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転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第3章 結婚

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その27 キンコンカンコンk

結婚式には、親兄弟親戚のみならず、二百軒ほどしかない村の、ほぼ全員が神殿に集まった。


娯楽少ないからね。


私はずっと実家に泊まっていて、エドモン君は当日の朝、町から神殿まで馬でやってきたんだけど。


地味目の、ちょっと丈の合わない礼服を着たエドモン君は、超男前だった。


おおー。

背中まであるワンレンの髪が、いつもはだらっと顔の半分ぐらいを覆っているのに、今日はキリリと後ろでひとまとめにして、形のいいおデコも丸出しだ。


びっくりするぐらい、カッコイイ。

あれ?

エドモン君ってこんな感じだったっけ。

神殿の控えの小部屋でぼうっと見やる。


「どうした。ぼけっとして。」

声はいつものエドモン君だった。

ワンレンの向こうに隠れていた青い目が、射し込む日の光にキラッと輝く。


何かずるいな。


「準備は?」

「一応、出来てますけど。」


お母さんのウェディングドレスを着て、髪をまとめて、花を飾った。


ブーケもばっちり。


介添を、幼馴染の女の子たちにお願いしようとしたら逃げられたので、神殿の女性神官様にお願いした。


私は、同じ年代の女の子たちの中で超勉強できたので、まあまあやっかまれている。

その上、貧乏という触れ込みとはいえ貴族様と結婚するとなれば、そりゃ妬みの対象にもなるだろう。


寂しいけど、諦めている。


女友達同士の温かくもあり心強くもあるが、ねっとりと息苦しく重い付き合いは、オレには無理。


「お揃いになりましたか?」

神官様が、呼びに来た。

いよいよ結婚式だ。


「ん。」

エドモン君が肘を差し出すので、何だろうと思って見る。肘?


そしてエドモン君を見上げると、

「馬鹿者。右手で掴まれ。」

あー。エスコートしてくれるのか。


いやもう、昔やった結婚式をちょっと思い出すね。

神式だったけどね。


恐る恐るエドモン君の肘に掴まって歩き出す。


さっさと片付けて、色々面倒な事無しに、私は私の道を行きたい。


礼拝堂に入ったら、後ろの方まで立ち見の人がいて、さらに開けっ放しの両開きドアの向こうにも、人がいた。


まあ、娯楽少ないからね。見たくなるのは分かる。


その中から、エドモン君を見てふわ~みたいな女の子たちのざわめきが起きる。


うん。分かる。

イケメンとは思ってたけど、思ってたより破壊力のあるイケメンだった。

さすが王子様。


結婚式は粛々と進む。


王都の神殿は、それぞれ祀ってある神様ごとに拝殿があるけど、田舎の神殿は、みんな一緒くただ。


礼拝堂の正面に主神ルーク、両脇にその妻の運命女神アサーリア、娘で豊穣の女神アルテア、息子の海神ヴァリシスなどの彫像が並ぶ。


特にアサーリアは大事にされている。万物の生死を司る主神ルークだが、妻の尻に敷かれていて、気分屋の彼女の機嫌を損ねると碌な目に会わない、と言われている。


ただ結婚式はアルテア女神の名で執り行われ、子孫繁栄を願われる。産めよ増やせよ地に満ちよ。


はいはい。

そうは言っても、名目だけの結婚だし。


「夫エドモンは、この妻となるセレネと添い遂げなさい。妻セレネは、この夫となるエドモンと添い遂げなさい。アルテア様は、二人の仲睦まじい姿を望まれています。」


キリスト教とも違うし、勿論神式とも違う。

でも大体、似た感じではある。


小さい頃からよく知っているおじいちゃん神官様のお説教を、頭を垂れて聞く。

やがて、結婚式用の言葉が終わって、


「では誓いのキスを。」


「えっ。」

「えっ。」


エドモン君もびっくりして顔を上げたけど、私もびっくり。

この衆人環視の中で、チューするの?


どうする?と思って隣を見たら、エドモン君は形のいいおデコの、髪の生え際まで真っ赤になっていた。


もー。

この人のこういう所が、すごく可愛いんだよね。ちょっと好き。


仕方ない。結婚式の段取り上、やんないといけないなら、キスもやむなしか。


「ん。」

目を軽く瞑って顔を上げると、恐る恐るエドモン君の両手が頬に触れて、それからむにょっと柔らかい物が唇に触れた。


目を開けると、エドモン君の真っ赤な顔が目の前にあった。


「二人の結婚はここに成った。アルテア様の祝福がありますように。」


老神官様の言葉で、結婚式の一連の儀式は終わった。

あとは礼拝堂から退場して、披露宴だ。

すぐそばの酒場を貸し切ってある。


礼拝堂の真ん中を歩き出すと、周りから祝福の花びらが舞った。

「おめでとう!」

「おめでとう!幸せにね!」

涙ぐんでいるお父さんお母さんの顔が見える。


ああ。なんか、結婚式っていいな。


25話と26話、投稿の順番間違えました(汗)

あれ?と思われた方、すみませんでした。。

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