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転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第2章 追放。そんでザマァ

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その18 ザマァでスッキリ

「セレネの…が、…お前が…連絡…昨日…」


聞き取りにくい。

盗み聞きの魔法とかないかな。


「壁に耳ありクロード・チアリ」


とか言ってみる。

だめ?


でもエドモン先生の声が急にはっきり聞こえ始めた。当たりだ。

意外に何でもありだな。


「お前がどうしてもというから、無理を承知で彼女に行ってもらったんだろう!それでどうして、彼女を、お前が、クビにするんだ。おかしいだろう。」


そうだそうだ!もっと言ってやれ!


「くそ、リナの奴。」


「何故リナに当たる。お前が悪い。」


「あーもう、なんだよ。分かったよ。金は返す。それでいいんだろう。」


なに?どこの、誰の金?


「当たり前だ。」


「まあ、あの娘が復帰してくれりゃ、後は何とかなるしな。」


「それはセレネ次第だ。」


「何だよ。そのつもりで連れてきてくれたんじゃないのか。」


「いや、魔獣退治に彼女の力を借りたいと思ったから連れて来ただけで、お前の隊に復帰するかは別問題だ。」


壁に耳を当てて聞きながら、心の中で激しく頷く。


アルダーの隊に戻りたいなんて、この四ヶ月、一度も思った事がない。


報酬は魅力的だったけど、故郷の村に来てもらっていた医者を断れば何とかなるし、もうちょっと頑張れば、医療系魔法使いとして、自分で魔法医を開業出来る。


やっぱ職場は人間関係よ。

イヤな上司と働くぐらい、キツい事はない。


「うわー。ヤなヤツー。」


アルダーが吐き捨てる。

どの口が言うか。


「なぁ、あの娘をこっちに寄越せよ。でないと、お前が生徒に手を出したって広めて回るぞ。」


ひどい。手を出されてなんてないのに。


「くだらないな。意味があるとも思えんが。」


「意味はあるさ。この王国一番の魔法使いが、別嬪の生徒を恋人にしたって知れたら、フラメ王国の王様はなんて言うかな。」


「おい。」


エドモン先生の焦った声が聞こえた。


「フラメ王国は関係ない。」


「関係なくはないだろう。あっちのお姫さんから、熱烈なお手紙が来てただろうよ。」


エドモン先生は黙ってしまった。


えっ。フラメ王国のお姫様から、ラブレターって事?

ややあって、


「好きにしろ。言っておくが、向こうとの縁談はとっくに断ってある。」


「知ってるさ。結婚に興味ないって返事したんだろ。そんな奴に恋人が出来たら、姫さんはどう思うかね。」


「そんな事まで俺が知るか。」


エドモン先生は素気なく言った。


「とにかく、セレネに手を出すな。自分で戻ると言うならともかく、無理に連れて行ったりするなよ。」


ありがとう〜エドモン先生。


そこまで聞いて、そっとベッドに戻る。

情報量多くて整理出来ないわ。

ええと?


と思っていると。


ドアが控えめにノックされた。


わぁ。


急いで服の撚れと髪の寝癖を直して、返事する。


「はい?」


「起きたか。アルダーが挨拶したいらしい。入っていいか?」

エドモン先生の声がした。


どうぞ、と応じると、ドアが開いて二人が入ってくる。


「セレネ!お前が来てくれて助かった。」


満面の笑みで、アルダーが近寄ってくる。

来たな、セクハラのパワハラ野郎。


「お前のおかげで、この町を守る事が出来た。みんな感謝している。さすがだな。」


相変わらず爽やかなイケメンだ。

さっきの会話を盗み聞きしてなかったら、うっかりほだされちゃったかも。


「あんな風にお前を傷つけて、本当に悪かった。よかったらまた、一緒にやらないか?」


手を握られそうになって、慌てて手を引っ込める。

なーるほど?


急いでベッドを降りて、いつでも逃げられるように、アルダーから一歩離れる。


「ピンハネ。」


そう言ったら、アルダーはビクッと肩を震わせた。


「一緒に仕事をするなら、誠実な人に限りますよね。」


アルダーは、ムッとしてエドモン先生をチラ見した。


「エドモンに何か聞いたのか。」


「なーんにも?」


「そりゃちょっとキツい言い方はしたさ。だけどお前がいなくなって気づいたんだ。俺にはお前が必要だ。頼む。戻って来てくれ。」


一歩近付かれたので、一歩下がる。

真摯な表情に、ちょっと心が揺れるけど。


エドモン先生が横から冷静に指摘した。

「お前の隊は魔獣への対処が遅れて、死者2名・怪我人7名。離脱が3名と聞いている。」


わー。ボロボロじゃん。

ダメだこりゃ。


「見た目なんかにこだわっているからでしょ。情けない。とにかくお誘いはお断りします。今回は短期派遣ってお話だったので、来ましたけど。」


情けない、と言われて、アルダーは顔色を変える。

プライド高いコイツには、刺さっただろう。アルダーはちっと小さく舌打ちした。


「今断ったら、二度と入れないぞ。」

「ありがとう。望む所です。」


エドモン先生が見ているから、それ以上は手を出せなかったんだろう。

アルダーは肩をすくめると、身を翻した。


「いいんだな?」


エドモン先生が聞いた。


「いいでーす。」


ザマミロ。

いやもうホント、あんな切り方してなんで私が戻ると思えるんかな。

自己評価高過ぎだろ。


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