……これ」
壁際に置かれていた武器を見つけた。
長い刀身。
「長刀だ」
手に取る。
ずっしりとした重さがある。
だが、扱えないほどではない。
「これなら……」
俺は何度か振ってみた。
長い。
打刀よりも明らかに間合いが広い。
「やっぱり、こっちのほうが俺には合ってる」
長刀を腰に収める。
そのときだった。
「ウェル、ウェル……」
「ん?」
声が聞こえた。
洞窟の奥から、一人の男が歩いてくる。
「誰だ?」
男は俺を見て、にやりと笑った。
「ウェル、ウェル」
まるで面白いものを見つけたような顔。
「……敵か」
男が武器を構えた。
俺も長刀を抜く。
「来るなら来い!」
男が踏み込んできた。
速い。
でも、動きには見覚えがある。
ゲームで戦ったことがある相手だ。
「そこ!」
攻撃を避ける。
長刀を振る。
男が後ろへ飛んだ。
「なかなかやるな!」
「そっちもな!」
何度か刃を交える。
俺は相手の動きを読んだ。
攻撃の後には隙がある。
そこを狙う。
「終わりだ!」
長刀を振り抜く。
男の武器を弾き飛ばした。
男はその場に尻餅をついた。
「……参った!」
俺が長刀を向けると、男は慌てて両手を上げた。
「待て! 殺さないでくれ!」
「……」
さっきまでの態度はどこへ行った。
男はそのまま地面に額をつけた。
「頼む! 命だけは!」
「土下座……」
俺は思わず呟いた。
「本当にするんだな……」
「何でもする! だから許してくれ!」
俺はしばらく男を見た。
殺す必要はない。
「分かった。殺さない」
「本当か!」
「ああ」
男は顔を上げた。
そして、懐から一つの道具を取り出した。
「なら、これをやる」
「なんだ?」
「特別な道具だ」
金属でできた拘束具のようなものだった。
「最初の王臣を縛るために使える」
「王臣を?」
「ああ。ただし、一度しか使えない」
俺は道具を受け取った。
「一回だけか」
「そうだ」
男は立ち上がる。
「また遊びに来いよ」
「遊びに?」
「今度は負けない」
俺は少し笑った。
「分かった。また会おう」
男も笑った。
俺は洞窟を出る。
外へ出ると、明るい光が目に入った。
霊馬を呼び出す。
「さて……」
長刀を腰に差す。
そして霊馬にまたがった。
「そろそろ、本当に先へ進むか」
目指すのは最初の王臣。
忌鬼イメイ。
俺は霊馬を走らせた。
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