↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第3章 結婚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/47

その45 準備万端

国王陛下に呼ばれてエドモン君と王宮に行った。


謁見室ではなく、執務室。

山のように本が積んであった。


王様はちょっとお疲れのようだった。

「セレネ。エドモンから話は聞いたと思う。」


人払いされ、勧められて座った席は、国王陛下のすぐ横だった。

「時間がないので無礼講とする。今から話すことは他言無用である。」


わー。なんか王家の秘密っぽい。

本の山の中から取り出して開いた一冊は、ものすごく古そうだった。


「これは、王家秘蔵の建国記だ。本来なら王家の直系しか見ることは出来ん。」


おおっと。

そんな大事な本を、私に見せていいのかね。


「この本によると、春の季節風の頃、元の国からこの大陸に辿り着くのに、七日かかったとある。今の季節、風は逆に吹く。おそらく十日もあれば、我々の祖先の国に辿り着くのではないかと考えている。」


びっくりした。

王様は、この国の成り立ちに関する謎を、全部ご存知なんだ。

そりゃそうか。


「ただ、今まで歴史上何度も外洋に出るのを試したが、成功した事はない。しかし君ならやれるかも知れないと、エドモンが言うのだが。どうだろう。」


私は首をかしげて考える。

魔獣には「火花」の魔法。帆船の推力には「つむじ風」の魔法でなんとかなりそう。


「まぁ、条件次第で行けそうな気がします。」

「本当か!」

勢い込む国王に、ちょっと引く。


「ただ、私なら行けるというだけで、航路を開くという意味ではないですが。」

慎重に言ってみる。


「それでよい。」

国王は大きく息をついた。

「それでよい。すぐに準備をさせる。」

隣に座るエドモン君を見る。


「いいの?」


いつも不機嫌そうなイケメン王子は、不意ににこっと微笑んで頷いた。

「きちんと方向と距離を測りながら進めば、行った先で高速移動陣を組んで、ここと行き来が出来る。」


おお。嬉しそうだ。

この大陸を出られる。


「もう大体の手はずは整っている。用意が完了するのに、五日ほどだ。君も、持っていくものを用意しておいてくれ。」


え。早い。

もう少し心の準備をする時間が欲しい。

すると、見抜いたように国王陛下が説明してくれた。


「カリン王女が、本格的に兵を揃えているらしい。こちらに向かってくるのも時間の問題だ。なのでそれまでに、大々的に出立式を執り行う。もちろんカリン姫も呼んで、だ。」


何をどうしようと、もうエドモン君はユール王国には居ないのだと見せる必要がある。


「全力で用意を急がせている。君も色々不安はあるだろうが、できる限りの事はする。任せて欲しい。」


力強く言われても。

あんまり急で、不安しかない。


御前を下がった後、エドモン君が荷物や人員の一覧を不安がる私に見せてくれた。


船員に関しては、相当の腕利きを含む十名。

料理人。天文学者。

私とエドモン君を守る護衛士。

私の出産の手助けをしてくれる助産婦さん。この人は私の侍女も兼ねている。


荷物に関しては、揚陸艇が二基。

高速移動陣のパネルの部分。

向こうに着いてから必要になると思われる、工具類。医療品。布類。

そして相当数の魔導書。もちろん写本だし、私にもエドモン君にも必要ないかも知れないけど。


あと、積み込めるだけの食材。

全員が、最低でも二十日食べられるだけの量を積み込む。


そもそもエドモン君が優秀な魔法使いなので、水とか魚とか海で取れそうな物は心配ない。


行けるかも。


部屋の荷物はあらかたまとめて、必要な物は船に送り、残りは王宮の倉庫に送る。


ま、私は見てるだけだったけどね。


残り二日、リリアに別れを告げる。

めっちゃ怒られた。

「それって、副学長と離婚すれば済む話なんじゃないの?」


おおぅ。

パンチ力強め。


「何も、あなたが付き合って外国行かなくたっていいじゃないの。命の危険があるんでしょ。お腹の赤ちゃんまで危険にさらして。」


そう言われれば、そうかも。

そこで、自分の気持ちを隅々まで検分してみたけど、不思議に思えるほど一緒に行かないという選択肢はなかった。


「でもさー。エドモン君のこと、好きなんだ。」

「成り行きで結婚したんじゃないの。」

リリアの強めパンチは続く。


「まあ、そうなんだけど。」

「せめて赤ちゃん産んでからにしなよ。」

「うん。リリアの気持ちは分かる。立場が逆だったら、私もそう言う。」


でも、じゃあなんで急ぐかと言えば、フラメ王国が今月末にも攻めてくるからで、出産を待ってたんじゃ、二国間が戦争状態になるからだ。


そしてなんで外洋に出るかと言えば、エドモン君が、もうユール王国にもフラメ王国にもいられないからだ。


少なくとも、カリン姫の頭に上った血が、ちょっと冷えるまでは。


「大丈夫。来年の春、季節風の方向が変わったら、帰って来れるから。」

「何言ってんの。その頃産まれてるでしょうよ。」

「あ、そうか。」

「もー。のんき過ぎて呆れるわ。」


リリアは呆れたように、肩をがっくり落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。