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転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第2章 追放。そんでザマァ

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その15 カレシ

「彼氏ではない。」


不機嫌そうな副学長は、そう否定した。

まあ、その通り。


「え、そうなの?」


むしろ不思議そうなリナ姐さん。


「こんな西の果てまで付き合ってくれるんだから、てっきり彼氏なのかなーとか思ったよ。」


なんでやねん。

心の中で、思わず関西弁で突っ込む。

かよわい未成年の女の子を、魔獣退治に行かせるんだから、自分も一緒に来るべきでしょ。


リナ姐さんのその言葉に、別の意味があるのを、この時は知らなかった。


「とにかく、女将さんをここから避難させないと。で、馬車はどこ?」

リナ姐さんは、宿の外を見て、副学長を見た。


「もう日も暮れた。移動するなら明日だな。魔獣ならもういない。安心しろ。」


「え、まさか二人で来たのか?」


「そうだ。」


「馬車は?まさか歩きって事は・・」


「ここまで隣村の村長に、荷馬車で送って貰った。」


淡々と告げるエドモン先生。


「あー。そうなんだ。」


リナ姐さんは無口になった。

がっかりしたらしい。


ともかく魔獣避けの措置は施したとの事で、一晩ここで過ごす事になった。


もちろん魔法は永遠ではない。

せいぜい1週間から十日。その間に次の対策を講じないといけない。


エドモン先生のパンパンだったカバンは、かなり軽く薄くなっていたので、貯蔵庫から残っていた食料を出して、軽く料理する。


聞けば、宿のおじさんは魔獣にやられて死んでしまったらしい。

女将さんは、逃げようとして捻挫してしまったとか。


「王都に息子がいるから、そっちに身を寄せるよ。」


命があるだけ儲けものだからね、と女将さんは気丈にそう言った。


真夜中、それぞれ部屋を見繕って引っ込んだものの、私、割と夕方近くまで寝ていたので、あんまり眠くないなぁ、と起きていたら、かすかに部屋のドアをノックする音がした。


そっとドアを開けると、リナ姐さんが立っていた。


「起きてた?ちょっと話しない?」


ここ二、三日貯蔵庫に籠もっていたので、そんなに眠くないらしい。


私もよ、と応じて二人でベッドに座る。


「あんたがクビになってから、魔獣退治が大変だったんだよ。あんたが来る前と同じになったはずなのに、やっぱ人間、一度楽を覚えると、元に戻すのは難しかった。」


そっかー。


「でも、あんたをクビにするのは、私は賛成だった。」


「え、なんで?」


「こんな辺境の魔獣退治に、よりによって未成年の、学生の女の子が来なくていいんじゃないか?そりゃあんたの魔法は凄かったけどさ。」


あー。なるほど。

リナ姐さんの言う事はもっともだった。


その後はリナ姐さんの愚痴大会。


アルダーは、確かに戦士としての腕はあった。

リーダーとしての素質もあった。


曲がりなりにも傭兵団をまとめていたし、私が加わる前から、2年以上も辺境を守ってきたのだ。


でも私がクビになって、たった四ヶ月で魔獣の侵入・攻撃を許すなんて。


「ホント気が抜けてるっていうか。」


そもそも魔獣を退治しつつ、西の森の開拓を進めるのが国としての意向なので、ただ守っているだけでは駄目なのに。


「この2年、魔獣を追い払うのに精一杯。アルダーもホント馬鹿だけど、もうちょっと中央もさ、考えてくれてもいいんじゃない?」


これも何回も聞いた。


アルダーの言い分では、他の村が開拓地を広げているせいで、行き場のなくなった魔獣達がこちらにやって来ているんだ、という事だったけど。


傭兵団のレベルは高いのに、成果はイマイチ。

どこかに何か滞っているものがあるらしい。


社畜生活が長かっただけに、その滞っているものが気にはなる。


ただ中途半端に足を突っ込んだら、ズブズブと首まで沼にはまってしまうだろう事も、想像出来る。


くわばらくわばら。

沼には近寄らないに限る。


で、それはそれとして、とリナ姐さんは私に向き直った。


「あんたのツレの事なんだけど。」


「うん。」


「あの人、あんたのどういう人なの。」


「魔法学校の副学長だけど。」


えー、という顔をリナ姐さんはした。


「副学長?それだけ?」


「うん。」


「だけどさ、エドモン殿下だよね?第四王子の。」


はい?


「王子様?」

え?王子様?

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