↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『王環』―独りぼっちの死にゲー攻略―  作者: 玉葱将軍


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/40

第十六話


 トロールを倒したあと、旺樹はその場で少し休んだ。


 さすがに疲れている。


 あれだけ大きな相手と戦ったのだ。腕も重いし、身体全体に疲労が残っていた。


 それでも、いつまでもここにいるわけにはいかない。


 この先には、イメイのいる城がある。


 旺樹は精神を集中させ、自分の状態を確認した。


「……レベル、二つ上がってる」


 トロールを倒したことで、一気に二つレベルが上がっていた。


 旺樹は迷わず、その二つを技量へ振る。


「これで、また長刀が扱いやすくなるな」


 トロールとの戦いでは、長刀の扱いやすさがかなり重要だった。


 少しでも動きが遅れていれば、あの巨大な武器に巻き込まれていたかもしれない。


 技量が上がったことで、身体の動きも少し軽くなったように感じる。


「よし」


 旺樹は立ち上がった。


 ここからは霊馬で城まで向かう。


 ゲームなら、この先は霊馬に乗って一気に駆け抜けるところだ。


 道中の敵なんて、ほとんど無視していた。


 だが――。


「現実だと、そうはいかないよな」


 旺樹は城へ続く道を見る。


 そこには、まだ王の兵士たちがいる。


 通常の兵士。


 そして、弓兵。


 さらに城の入り口付近には、設置型の火炎放射器まであったはずだ。


「……結構きついな」


 トロールを倒したからといって、ここから先が安全になるわけではない。


 むしろ、敵の数と種類は増えていく。


 幸い、最初の商人から弓と矢を少しだけ買ってある。


 大量に持っているわけではない。


 だから、無駄にはできない。


「少しずつ処理していくか」


 旺樹は霊馬を呼び出した。


 黒い身体に小さな角を持つ霊馬が、目の前に現れる。


 その背に跨がると、長刀と弓を確認する。


 そして、狼の霊媒を取り出した。


「今回は、狼にするかな」


 クラゲは攻撃と囮。


 騎士長は防御。


 毒娥は敵の動きを鈍らせる。


 そして狼は――。


「索敵もできるし、見つけた敵を勝手に攻撃してくれる」


 しかも、動きが速い。


 霊馬に乗ったままでも、狼なら敵へ向かわせることができる。


「道中の兵士や弓兵なら、たぶん攻撃が入れば倒せるはず」


 狼の攻撃力は高い。


 その代わり、耐久力はかなり低い。


 だから、長時間戦わせるつもりはない。


 敵を見つけたら狼を向かわせ、倒せる相手を素早く倒してもらう。


 その間、旺樹は霊馬に乗ったまま周囲を警戒する。


 必要なら弓で援護する。


「弓兵とは相性よさそうだな」


 狼なら素早く距離を詰められる。


 弓兵がこちらへ矢を放つ前に接近できれば、それだけでもかなり楽になる。


「じゃあ、行くか」


 旺樹は霊馬を走らせた。


 城へ続く道を進む。


 しばらくすると、前方に兵士の姿が見えた。


 さらに奥には弓兵もいる。


 旺樹は速度を少し落とした。


「いたな」


 狼の霊媒を使う。


 次の瞬間、三匹の狼が現れた。


 三匹は地面へ降りると、すぐに周囲を探り始める。


 そして――。


 一匹が敵を見つけた。


 それを合図に、三匹が一斉に駆け出す。


「速っ……!」


 狼たちは一気に距離を詰め、兵士へ襲いかかった。


 旺樹は霊馬に乗ったまま、その様子を見守る。


 兵士が反撃する。


 だが、狼たちは素早く動き回り、攻撃をかわしながら食らいついていく。


 やがて兵士が倒れた。


「やっぱり強いな」


 狼たちはそのまま次の敵へ向かう。


 弓兵だ。


「頼むぞ」


 三匹の狼が一気に駆ける。


 弓兵がこちらへ弓を向ける。


 だが、狙いを定めるより先に狼が距離を詰めた。


 弓兵は慌てて後退する。


 その隙に、狼の一匹が飛びかかった。


 続けて別の狼が襲いかかる。


 弓兵が倒れた。


「……これは便利だな」


 旺樹は思わず感心した。


 自分がいちいち霊馬から降りなくてもいい。


 狼が敵を探し、見つければ自分から攻撃してくれる。


 その間も旺樹は周囲を確認できる。


 ただし、狼の身体はかなり脆い。


 攻撃を受け続ければ、すぐに消えてしまう。


「無理はさせないようにしよう」


 旺樹はそう考えながら、霊馬を進めた。


 敵を見つければ狼を向かわせる。


 危険そうなら弓で援護する。


 そして、周囲を確認してから先へ進む。


 ゲームのように、ただ走り抜けるのではない。


 一つずつ安全を確認しながら進む。


 そうしているうちに、城が少しずつ大きく見えてきた。


「……もうすぐか」


 旺樹は前方を見る。


 城門が近い。


 そして、その周辺には――。


「あった」


 記憶にあるものと同じだ。


 城門の近くに設置された、火炎放射器。


 固定された装置から、一定の方向へ大量の炎を噴き出す仕掛けだ。


 ゲームでは、タイミングを見て避けながら通り抜けていた。


 だが、今は炎に触れればどうなるかわからない。


「……あそこは慎重に行かないとな」


 旺樹は霊馬の速度を落とした。


 城門はもう目の前だ。


 だが、ここまで来ても気は抜けない。


 旺樹は長刀に手を添え、城門を見据えた。


「……イメイの城か」


 最初の王臣。


 忌鬼の戦士、イメイ。


 そのいる場所は、もうすぐそこまで迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。