黒宮と一ノ瀬
「お着替えはもう、お部屋にお入れいたしましたよ」
「え、いつの間に!?」
「……」
黙って皇を見つめるクラウス。
「人間界ではクラウス様は『黒宮 律 (くろみや りつ)』とハインツ様は『一ノ瀬 碧』という名前で生活していただきます。早速ですが、明日から人間の通う高校へ転校生という形で約3年間通っていただきます」
「はーいっ!…ップッ、クラウス。フフッ、黒宮だって〜。くーろーみーやーくーんっ」
ハインツをギロっと睨みつけるクラウス。
「うわぁ〜、黒宮くん怖ぁーい」
「おい、すめらぎ。そろそろ答えろ。お前は人間なのになぜ悪魔の俺たちを知っている」
「恐れ多くもクラウス様、ヴァルキリアムス様に止められておりますゆえ…」
「ックッ……では…」
「クラウス様、これ以上は!心をお読みになられるでしょう?私も考えてしまう…。時が満ちれば、すべて分かります」
「クラウス〜しつこい男は嫌われるよ〜?はじめちゃん困ってるし〜、人間界遊びにいこ!?」
ハインツはクラウスの腕を引っ張って、中央階段を降りていく。
「あ、おい。ハインツ」
「はじめちゃーん、ディナーまでには帰るから!」
「ハハッ…かしこまりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ。あ、ハインツ様。夕食は19時でございます」
「あ、オッケー!よろしくね〜!!」
「バタンッ」
城の扉が閉まる。
皇は2人が去っていった扉を見つめながら、静かに呟いた。
「ハッハ…長生きも悪くないですな……ヴァルキリアムス」




