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閉幕







 

 ――――――あ……。


 あれ、ここどこだ?

 真っ暗だ……。



 ――――郎。



 ん?

 …………この、声は。



 ――――凛太郎。



 父さんの声だ。



 俺が声の主の正体を把握して後ろを振り返った先には、顔に靄のかかった父親の姿が目の前にはいた。



「父……さ、ん……?」







 

「凛太郎、なんだこの点数は」

「ごめんなさい」




 




「と、昔の俺……」



 振り返った先には父親だけでなく、昔の俺の姿もあった。

 こっちの姿は靄もかかっておらずはっきりとしている。


 そうか、これは夢か。

 しかも最悪なことに昔の記憶の夢だ……。


 ………………なんで夢か分かったかだって?

 だって、この目の前にいる俺は明らかに三歳より育ってる。

 俺は三歳の頃から父親に会ってないから、現実でこの光景はありえなかったからだ。







 

「そんなことばを聞いていないのは分かってるだろう。なんでこんな点数になったんだ」

「っ……、一カ所だけ、すぐに解けなかった問題があって、時間が足りなくて、それで……」

「はぁ……」

「っ!ご、ごめんなさい!」








 あー、そういえばあったなあ。

 小三年から中学受験の勉強させられて、小四の時に塾のテストで初めて95点以下の点数だしたやつ。

 ていうか、それまで俺の点数ほぼ100点か98点代しか取ったことなかったからめちゃくちゃ怒られたんだよなこれ。


 びくびくしてる俺、懐かしー。

 父さんは家を出てった癖に、世間体を気にして家に電話してきては俺の勉強をチェックして、新しい課題やらなんやらを与えて電話を切っていた。

 事実と少し違うのは、何故か夢の中では目の前に顔は見えないけど、父さんが小さな俺の目の前にいるってところ。

 俺の学力が低い事で他の親御さんとか会社の人間に舐められないようにするために勉強は昔からされていた。


 とは言ってもな? この時には俺、もう中二レベルの勉強させられてたんだぞ?

 今思えば、その年齢の子供にそのレベルの勉強は過酷だろう。と今なら思うけど。


 と、そんなこと思ってたら、急に周りの風景が変わった。





「凛太郎、中学卒業おめでとう」

「ありがとうございます」








 これまた何故か夢の中だと、顔が見えない父親が中学卒業したばかりの俺の目の前に居る。

 この時も、卒業式を終えてまっすぐ帰った後に鳴った電話を取った時の記憶だ。







 

「もうお前も高校生になるから、これからのお前の進路を伝えておこうと思う」

「……はい」








 俺は、父親から自分が何になりたいか、とかどんなことがしたいかだなんて一度も聞かれたことがなかった。

 俺はずーっと父さんが引いた、父さんの都合がいいレールの上を歩かされていて。

 この時にたしか、初めて俺に弟がいるっていうのを知ったんだよな。


 父さんが話した内容は簡単に言うと、俺はこのまま勉強をしっかり続けて、大学へ進学し卒業を終えたら、ちょうど四歳年下の弟が大学へ進学するそのタイミングで父さんの会社を継ぐために父さんの会社へと入社するという内容だった。


 ここまで聞くと、これは一族経営の大手企業などに多くあるような普通の話かもしれない。

 ここまで聞けば。だが。


 その後の話は、怒りやら吐き気やら頭痛やら動悸やらで電話を終えた後、膝から崩れ折れるくらいの気分の悪さだった。


 どうやら、俺は、その四歳年下の弟の為に育てられた人形だったのだ。

 世間体を気にする父さんは、もちろん俺を会社に付かせて、ゆくゆくは父さんの今の座を俺に譲る。という態で、どうやら弟に財産のすべてを継がせるつもりだったそうで。

 俺は所詮、弟の代わりにつらーい仕事をして、その仕事した分は全て弟に渡るという操り人形の役割をこれからの将来させられるという内容を、この電話では聞かされた記憶がある。


 片手で口元を押さえて、もう片方の手で震える身体を掻き集めるように抱いている目の前の中学卒業したての俺。

 この時までは、会いに来ないけど、頻繁に連絡をくれるからもしかしたらっていう気持ちが父さんにあったからなあ…………。

 まあ、そんな気持ちは馬鹿な思い違いだったけど。


 ………………卒業、おめでとう。俺。


 そこからはもう、ただ、暗くて、冷たくて、痛くて、気持ち悪い。

 そんな気持ちの記憶しか俺には無い。


 そう思った瞬間、目の前が再び暗闇に包まれて、足元がまるで沼の様に変わり、ずぶずぶと、ゆっくり、少しずつ、足先から沈んでいく。



「っはぁ!? なんだよこれ! ぅー……っ! ぁあ! くそ! 抜けねえじゃねーか!」



 突然変わった、足元。

 慌てるしかない俺は足を引き抜こうとするが、抜け出せず。

 夢の中だというのに、やけに沼の感触がリアルで、まとわりつく感触が気持ちが悪く吐き気をもよおしそうだった。


 青ざめながらも、どうしたものかと思案しようとしたその時。

 ごぽり、となにやら下から湧き出てくるモノがあった。




 

 ごぽり。



 ……り、んた、ろう。



 ごぽり。



「っひ!」



 暗闇だというのに、何故か真下の足元の黒面がごぽりごぽりと泡を出し、波うち、しだいに人のような顔になっていくのが分かる。



「な、んだよ……」





 ごぽり。



 り、ん……たろ、う。…………逃げたな。りんた、ろ、う。



 ごぽり。





「………………は、はは、嘘だろ?――――――――――父さん?」




 ごぽり。



 に、いさん、どうしていなくなったのさ。



 ごぽり。



 キョウ、ちゃーん、どこいっちゃった、のさー。おれ、たちと、あそぼ、うよー、ぁはははははは。



 ごぽり。



「やめろよ。もう、あんた達は、会うはずがない。そうだろ?」



 出てくる出てくる。

 俺の嫌な記憶達。

 顔も覚えてもいない父さん。

 会ったこともない弟。

 関わりたくもなかった同級生。


 そいつらは黒面に顔をだすとその黒面から黒い手のような泥を俺に伸ばしてくる。



「やめろ…………、俺に、触らないでくれ!」



 必死に振り払おうと腕を振るうも、余計に俺自身が泥に汚れるだけで、伸びてくる泥は変わらず迫ってくる。



「……ひっ、い、いやだ」



 伸びてきた泥は俺の膝から太もも、腰回りから上半身、腕に次々に纏わりついてくる。

 必死にもがいて黒い泥沼から抜け出そうとするも、抵抗も空しく身体が腰まで沈んでしまった。



「…………た……けて」



 そういえば、俺。

 最後にこの言葉言ったの…………いつだっけ。



「……たす、けて」



 ごぽり。



「だれか、たすけて」



 ごぽり。



「だれ…………、ゼン」



 ごぽり。



「ゼン………………、助けて!」











 ――――リンタロウ。



「っ! ………………、ゼン?」



 ――リンタロウ、こっちだ。



「ぁ…………、ゼン」



 ――戻ってこい。リンタロウ。





 どこからか、ゼンの声がする。

 こっちだって、戻って来いって。


 その声が聞きなれてきたのは最近のはずなのに、誰よりも異世界へと渡ってから一番多く聞いていたから、とてもあたたかく安心する声。


 上、上から声がする。


 ふと上を見上げると、真っ暗だった夢の世界に上の一部分だけが、いつの間にか白く光を放っていた。


 あそこだ。

 あそこにゼンがいる。





 ――帰ってこい。リンタロウ。

 プティ君も無事だ。皆も心配している。お前の目覚めを待っている。


 

 そっか、プティ君。無事なのか。



 ――俺はここに、お前の傍にいる。





 ゼンのその言葉を聞いたらなんだか、俺の右手がとてもあたたかい何かに包まれているのを感じて。

 上を向いていた顔をゆっくりと手先に向けると、何故か俺の右手が誰かの大きな手の形に白く光を帯びていて、さっきまでまとわりついてた黒い泥は何処かえ消え去っていた。





 ――帰ってこい。リンタロウ。





「……うん。帰る。俺、皆の元に」





 夢の中の帰り方なんて分からないけど、今はこうすればいいって、不思議と分かったんだ。


 俺はあたたかい光に包まれている右手を、上の白く光を放つ先へと伸ばした。





「ゼンの元に、帰るよ」











「…………リンタロウ」


「…………………………………………ゼ、ン」



 全身がこわばっていてるし、ズキズキと痛むので動かせないけど。

 視線と口だけはどうにか動かせたので、俺の右手を握るあたたかい手の持ち主、ゼンの姿をはっきりと確認して名前を声に出すことができた。


 今少し声を出してみて思ったけど、この声の出しずらさ。

 凄く既視感を感じる。



「おれ……、どれ、くらい、ね、てた?」

「っ、はは……今回は、二日だよ」



 起きて最初の一言が、自分の睡眠時間を聞いたのがどこか可笑しかったのか。

 真剣にこちらを見つめていたゼンは表情を破顔させて、優しく微笑みかけてくれた。


 寝起きにその眩しいくらいの優しい微笑は凶器のようです。



「…………わら、うなよ。眩しい」

「ん? 聞こえないなぁ」



 その返事を聞いた瞬間、あ、こいつ分かっててやってるんだなとすぐに気づいた。



「………………リンタロウ」

「ん? …………」

「おかえり」






「………………ただいま」








 その後、すぐに部屋に入ってきたパルフェット様によって更に治癒魔法を施されたり。

 俺が起きたことに気づいた双子お兄ちゃんズに突撃されて、それを叱るベルトラン君を見れて、再びこの場に戻れたことが凄く嬉しい。

 そして、何より…………。



「リン、兄ちゃ…………」

「プティ君! ……」

「ぅ、ふぁぁあああ! にいちゃぁああああ!!」



 大量の涙を流しながらも、プティ君が無事な姿で俺に抱き着いてくれたことが、何よりも、心底嬉しかった。











 ドゥース様やセリューさんも含めたリッシュ家全員が俺の部屋へと集まり、再会を喜んで一息落ち着いた頃。

 まだ、病人という事でゼン以外の皆は部屋の外へと出て、俺に気を使ってくれた。

 双子お兄ちゃんズとプティ君は渋ってたけどな。


 そして、俺が倒れたその後の話をゼンに教えてもらったんだ。







 

*********








「どうにか、間に合ったか」



 そう呟いたゼンの腕の中には、ぐったりと力なく眠っているリンタロウの姿があった。

 







 リンタロウを捜索していたゼンは、暗闇の中を飛ぶカリスタの上から突如として目が眩むような光を放つ一帯の森を目にした。

 ゼンがその眩しさで目をやられないように腕で光を遮りその先を見ると。

 不自然に一部だけ光輝く森が広がっていたのだ。

 そして、それはよく見ると一部の方向に少しずつ範囲が広がっていっているではないか。


 そこで、ゼンは確信した。

 あれはリンタロウの仕業だと。



「カリスタ! あの光が伸びる先へ向かえ!」



 返事をするまでもなく、カリスタはゼンの指示に従い、光の先へと両翼を力強く羽ばたかせ、今までの中でトップスピードではないかと思われるスピードで目的の場所へと目指した。

 そのおかげか、目的の場所までかなりの距離があったにもかかわらず、かなり速いスピードで辿り着くことができたのだが。

 その先でゼンの目に映った光景は、ゼンの心を大きく揺さぶるには容易だった。


 ボロボロになったリンタロウ。

 そしてそのリンタロウの頭を掴み引きずる謎の男。

 どうみても、こいつが盗賊団の一員であり、それなりの立場の者だとすぐに分かったゼンは、まだカリスタが地面へと降り立つよりも前に飛び降り。

 その勢いのまますらり、と鞘から抜き取った双剣の一振りをリンタロウの頭を持つ男の腕へと振り下ろした。



「シェイ! 逃げろ!!」

「――――――ぅ、ぐぁぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

「っち、武装解除魔法か」



 腕を切り落とすつもりで振り下ろした刃は、目的の腕を掠めただけで、完全に切り落とす前に何かにはじかれたかのように双剣のうちの一振りが飛んで行ってしまった。

 恐らく、パルフェットに使用された武装解除魔法と同じ魔法を、どこからか聞こえた銃声の主が放ったらしい。




「リンタロウ! しっかりしろ! まだ意識はあるか!?」



 ゼンが盗賊団の男の腕を切りつけた事で、リンタロウの頭を掴んでいた男の手が離れたためリンタロウが地面へと倒れ込んでしまう。

 間を開けずに右手だけに残った剣を周りを警戒し構えながら、ゼンはリンタロウの身体を抱え敵との距離をとった。


 敵の方を一瞥すると、どこからか現れたリンタロウを掴んでいた男に駆け寄る仲間らしき男の姿があった。

 仲間らしき男はそのままゼンが切りつけた男の応急処置を施すようで、こちらにも状況把握の時間があると判断したゼンは『遅くなった。もう大丈夫だ』とそう言って手早くリンタロウの状態を確かめた。

 かなりの負傷をしているリンタロウの様子を確認し不自然に膨らみがある背中を確認すると、そこにはプティの姿が。


 こんな所に……、また器用なことを。


 ゼンは心の内でそう呟くと、リンタロウのツナギの前を開けてプティの身体を取り出して簡単に状態を確かめた。

 そして、熱が高い他は所々打ち身のような痣ができているが、どうやら軽症で済んでいる様子に一息付けたが。

 問題は、凛太郎の方だった。



「まずいな、リンタロウ。聞こえているか?」



 そうリンタロウに声をかけたが、返事がなく。

 どうやら魔力もオーバーシュートして、自身で制御できなくなり魔力が枯渇しかけているのはゼンもすぐに把握できた。

 だがしかし、リンタロウが返事もできずに意識が消えているか消えきっていないかも分からない状況の今。

 ゼンができる応急処置は一つしかなかった。



「――――すまない」







 

*********







 

「ふーん、それで応急処置って何したんだ?」

「普通の初歩的な応急処置だ」

「…………うん。だからその応急処置ってどうやんの?」

「まあ、簡単に言うと俺の魔力をリンタロウに与えたんだ」

「あー! だから、意識消えかける瞬間にゼンの魔力を感じたわけだ!」



 ん? でも待てよ。

 あの時、ゼンの魔力はどうやって俺の中に入ったんだ?

 この前みたいに手を合わせて送ったとか?

 …………送られた感じは、なんか手の先からっていうより腹の内側からって感じがしたんだが。



「ちなみにその魔力を与える方法って、どんな方法を使ったんだ?」



 ほら、もしかしたら今後俺も誰かに魔力を与えることがあるかもしれないだろ?


 俺がそう言うとゼンは。



「普通の初歩的な応急処置方法を使ったんだ」

「う、うん? だから、その応急処置の魔力を与えるのはどうやって与えればいいんだ?」

「普通の初歩的な応急処置方法を使って与えればいいんだ」



 ………………うん。

 こいつ教える気がねぇ!!!!

 はぁ? どういうことだよ! 教えろよ!


 とまあ、叫びたいところだけど、俺は病人。

 そう思うと起こる気力が失せてしまって、それ以上聞き出そうとするのが億劫になってしまった。



「はぁ、まあいいや。それで? その後は? リーダーの男はどうなったんだ」




 




*********





 



 ゼンがリンタロウに十分な量の魔力を与えて、リンタロウから魔力が漏れ出ないように魔力を操作した後。



「こんの、クソS級冒険者め!!」


「…………どうやら、悪態吐く元気はあるようで何よりだな」



 ゼンが無事を確認したプティ君と、応急処置を施したリンタロウを優しく横たえた後。

 同じく仲間であるフードの男に応急処置を施されたリーダーの男が、かなり距離をとっているはずなのに、ゼンに向かって唾が飛んできそうなほどの勢いで暴言を吐いた。

 ゼンはゼンでそんなリーダーの男の暴言なんて痛くも痒くもないので、どこ吹く風だ。



「シェイ! これ以上はダメだ! 奴の仲間も近づいている。ここは逃げるしかない」

「わかってる!! ふーっ! ふーっ!」



 剣が掠めたと言ったが、決して浅い傷ではない傷を負ったリーダーの男は、いろんな意味で興奮しているせいか息が荒い。



「ここに付く前に仲間にこの場所を知らせた。おそらく、お前らの仲間は今頃取り押さえられているはずだ」


「こんの! クむぅぐっ!!!」

「落ち着け! これ以上血が昇ったら傷に響く! ここに来る前に他の奴らには速やかに逃げるように指示はしたが、おそらく、あの男の言うとおりだ」

「っ! んのやろう……」

「この場は逃げるぞ」


「俺が大人しくお前達を逃がすと思うか?」



 ゼンはそう言うと右手に持つ剣を掲げて臨戦態勢へと入った。



「っは! ははははは! ここに来るまでこれだけ時間がかかったんですもんねぇ? どうして俺達がここまであなた達の警戒を潜り抜けて逃げられたと思いますぅ?」

「…………認識阻害の魔法の使い手はお前か」

「せーいかーい!! 残念でしたねぇえ! クソ冒険者! ………………………………次あったら絶望の闇を見せてやりますよ」



 リーダーの男がそういうと、傍にいたフードの男と共に二人の姿が消え。

 それと、リーダーの男が乗っていたバイコーンとフードの男が乗ってきたであろうバイコーンも共に姿を消して、匂いや気配、様々な情報を消して逃げ去られてしまったのであった。




 




*********





 



「そっか、逃げたのか、あいつ」

「すまない。リンタロウやプティ君。リッシュ家の牛達は無事に保護できて、その他の仲間の盗賊と思われる奴らは捕まえられたんだが…………」



 俺を助けてくれたっていうのに、何故かすごく申し訳なさそうな顔をするゼン。



「なんでゼンが謝るんだ? 俺やプティ君、牛達を助けてくれて、たくさんの盗賊たちを捕まえてくれたじゃん」

「…………しかし、リンタロウを傷つけたやつを野放しにしてしまった」

「そっちの方が好都合ってもんよ!」

「?」



 俺の言葉に綺麗な角度で首を傾げて、頭にハテナマークを付けるゼンの様子は、普段のイケメンと比べたらちょっと可愛いかもしれない。



「だってさ、今度もし、またあいつに出くわす機会が俺に合ったら」

「そしたらその時は――」

「そしたらさ!」



 たぶん、ゼンが言いたい言葉の続きは俺が捕まえる。とか、俺が倒す。とかそんな感じだとは思うけど。

 俺はその言葉の続きを、同じ言葉を使って遮った。



「そしたら! その時は俺がボッコボコにできる機会があるから! 好都合ってもんだね!」

「…………は、ははははは! あはははははははは!」

「うわ! びっくりするな! そんなに笑うか!?」

「いや、リンタロウ、それは、お前、っく、あはははははははは!」

「あ! 無理だって言いたいのか! 俺はこれでも少しはできるってお前も知ってんだろ! あいつと次会う機会がある時までにはもっと強くなるつもりだからいいんだよ!」



 ゼンに何を言っても、しばらくゼンの大笑いは止まらず。

 肝っ玉母さんパルフェットに叱られるまで、ゼンの笑いと、俺の文句の言い合いは止まなかった。









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