大三元vs国士無双
白。
発。
中。
三つの牌が揃う時。
受け継がれた想いは、大きな力になる。
大三元の力を巡る戦い。
その前に、一人の強敵が立ちはだかった。
敵が持つ力。
それは――
国士無双。
「大三元は、誰かを信じなければ完成しない」
敵は言う。
「そんな不確かな力に、俺は負けない」
ゆづきは麻雀卓の前に座る。
小さな手で牌を握る。
まだ言葉を話すことはできない。
それでも。
ゆづきの目には、迷いがなかった。
白。
発。
三元牌が集まっていく。
一方、敵の手牌も完成へ近づく。
一九字牌。
国士無双テンパイ。
ゆづきもまた――
大三元テンパイ。
二つの力が向かい合う。
その頃。
優梨は、祖父が残した記録を見つめていた。
そこには、一族が追放された本当の理由が書かれていた。
祖父は、大三元の力を手に入れようとしたのではない。
力を悪用しようとする者から守ろうとしていた。
しかし。
その行動を利用され、
「大三元を独占しようとした一族」
という濡れ衣を着せられた。
その結果。
優梨の一族は麻雀界から追放された。
それでも。
優梨は一族を恥じなかった。
「おじいちゃんは、間違っていない」
その瞬間。
祖父が残した牌が光る。
それは、真実を受け継ぐ者へ残された道。
優梨は光に包まれる。
次に目を開けた時。
そこは、不思議な空間だった。
「ここは……」
目の前に現れた人物。
「……光一くん」
もう会えないと思っていた光一。
優梨の目から涙がこぼれる。
「どうして……」
光一は優しく笑う。
「伝えたいことがあったから」
光一は、白と発を握っていた理由を話す。
「この二枚は、勝つためじゃない」
「守るために必要だった」
光一は知っていた。
優梨の祖父が守ろうとしていた真実を。
「君のおじいさんは、間違っていなかった」
優梨は涙を拭う。
「ありがとう、光一くん」
その頃。
陽菜は、兄が残したものを見つめていた。
白。
発。
「お兄ちゃんは、最後まで誰かを守ろうとしてたんだね」
陽菜は、兄の想いを受け取る。
そして、戦いの場では――
決着の時が近づいていた。
敵の国士無双。
ゆづきの大三元。
どちらも最後の一枚を待つ。
敵が牌を引く。
しかし――
揃わない。
ゆづきは、小さな手で牌を引く。
その牌は――
中。
大三元。
完成。
白。
発。
中。
三つの牌が輝く。
その光が、あきらへ届く。
光一が守った白と発。
ゆづきが引いた中。
三つの牌が揃った瞬間。
あきらの中で眠っていた守護者の力が目覚める。
「……これが、みんなが守ろうとしたものか」
あきらは前を見る。
「俺は麻雀のことは、まだ全部分からない」
「でも」
「守りたいものは分かる」
守護者の力が開花する。
国士無双の力が押し返される。
一人で掴もうとした力。
繋いだ想いによって生まれた力。
勝負は決着した。
しかし。
大三元を巡る謎が、すべて消えたわけではない。
優梨の前で、光一の姿が少しずつ薄れていく。
「もう行くんだね」
光一は頷く。
「でも、俺が残したものは消えない」
「白も、発も」
「みんなの想いも」
優梨は涙を流しながら頷く。
「約束する」
「光一くんの想いを、繋いでいく」
光一は最後に笑う。
「ありがとう、優梨」
光が消える。
その後。
陽菜は、優梨から兄の最後の言葉を聞く。
陽菜は涙を流しながら、空を見上げる。
白。
発。
中。
大三元の力は、誰かを支配するためではない。
人と人の想いを繋ぐための力。




