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ツモ姫  作者: 耀
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10/31

平和

大三元の力を巡る運命の中でも。

結咲には、戦いとは離れた温かな日常があった。

結咲の家には、いつもの優しい時間が流れている。

父。

母。

祖父。

祖母。

曽祖父。

そして。

小さな結咲。

家族に囲まれながら、結咲は少しずつ成長していた。

ある日。

玄関から声が響く。

「ただいま!」

母が振り返る。

「帰ってきたのね」

そこにいたのは、一時留学から帰ってきた三人だった。

長男。

一輝いつき

長女。

志希しき

次女。

美季みき

結咲の3つ子の兄と姉。

三人の姿を見た瞬間。

結咲は嬉しそうに手を伸ばす。

「あー!」

一輝が近づく。

「ただいま、結咲」

すると。

結咲は一輝を見て、

「にー」

と声を出した。

「……俺のこと?」

一輝は驚きながら笑う。

志希も近づく。

「私のことも分かる?」

結咲は笑顔で、

「ねー」

と声を出す。

三人は嬉しそうに結咲を囲んだ。

その様子を見ていた陽菜は驚く。

「結咲ちゃん、お兄さんとお姉さんがいたんですね」

陽菜にとって、一輝たちとの出会いは初めてだった。

彰は三人を見る。

「初めましてだな」

一輝が頭を下げる。

「結咲の兄、一輝です」

「長女の志希です」

「次女の美季です」

彰は頷く。

「俺は結咲の守護者だ。」

その夜。

家族みんなで結咲を囲む。

父が優しく抱き上げる。

「結咲、パパだぞ」

結咲は父の顔を見る。

そして。

小さな声で。

「……ぱぱ」

その瞬間。

父の表情が変わる。

「今……」

母が驚く。

「パパって言ったね」

父は嬉しそうに笑う。

「ありがとう、結咲」

次に母が手を伸ばす。

「ママは?」

結咲は母を見る。

「……まま」

母は優しく抱きしめる。

「結咲……」

祖父も嬉しそうに近づく。

「じーじは?」

結咲は祖父を見る。

「……じー」

祖父は笑う。

「呼んでくれたな」

すると。

祖母が優しく声をかける。

「ばぁばも分かるかな?」

結咲は祖母を見る。

いつも抱っこしてくれる人。

いつも笑顔で迎えてくれる人。

そして。

「……ばぁば」

小さな声。

祖母の目に涙が浮かぶ。

「ありがとう、結咲」

家族全員が笑顔になる。

その姿を見守る陽菜。

「結咲ちゃん……」

祢音も優しく微笑む。

「本当に、たくさん愛されているんですね」

彰は静かに頷く。

「守る理由は、力じゃない」

「こういう時間なんだな」

そして。

いつもの家族麻雀が始まる。

父。

母。

祖父。

祖母。

曽祖父。

一輝。

志希。

美季。

そして結咲。

小さな卓を囲む。

勝つためではない。

一緒に笑うための時間。

結咲は牌を見つめる。

小さな手で一枚を選ぶ。

最後の一枚を引く。

ツモ。

完成した役は――

平和ピンフ

曽祖父は優しく笑う。

「平和とはな」

「穏やかで、争いのない形を表す」

「家族が笑って過ごせること」

「それこそが、本当の平和じゃ」

結咲はまだ全ての意味は分からない。

でも。

大好きな家族の笑顔を見て、

「あー」

と嬉しそうに笑った。

和光界から見守る光一。

「結咲……」

「君が守られている理由が分かったよ」

大三元の力よりも。

特別な運命よりも。

大切なのは。

誰かと笑い合える時間。

それが――

結咲にとっての平和だった。


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