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ツモ姫  作者: 耀
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血に刻まれた運命

皐が狙われた理由。

それは。

大三元の力だけではなかった。

彰は影月一族の記録を調べていた。

そこに残されていた名前。

皐の一族。

そして。

結咲と同じ苗字。

「……分家。」

皐の一族は。

ツモ姫――結咲と同じ血を持つ分家だった。

大三元を守る中心にいるのは、優梨の一族。

長い間。

その力を正しく受け継ぐために守ってきた。

しかし。

結咲の血筋は、一つではなかった。

本家を支える分家。

その一つが。

皐の一族だった。

影月一族は違った。

「力を守る者も。」

「力を持つ者も。」

「いずれ争いを生む。」

そう信じていた。

だから。

皐の一族も。

排除する対象だった。

たとえ。

祢音が愛した夫の一族であっても。

祢音は、その事実を知り震える。

「……私は。」

自分が追っていた存在。

敵だと思っていた一族。

それが。

本当は守る側だった。

「私は……何をしていたの。」

守るために戦っていたつもりだった。

でも。

知らないうちに。

守るべきものを傷つけていた。

その頃。

皐は父から残された記録を調べていた。

そこには。

自分の一族の歴史。

そして。

一人の名前があった。

光一。

「……。」

皐は息を止める。

光一。

大三元を巡る戦いで姿を消した人物。

結咲を守った人物。

しかし。

記録には疑問が残されていた。

『光一は敵に敗れたのではない』

『最後まで誰かを守ろうとしていた』

皐は眉をひそめる。

「じゃあ……。」

「誰が光一を倒したと思わせたの?」

さらに古い記録。

そこには。

皐の一族が光一と接触していた記録が残っていた。

一瞬。

皐は思う。

(まさか……。)

自分の一族が。

光一を倒したのではないか。

そう疑ってしまう。

しかし。

記録の最後に残されていた言葉。

『光一の願いを受け継ぐ』

その一文。

皐は気づく。

「違う。」

「この一族は……。」

「光一を倒したんじゃない。」

「何かを託されたんだ。」

その頃。

祢音は元旦那と再会していた。

久しぶりに見る顔。

昔なら。

安心できた存在。

でも。

今は違う。

「祢音。」

名前を呼ばれるだけで胸が痛む。

「ごめんなさい。」

祢音は頭を下げる。

「皐にも。」

「あなたにも。」

「許してほしいとは言わない。」

元旦那は静かに答える。

「……ごめん。」

祢音が顔を上げる。

「でも。」

「許せない。」

その言葉に。

祢音の目から涙が落ちる。

「お前が苦しんだことは分かっている。」

「影月一族に利用されていたことも。」

「でも。」

元旦那は拳を握る。

「皐が失った時間は戻らない。」

「俺が見てきた成長を。」

「お前は知らない。」

祢音は何も言えない。

皐には。

今の家族がある。

父がいる。

父の新しい家庭がある。

そして。

下の兄弟がいる。

「お姉ちゃん。」

そう呼ばれる日常。

祢音が知らない幸せ。

それを壊すことはできなかった。

その後。

影月一族による処刑は阻止された。

彰。

結咲。

そして皐の一族。

多くの力によって。

祢音は救われた。

しかし。

祢音の居場所はなかった。

影月一族には戻れない。

元旦那の元にも戻れない。

皐の母としても。

過ぎた時間は取り戻せない。

夜。

祢音は一人で空を見る。

「私は……。」

「何を守れたんだろう。」

涙が落ちる。

その頃。

皐は最後の記録を開く。

そこには。

光一の最後の言葉が残されていた。

『もし俺が戻れなくても』

『結咲を守ってほしい』

皐は震える。

光一は。

倒されたのではない。

最後まで。

誰かを守っていた。

皐は決意する。

「私は……真実を探す。」

光一が何を守ったのか。

誰を信じたのか。

そして。

誰が彼を追い詰めたのか。

祢音は孤独の中で。

結咲を守る。

皐は真実を追う。

それぞれ別の道へ進みながら。

二人は同じ過去へ近づいていく。

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