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ツモ姫  作者: 耀
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16/31

認め合う強さ

朝。

高校の教室には、少しだけ緊張した空気が流れていた。

今日は先日の学力テストの結果が返される日だった。

彰は自分の席で静かに待っていた。

忍術の修行。

結咲の護衛。

そして勉強。

どれも手を抜いたことはない。

これまで、努力で乗り越えてきた。

だからこそ、今回の結果にも自信があった。

「結果を返すぞ。」

先生の声が響く。

一人ずつ答案が渡されていく。

そして――。

「今回の学年一位は、一輝。」

教室がざわついた。

彰は顔を上げる。

そこには、一輝の名前があった。

3つ子の長男。

志希と美季の兄。

普段は落ち着いていて、周囲をよく見ている人物。

彰は自分の答案を見る。

点数は、ほんの少し届いていなかった。

「……負けたか。」

彰が小さく呟く。

すると、隣の席から声がした。

「珍しいな。」

一輝だった。

「彰が二位なんて。」

彰は一輝を見る。

「一輝はすごいな。」

「俺は努力しただけだ。」

一輝は淡々と答える。

彰は少し笑った。

「俺も同じだ。」

「だからこそ、負けたことは悔しい。」

「でも、認める。」

その言葉に、一輝は少し驚いた。

「素直だな。」

「強い人間は、強い相手を認められると思っている。」

彰の答えに、一輝は笑った。

「やっぱり、お前とは気が合いそうだ。」

昼休み。

彰が廊下を歩いていると、一輝と出会った。

「一輝。」

「彰か。」

二人は自然と足を止める。

「テストのことだが。」

彰が言う。

「次は負けない。」

一輝は少し笑う。

「俺も負けるつもりはない。」

二人は互いを見る。

競い合う相手。

それでいて、認め合える相手。

それが二人にとって初めての関係だった。

そこへ優梨と志希が通りかかった。

「珍しいね。」

優梨が笑う。

「彰が一輝と話してる。」

志希も頷く。

「一輝って、誰かとこんなに話すこと少ないから。」

一輝は少し困った顔をする。

「余計なことを言うな。」

優梨は笑う。

「でも本当だよ。」

「あと、一輝って女子からすごく人気あるんだよ。」

彰は驚く。

「そうなのか?」

志希がため息をつく。

「本人だけ気づいてないけどね。」

一輝は首を傾げる。

「何が?」

三人は思わず笑った。

放課後。

彰が帰ろうとしていた時。

校門近くで声が聞こえた。

「困ります。」

美季の声だった。

見ると、美季が数人の男子に声をかけられていた。

「連絡先だけでも。」

「大丈夫です。」

美季は困った表情をしている。

彰はすぐに間へ入った。

「嫌がっている。」

男子たちが彰を見る。

「なんだよ。」

彰は静かに言う。

「相手の気持ちを考えろ。」

その真っ直ぐな言葉に、男子たちは引き下がった。

「……行こうぜ。」

その場を離れていく。

美季は小さく頭を下げた。

「ありがとう、彰。」

「気にするな。」

その時だった。

「美季!」

一輝が駆けてきた。

妹の無事を確認すると、安心した表情になる。

そして彰を見る。

「……彰。」

「まさか。」

「美季と付き合っているのか?」

彰と美季が固まる。

「違う。」

「違う!」

二人の声が重なる。

そこへ志希がやって来た。

「一輝。」

「二人、付き合ってないよ。」

一輝は顔を赤くする。

「……。」

美季も恥ずかしそうに目をそらす。

「お兄ちゃん、心配しすぎ。」

彰は思わず笑った。

「妹を大切にしているんだな。」

一輝は少し照れながら答える。

「俺は長男だから。」

「家族を守るのは当たり前だ。」

その言葉を聞いて、彰は静かに頷いた。

自分も同じだった。

結咲を守る。

それが自分の役目。

一輝もまた、大切な人を守るために強くあろうとしている。

「一輝。」

彰が手を差し出す。

「これからもよろしく。」

一輝は笑って、その手を握った。

「ああ。」

「良い友人になれそうだ。」

二人の間に、新しい絆が生まれた。

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