想いと願い
謁見の間から魔王の部屋に場所は変わる。
「コンコンコンコンコンコンコンコン」
「入りなさい」
「父上どういうことです」
「あぁ、もう。扉ノックしすぎだし!そうやって怒るだろうから謁見の間で話したのに!!」
「そんな可愛く言ってみても、許しません」
「リノラ〜。クラウス怖いよ」
「クラウス〜、魔王のお父様が怖がってるわよ〜」
「でも…母上……」
「クラウス…この話が覆ることはないわ…」
《3年後、人間になるか魔王になるか、決めることになる》
「父上、母上…どういうことです」
「あぁ、やっぱり…心の声を読まれてしもうたか…」
「しょうがないわ〜あなた」
「魔王か人間など魔王に決まっているでしょう!!!」
「分かっとるよ……」
《倅が魔王を継いでくれるのだ、嬉しいに決まっている》
「だったらどうして…」
「クラウス!3年だけよ。黙って行きなさい」
《ごめんね、クラウス……》
「母上……」
「キーッ、バタン…」
魔王の部屋から大人しく出ていくクラウス。
「あなた……」
「リノラ…あの子のためだ。3年後に、私たちの『想い』と『願い』を分かってくれると信じよう……」
「…そうね……」
……何が人間になるか魔王になるかだ。
父上も母上も俺を見くびっているのか?
いや、そんなはずは無い。
「クラウス〜」
「ハインツ…お前まだいたのか」
「もー諦めて行こうよ」
「……」
「僕は楽しみだよ?楽しそうじゃん。人間界」
俺はこの言葉を聞いて思い出していた。
この前にハインツが言った心に残った言葉を、
———「今しか作れない思い出が、作れないじゃないか」———




