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異世界に転生して追放された後、ザマァして溺愛されて無双した話〜転生少女は魔法医を目指す  作者: たかなしコとり
第1章 転生

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その4 魔法使いっぽい


結局、あの地震の原因は分からなかった。


魔法は魔法らしい。

ただ誰が何のためにどうやって、が全然分からなかったらしい。


何かの飛び火とか、流れ矢的な物だろうと言う事で決着するしかなかったとか。


まぁでも、そんな雲の上の話はどうでもいい。


いよいよ初心者魔法から、授業は初級魔法に移り、もうホントに、実習の時間は阿鼻叫喚の様相。


「どう?」

私がかけた、足が速くなる魔法に、リリアはその辺を走って首を傾げる。


「あんまり速くなった気はしないなぁ。」


初心者魔法は、自分にかける魔法。

初級魔法は、他者にかけるバフ魔法。


二人一組で、バフを掛け合う。


ちなみに他人にかける魔法は、自分にかけるよりずっと難しい。

自分にかける時は、自分の中の魔素だけに働きかけるから、範囲も極小。


他人にかけるのは、超大変。

ホントにかかったかどうかさえ、最初は分からない。


「あ、痛ぇ!」

実習室で、肩を押さえるホベルト。


組んだマルクと、防御力上昇の魔法を練習している。


「やっぱ全然かかってねぇよ!」


「おっかしーなぁ。」


「おかしいなじゃねぇ!俺にも一発殴らせろ!」


こんな光景が、日々繰り広げられている。


なんかコツがあるんだよねぇ。

他人になると、呪文も一気に長くなるし。


例えるなら「ペロリ」が「ペロペロリンリンポロリン」みたいに。


それをはっきり、かつ抑揚も正確に唱えないといけない。


先生の唱えるお手本を、完全耳コピの世界。


呪文がうまくいかなかったら、先生にお手本を聞かせてもらわないといけないんだけど、それがなかなか聞きに行きにくい。


初級魔法の実習の先生は、ちょっと空気の悪い、中年の男の先生。

何回も何回も何回も何回もお手本をやってみせないといけない事に、あからさまにイライラしている。


ま、オレは平気だけど。

ちいせぇ男だな、と思うだけだ。


気持ちは分かるけど、それなら教師になるんじゃねぇよ。


「いい加減にしろ!」


先生の怒鳴る声がした。

「一回聞いたら覚えろ!俺が一年の時は、二回目聞くなんて有り得んかった!お前らはたるんどるから覚えられんのだ!」


振り向くと、真っ赤になって怒る先生と、その前で小さくなっている、クラスメイトのヒューゴ。


ああ。

今日の生け贄は、ヒューゴか。


かわいそー。


先生の怒りとも自慢話ともつかない毎度のくだくだ話に、他のクラスメイトは哀れみの目をヒューゴに向ける。


順次、アレをやられている。

助け舟を出すと、先生の怒りが倍増するので、誰も口を出せない。


とにかくやり過ごす。


「大体、お前の耳はどうなっとる!正しく聞いて、正しく発声する!そんな基本的な事も出来んのか!」


怒声は続いている。


「へえへえ。恐れ入り谷の鬼子母神。」

思わず小声でつぶやく。


それが出来りゃ苦労はない。

だから、基本を習っているんだろうよ。


不意に、続いていた怒声がピタッと止まった。


ん?


見ると、真っ赤だった先生の顔が、変な白っぽい顔になっている。


「貴様、何をした。」


へ?


みんな顔を見合わせる。


何って。

何も出来ないから、練習中なんでしょ。


みんなシンとして、先生を見やる。


そして、自分が言ったことの矛盾に気が付いたのか、

「残りは自習!」

と言い残して、先生は実習室を出て行った。


「助かったー。」

ヒューゴは額の冷や汗を、袖で拭う。


「あれ、何だったんだ?」


「さぁ〜?」


「何したって、何?」


ちょっとざわつく。


でも自習していろと言われたので、仕方ない。お互いに、

「今の、もう少しはっきり発音してみたら?」

てな感じで、実習を続ける。


チャイムが鳴って、ホームルームに引き上げるかーとなった時、わらわらと先生たちがやって来た。


生徒は足留めされて、その間に先生たちが実習室を点検する。


「この中に、初級魔法を会得した者はいるか?」

初めて見るバーコード頭の教師に、みんなまた顔を見合わせる。


「足が速くなる魔法を、人にかける練習をしています。」

一番成績の良いディナが、手を上げた。


「それが成功した人は、防御力上昇魔法を練習中です。」


うんうん、とみんな頷く。

バーコードは、ちょっと困ったようだった。


「『怯え』の魔法に心当たりがある者は?」


みんなまた顔を合わせる。


「怯え」は、相手を攻撃する魔法だ。

中等魔法に分類されるし、確か三年生以上の「魔法戦術」を専攻する人しか習わない。


もしかして、実習のスタン先生、「怯え」にかけられた?

ヒューゴの事が、急に怖くなったって事かなあ。


「でもみんな、新しい魔法に苦労してます。ねぇ?」

ディナの言葉に、みんな首がもげそうなほど、頷く。


先生が恐くて、むしろなかなか上達しない。

お手本を聞くのも恐る恐るだった。


恐る恐る。

恐れ入り。


ん?

まさか?


「恐れ入り谷の鬼子母神。なーんちゃって。」


ぽそっとつぶやいてみる。

バーコード先生のなけなしの髪が、恐怖で逆立つのが見えた。


ヤバい。

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