↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第3章 結婚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/47

その42 実家

「いくらつわりだからって、病気じゃないんだし、もうちょっと家の事やってくれよ。」

と言った昔の自分を絞め殺したい。


産前産後の恨みは一生、とはよく言ったもんだ。

こんな状態の時にそんな事言われたら、そりゃ一生覚えてるよ。

顔見る度に、殺意が湧くよ。

今更ながら、ヨメよ、すまん。


エドモン君は、私が妊娠したと聞いて滅茶苦茶喜んでくれた。

まぁそもそも生活能力は低めの人なんだけど、何とか食べれる物を探してくれたり、背中をさすってくれたり、とにかく寄り添ってくれるので、嬉しい。


間違っても「いくらつわりだからって」なんて言ったりしない。

さすがです。


フラメ王国とはまだ揉めている。

実は王太子の上の王子がカリン姫の従妹と婚約していて、そろそろ結婚の話が出ているのに、カリン姫の横暴のせいで準備が一向に進まないらしい。


父のフラメ国王がガツンと言ってやればいいのに、一人娘が可愛くて仕方ない王様は、諌められなくてオタオタしているらしい。


生物学的に男の方が断然地位が低いってどこかで聞いたけど、こういう事なのかね。


でもそれはそれ、これはこれ。

何とかして欲しい。


「隣の空き地に囲いが出来たってね!へー、カッコイー!」

私の所に暗殺者を送ってくるのもやめて欲しい。

一度、トイレで吐いている所を襲われて以来、毎晩、防御魔法をかけて寝るのが習慣になった。


その暗殺者は、私が思わず放った

「そんなバナナ・・」

を喰らって、記憶をすっかり無くしてしまった。

おかげで、誰の依頼だったのかはもちろん、自分が誰かも忘れて、今は牢屋に入っている。


次のヤツは、私にナイフが刺さらなくて逃げた。

捕まえられなくて残念。

カリン姫の仕業だとは思うけど、まだ裏は取れない。


やがてちょっとつわりが落ち着いた頃、やっぱり両親には知らせておこう、と思って故郷に帰ったところ、思わぬ事態が待っていた。


実家はもぬけの殻になっていた。


え?

どゆこと?

お父さんは?お母さんは?弟達は?おばあちゃんは?


家具も生活用品もキレイになくなっている。

て事は、泥棒とかじゃなくて、引っ越したって事。

どこに?

私に何も言わずに?


びっくりして、近所の人に聞いてみたら。

「あら、だって、セレネちゃん。ギーネの町で一緒に暮らしているんじゃないの?診療所開いたんでしょ?」

逆にびっくりされた。


おおー。

そうだけど。でももう半年以上も前に閉めた。

そう言えば、閉めたことを実家に知らせてなかったな。


まさか。


急いでギーネ町から乗ってきた馬車を、Uターンさせる。

空き家だと思っていたから、来る時は確かめなかった。


慌てて元診療所に行ってみると、そこにうちの母がいた。

「え、なんで?」

ドアを開けて、呆気に取られていると。


「あらー。セレネじゃないの!」

お母さんはにこにこしていた。

ちょうどお昼時で、普段ならむしろ、お父さんとお母さんはいなくて、弟達とおばあちゃんがいる。


お母さんは、一人で食事をしていたみたい。

「来るのを待ってたのよ〜。」

「どうやって中に?」

「前の家主さんに鍵貰って入ったの。」

それ、問題なんじゃ?

「いつ?」

「三ヶ月ぐらい前かしら。」


妊娠が発覚するちょっと前だ。


「あなたはここに住んでいないし、もったいないじゃない?トロイとマデリンもここから学校に通った方が近いし。」

下の弟達だ。


それはそうだ。

あのアルベ村から学校に通うのは、片道歩いて二時間かかる。


「だったら、どうして魔法学校まで手紙をくれなかったの?」

三ヶ月もあったのに。

「あなたが戻って来ると思ったんだもの。」


どう言っていいか分からない。

何とも言えない、怒りのような気持ちがくすぶる。

だからって勝手に引っ越して来るのは、違うんじゃない?


「大丈夫。あなたの部屋は、そのまま置いてあるわ。私達は、この大きな部屋だけ使わせてもらってるから。」

その変な遠慮はなんなの。


確かにまぁまぁ広いよ。

でもそこに、みっしりと前の家の家具が詰め込まれている。

奥のカーテンで区切られた診療用ベッド三台と、隙間に押し込まれた古いベッドは、多分弟と妹が使っていて、手前の待合室用の長椅子二台は、お父さんとお母さんが寝るのに使っているみたい。


カルテを書くための机に、今はお母さんのお昼ご飯が乗っている。


「お、おばあちゃんは?」

見たところ、おばあちゃんの気配がない。


「あーあ、実はねぇ。おばあちゃんたら彼氏が出来て、最近そっちで暮らしてるの。」

か・・彼氏。

お母さんは楽しそうだ。お母さんにとって、おばあちゃんは姑さんだからね。

別居出来て、のびのびしている。


「仕事は?漁はどうしたの。魚は?」

うちは曾祖父ちゃんの頃から漁師だ。こんな海から離れてどうするんだろう。


「何言ってるの。」

お母さんは呆れたように言った。

「妃殿下の親が漁師なんて、格好つかないでしょ。お父さんは、先々月から町役場で働いているし、私はここでのんびりさせてもらってるわ。」


私は驚きのあまり、一瞬声が出ない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。