皇 一
「綺麗な庭だね〜」
「あぁ、あまり人間界へ来た実感が湧かないな」
城の方から1人の上品な老人が歩いて来る。
「クラウス様にハインツ様ですね?お待たせいたしました。この城を管理しております。
皇 一と申します。好きにお呼びください」
「すめらぎ、貴様。人間か」
「怖いよ〜クラウス。よろしくねっ。はじめちゃーん」
「ハッハ…失礼。構いません。私は3年間お2人の執事となります。城のことは私めにお任せください」
《ハインツ様はお優しい。クラウス様も随分と大きくなられたようだ》
「すめらぎ…俺に会った事があるのか」
皇は驚いて言った。
「いやはや…本当に心の声がお聞こえになるのですな…。あります。クラウス様がお生まれになられた時に一度。魔王城でお会い致しました」
「人間が魔界へ!?そんな事聞いた事がないぞ。貴様…一体何者だ」
信じられん人間などに…父上は俺の能力のことまでこいつに言ったのか…。
「まぁまぁ、クラウス。中に入ろうじゃないか」
クラウスはハインツに背中を押され城へ向かう。
薔薇の庭園を抜けると、白亜の城が聳え立っている。
皇が口を開く。
「この城を建てられたのは魔王様です。クラウス様がお産まれになった際に、こちらへ」
「………父上がか…」
「どうぞ、中へ」
城内は細かい装飾が施され、雅やかな空間を造り出している。
その中心には大きな中央階段が姿を現す。




