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転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第3章 結婚

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その26 有無を言わせず

「どーしたんですか?」

エドモン君、なんか授業があったはずだけど。

「君こそ。こんな所で。」


副学長は私と大臣を見比べた。


「何か問題が?」

「まぁね〜。私にはお妃様は無理かもと思って、帰る所です。実家に。」


「は?」

エドモン君は目を瞬かせた。そして


「何かあったのか?」

「ネリア様が、私にお妃教育したって無駄だって。山出しだから。」


ちょっと口を尖らせると、エドモン君はため息をついた。


「やっぱり最初は俺がついておくべきだった。そう思ってここへ来たんだ。」

「はぁ。」

「お妃教育ってのは、あくまで暇つぶしだ。結婚式が二カ月より短くはならないんだから。その間、王宮で何にもする事がないと退屈だろうと思って。」


うう。気持ちはありがたいんだけど。

エドモン君は、私の表情を見て、色々察したようだった。


「ネリア妃と仲良くなれれば一石二鳥だと思ったんだが。」

「多分向こうには、そんな気さらさら無いと思います。」

「なるほどな。」


あごに手をあててしばらく考えて、エドモン君は言った。


「では先に、君の診療所の方を整えよう。」


大臣のおじさんは、横でアワアワしている。


「殿下、その、ネリア様の方は。」

「いいから、放っておけ。物事の本筋を理解していない馬鹿者に、用はない。」

「は。」


おじさんのハンカチは、もう絞れば汗が滴りそうな勢いだ。


「向こうでの結婚式も、先にやってしまおう。」

「えっ。」


今さっき、結婚やめてフラメ王国とかに逃げちゃおうかな?とか思った所だった。


エドモン君はそんな私を見て、にやりと笑った。


「問題ないよな?」

「まあ、ねぇ。」

何か見抜かれている。悔しい。


「そうと決まれば、早速準備にかかろう。時間が惜しい。」


という訳で、またしても高速移動陣。


もうね、最初こそジェットコースターみたいなドキドキワクワク感があったけど、さすがに慣れた。


エドモン先生が寝ちゃうのも分かる。


そしてさすが王族。

本来なら申請して許可が下りるのに三日ほどかかるのに、王族は「使いたい」って言ったらすぐ乗れる。


高速移動陣は、言わば単線の電車なので、途中で正面衝突しないように、ダイヤを調整する必要がある。


しかし王族が使用する場合は、他の移動陣は全部途中停車?して、王族を優先させるのだ。


快適過ぎる。座席もグリーン車並みのふんわり感。

だけど、つい一昨昨日に乗ったばかりだ。


東京〜大阪の日帰りを、三日おきにしてみな?

三回目にはうんざりだよ。


となると、私も座席を倒して屋根の覆いを広げて、オットマンみたいなのを引き出して、寝るしかない。


アレないのかな。

ほら、瞬間移動的な。○こでもドア的な。

魔法転移門的な。


荷物とかでも、四次元ポケットみたいな物があったら、物流が劇的に変わるだろう。


でもこの世界の魔法は、意外に理論的。

理屈にかなっていなくて、物理法則を無視しているから魔法なんじゃないの?とか思うけど。


ギーネ町に到着すると、エドモン君はすぐに町役場へ行って、小さな一軒家を借りた。

町の中心部からは少し離れるが、家具付き、庭付き、厩付き。


しばらくは宿屋に泊まりつつ、必要な物を揃える。


「いつでも開業出来るぞ。」


エドモン君が言った通り、魔法医は、普通の医者と違って、消毒薬も要らなければ包帯も要らない。


椅子と、まぁベッドと、カルテを書く台、魔法書があれば、オールオッケー。


「結婚式はここでやるのか?アルベ村か?」


エドモン君さらっと言ってるけど、その有無を言わせずに物事を進める所、ちょっとムカつく。


数日後には、アルベ村の神殿での結婚式の手配も済んだ。


大体、結婚式の何が大変って、衣装を用意するのが大変。

レンタルドレス屋さんもないし、普通の人は服屋さんで作ってもらうか、自分で手作りとか。


でも私は、お母さんのドレスを借りる事になっている。

サイズはちょこっと直せば大丈夫。


「本当にいいの?貴族様との結婚なのに、お下がりのドレスで。」

お母さんは心配したが、その辺は全然大丈夫。


エドモン君も、貧乏貴族っぽい礼服をどこかで借りたらしい。


しかし見せかけだけの結婚式って、ほぼコスプレなのでは。


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