幼きクラウスと幼きハインツ
幼きクラウスと幼きハインツ
クラウスが5歳の時に、時は遡る。
「クラウス王子、あーそぼ」
《お母さまがこいつとは仲良くしとけって言ってたな》
「いやだ、あっち行け……」
「……」
去って行く少年。1人で遊び続ける幼き頃のクラウス。
「クラウスさま〜、こっちで遊びましょ」
《結婚するために、今のうちから仲良くしとかなきゃ》
「行かねえよ…誰だお前」
立ち尽くす可愛らしい悪魔の少女と、また1人で遊び続けるクラウス。
遊ぶ時はずっと独りだった。父と母が用意した遊び相手の臣下も俺と遊ぶ事を、自分へのチャンスとしか考えていなかった。
そんな日々が続いた。
ある日のことだった。
金髪の癖毛の上級悪魔が話しかけてきた。
誰だこいつ。同い年くらいか……
またこいつも…。
「何してるの?」
《なんか、ずっと本読んでるな。楽しいのかな》
「別に……」
フッ…魔王の子だと知らないのか?こいつ…。
変なやつだな。
「そんな事言わずにさ〜教えてよ」
《確かヴァルキリアムス様の息子さんだよな。引っ込み思案なのかな…》
「うるさいなぁ、勝手に見れば良いじゃん」
何だ…俺のことしってるのかよ。
「うぇ、何それ。難しそうなことばっか書かれた紙」
「魔界法全書の第672章」
「うぇ…何それ。楽しくなさそう」
「なっ……お前。この世界に住みながらそんな」
こいつ……心の声が聞こえない。
いや、違う。
そのまま思った事を話してるんだ……。
「良いから良いから、ちょっと向こうで遊ぼう」
「ちょ…おま……」
ハインツに腕を引かれて森の中へ入っていった。
それは幼き頃のクラウスにとって、今でも忘れられない懐かしい思い出だった。
俺はその時走る自分の脚を見て、不思議に感じた。
こんなに早く動くのだと、初めて知った気がした。




