↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第3章 結婚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/47

その40 元同級生の助言

せっかくの夏休みなのに、エドモン君は忙しくあちこち行っている。


牧場の牛は自分がいずれ肉になると知らなければ幸せかしら、みたいな事を考えて、図書館でぐずぐずしている私とは大違い。


後から聞いた話では、カリン姫の嫌がらせで、西南の国境ではずっと揉めていたらしい。

魔獣が西からではなく、南のフラメ王国側の国境を越えて来るとか、何ならそれを追ってフラメ王国の魔獣討伐隊が入って来るとか。


西の森は、フラメ王国の国境を越えてずーっと南に続いている。

一応国境を示すために砦が立っている。


元々国境は、東の海岸に流れ込む大河を元に決められたんだけど、西への開拓が進むにつれ、国境線もどんどん伸びた。河も分岐して、今や大河とは言えない川が国境になっている。


今、砦のある辺りの川は細く浅い。子供でも歩いて渡れるぐらい。

そんなだから、魔獣達は普通に踏み越えて来るし、討伐隊は追いかけているんだか、追い立てているんだか、後ろからついてくる。


いくらなんでも頻繁でおかしい、とこっそり調べたら、フラメ王国は、こちらとの国境に近い辺りに防御柵を作っていた。


以前はフラメ王国側で対処していた魔獣が、防御柵伝いに北へ上がって来るように。


こっちでも作るかどうかの検討が行われたりとか、また不可侵条約に抵触するとフラメ王国に正式に抗議を申し入れるとか、政府中央辺りはバタバタしていたらしい。


そんな事とも知らず、私は一人寂しく夏休みを過ごしていると。


図書館でぱったりリリアに会った。

「久しぶり・・!」

「セレネ!久しぶり〜。」

リリアは目を丸くして、私を見た。


そして何とも言えない表情で私を見た。

「あのさ」

「はい?」

「エドモン先生って、王族なんだって?本当?」


え。何で知ってるの。

「それ、ここでは秘密にしてるんだよ。」

小さい声で応じる。

「誰に聞いたの?」

「うちの父。」


わー。

リリアの家は、王都に古くからある大きな穀物問屋だ。そして王都に住むある程度の年齢層には、第四王子が魔法学校の副学長をしていることなんて、周知の事実だったのだ。

「ごめん。言っとくべきだった。」

「いいけど。大丈夫なの?王族と結婚したら、セレネも王族って事でしょ。こんな所でウロウロしてちゃ駄目なんじゃないの。」


リリアは大人っぽくなった。

何しろもう六年生。来年には卒業だ。


「エドモン先生がここに住んでるから、私も大丈夫。なんじゃないかな。」

「あのさ。うちの父の受け売りで悪いんだけど。」

リリアは図書館を出て、日陰のベンチに誘った。

「王族なら王族の仕事があるし、それをやらないなら、魔法医として、ちゃんと生活基盤を作らなきゃ。」


「だよね。」

故郷で魔法医をやって、失敗した話を披露する。

「何でもかんでも一回の治療費で治してたら、患者さんいなくなっちゃって。」


「バカでしょ。」

リリアの指摘に、うーっと唸った。

元同級生は容赦ない、

「それは駄目だわ。つまり無医村は無医村になる理由があるって事でしょ。」


リリアは商人の娘なので、経済とか商売とかに強い。

「他の魔法医が、どの辺に診療所を置いているか、ちゃんと調べた?ある程度の患者数が見込める所でないと、暮らして行けないでしょ。」


そーだな。

それは、実はオレもちらっと考えた。

だけど、無医村の故郷に診療所を開くのは、「セレネ」の夢だったのだ。


「ダメだよねー。」

ため息をつくと、リリアは呆れたように肩をすくめた。

「いっそ王都で、魔法医の少ない地区に診療所を開いたらどう?」


ほほー。さすが。

私が考えていたのは巡回診療所だったけど、それもありだ。


「あなたの故郷に医者を常駐させるのは無理でも、奉仕活動として十日に一回行くとか。そういう事をちゃんと考えておかなくちゃ。」


「リリアは凄いわー。」

「あなたがのんき過ぎる。」


リリアは今図書館で書写してきた紙の束に紐を通しながら、うんうんと頷いた。

「私だって、見返り無しに魔法農師をやるつもりないわ。そんなの当たり前でしょ。」


リリアの実家は穀物問屋だから、どこそこの地域は今年は不作らしい、という情報がどこより早く集まって来る。

魔法農師は、そういう所に出掛けて行って、原因に対して魔法で働きかける仕事だ。


もちろん人力で対処出来る範囲は人力でやる。それは魔法医や魔法戦士の場合も一緒だ。


ちなみに学生に人気の工業系魔法使いは、ほぼ魔法具屋になる。道具に魔法陣を刻む仕事だ。

地味だけど、絶対に食いっぱぐれない。


簡単な魔法陣だと、焼き印にして大量生産出来る。例えば照明。

蠟燭の灯りって、それだけだと結構暗い。シャンデリアにして大量に蝋燭つけても、まあまあ暗い。

それを、魔法陣の焼き印がついたカンテラに入れると、電球ぐらいに明るくなる。


そういうのは安く手に入るし、みんな使うけど、例えば移動魔法陣とかは、大きくて柄も細かいので手彫りだ。値段も高い。


最近頻繁に乗るけど、本当なら片道20オルゲルト、ざっと二十万円ぐらいかかる。

たかいよねー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。