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転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第3章 結婚

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その21 急転直下

エドモン先生の狼狽っぷりときたらなかった。


「俺?」


「はい。」


「いや、しかし、しかし、君と俺では十歳も年の差が・・。」


「それは今伺いました。」


にっこり笑いかける。

エドモン先生はオロオロしている。


「俺の王位継承権は、かなり低いし。」


「分かってます。」


「愛想もよくないし。」


「それもイヤってほど分かってます」


「体も鍛えてない。」


「でしょうネー。」


副学長室からあんまり出てこない。

鍛えているわけがない。


「ひ、人付き合いも良くないし。」


ちょっと言い訳多いな。


「私の事、嫌いなんですか?結婚したくないならそう言って下さい。そんで、選択肢の中に入れないでもらえます?」


きっぱり言うと、エドモン先生は黙った。

やがて恐る恐る、


「なんで俺なんだ?ルカスと結婚した方が、ずっとメリットがあると思うが。」


分かってないな〜、若造くん。


「メリットはあります。」


「どんな?」


「言いません。私の意思を尊重してくれるんですよね?」


にまにましていると、エドモン先生は耳だけ真っ赤にしたまま、まだ往生際が悪い。


「ええと、俺は女の子と交際した事が無いんだが。」


「はい。」


「それでもいいんだな?気の利いた言葉とか言えないぞ。」


「全然大丈夫です。」


「そのぅ、れ、恋愛感情とか期待されても。」


「くどい。貴族の結婚なんてそんなもんだって、さっきエドモン先生が言ったんでしょ。」


「そ・・そうだな。」


エドモン先生は天井を仰いで、助けを求めるように窓の外を見て、私を見た後、床を見た。


助けはどこからも来なかった。

いい加減、言った責任を取れ。


「分かった。」


渋々、と言った感じで、エドモン先生は頷いた。


「明日、王宮に上がって、婚約を報告して来る。」


「はい。よろしくお願いします!」


今度こそ部屋を出た。

うん。なんか勢いで、ちょっと思い切った事をしたな。


ま、いいか。


もちろんメリットはある。


王太子の息子は、中央に近すぎるので却下。

きっとお妃教育とか何とかで、すごく窮屈な思いをするだろう。


一方自由にやってるっぽい第四王子の奥さんなら、きっと私も自由にやらせて貰えるに違いない。

第三王子の後妻は、どのみち中途半端なので却下。


それに、エドモン先生の為人(ひととなり)は、よく分かっている。


ずっと不機嫌そうな様子ではあるけど、この人は国の事も生徒の事も大事にしている。

嘘がつけない正直者。裏表なし。

結婚歴もないし、愛人もなし。


そしてイケメン。

端くれと言えども王子様。


めっちゃ優良物件じゃん。


昔、立花幸太郎だった頃、後輩の可愛い女の子と大恋愛して結婚したものの、その後の束縛が激しくて、疲弊した。


ちょっとした飲み会も、参加者の報告必須。

女性と二人きりでは、会社で仕事の打ち合わせさえ出来ない。


うっかり家で、仕事のメールを受け取ろうものなら、浮気だ浮気だと騒がれる。


やがて子供が生まれると、育休必須、みっちり育児を仕込まれて、でもあんまり子供に懐いて貰えないとか。


要するに、恋愛結婚にそんなに夢がない。


結婚は生活だ。

信用出来て、信用してくれる相手とでないと、日々を積み重ねるなんて出来ない。


その点、エドモン先生は大丈夫そう。


「何だったの?」


部屋に戻ろうとしたら、途中でリリアが待っていた。


心配して、待っててくれたのだ。ごめん。ありがとう。


隠すのも変なので、白状する。

「えーと、エドモン先生と結婚する事になったの。」


「ええっ?」


リリアは口をあんぐりあけて、しばらく絶句。


「なんで?」


「うーん。この前、魔獣退治に一緒に行った時に、気に入られたんだと思う。」


「でもめっちゃ年上だよね。」


「十歳上。でもまあいいかーと思って。」


ふえぇとも、ひえぇともつかない声が、リリアの口からこぼれる。


その後、明日から新学期だというのに、魔法学校は大騒ぎになった。


私も、何となくふわふわしている。

一応、実家に連絡しないといけないよね。

あと、魔法学校卒業だし、どこに住むことになるんだろう。


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