↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チート魔法使いだったのに、世界は意外にシビアだった話  作者: たかなしコとり
第2章 追放。そんでザマァ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/47

その10 様見ろ

いつもの、どっしりと野暮ったい深緑のマントではなく、生成りの薄いジレのエドモン先生は、すごく若く見えた。


30歳過ぎぐらいかな?と思っていたけど、どう見ても20代半ばだ。


「どうしたんですか?」


不機嫌そうな先生に、挨拶より先に質問が出た。


「何で君は、こういう時に限って帰省しているんだ。」


「えー。だって夏休みだし。普通、帰省するでしょ。」


うぬぬ、と声が聞こえそうな表情を、先生は浮かべた。


「とにかく、急用だ。来い。」


「えー!ついさっき辿り着いたばかりなのに。」


こっちはクタクタよ。

先生はどうやって来たんだろう。乗り合い馬車とか?

お金に余裕のある人はいいなあ。


「なんだと。君はここまで歩いて来たのか。」


エドモン先生は呆れる。


「だって、馬車はお金かかるし。」


「馬鹿だな。申請すれば、王都からギーネ町まで、高速移動陣が使えるだろう。」


もっとも高速移動陣でも王都から三時間。

あと、そこから徒歩で半刻。

「ど田舎だな。」

との評価ありがとうございます。


高速移動陣は、言わば魔法の絨毯みたいな、高速のロープウェイのような、空を飛ぶ乗り物だ。

多分時速で200キロ以上出る。


「でも使うの面倒ですよね?お金かかりますし。申請通るのに四、五日かかるし。」

「馬鹿者。ここへ来るのにかかる宿泊代とかに比べれば、大した手間じゃない。」


いちいち馬鹿馬鹿とうるさいな。


「それで、何の用なんです?」

魚臭い手をなんとかしたい。手を洗う魔法とかないのかな。


「アルダーの隊がやられたらしい。魔獣の群れが辺境防衛線を突破して、いくつかの町が籠城戦中だ。すぐに援軍を送る必要がある。」


エドモン先生の不機嫌な顔は、さらに渋い顔になった。


あ~。腑に落ちた。

今まで私の魔法のおかげで楽勝だったもんね。


次の戦いは怪しいなと思ってたんだ。


「アルダーはまあまあ強いし〜?体勢を立て直せば、きっと何とかなりますってー。」


ハッハッハ。ザマミロ。

女の子に無理やり水着を着せて喜んでいるような奴は、滅びてしまえ。


「ザマミロとか思ってるんだろう。」

図星を指してくるエドモン先生。


「え〜?そんな事ありませんって〜。」

可愛くとぼけてみせるが、通用しなかった。


「事はアルダーだけの問題じゃない。拠点にしていた村は、壊滅的被害だそうだ。」


う。

まあ辺境だけに、村には女性も子供もほぼいなかった。

でも犠牲になったと思うと、心が痛い。


「アルダーが、君に戻って来て欲しいそうだ。君の手助けが必要だと言っている。」


「でもぉ~。赤い稲妻団の防具つけないといけないとか嫌だし〜。」


「緊急時に、そんな事を言う馬鹿がどこにいるか。」


「タダ働きも嫌だしー。」


「報酬は弾む。前回の年収の八割は約束する。」


わ〜。太っ腹。

「よし、乗った。」


「え、ねーちゃん、もう行っちゃうの?」

弟達が、スカートにすがる。

「危ないんじゃないの?」

両親がオロオロしている。


「大丈夫!医療系魔法使いの実習だから!」


何とかみんなを言い包める。


「すぐ片付けて戻って来るね。」


結局、家の中で手を洗って、おばあちゃんに「膝はどう?」ぐらいの挨拶しただけで、また王都にとんぼ返りになった。


ギーネ町まで、荷馬車で送ってもらう。


「ホントに大丈夫なんだな?」

お父さんに心配される。


「お前にはすまないと思っているんだ。結局学費も自分で出しているだろう?」


「全然大丈夫!心配しないで。卒業までちょっとかかっちゃうけど、ちゃんと村に帰るつもりだから。」


そうなのよ。

セレネとしての私は、医療系魔法使いとして、この村に戻って来る事が目標。


戦術系は、ここではあんまり役に立たない。


「そうか。無理するなよ。」

「そうよ。魔法使いでなくても、生活していく事は出来るんだから。」


一緒にお母さんも乗っている。

横でぎゅーと抱き締められている。


えへ。

たまには独り占めもいいよね。


ものの十分ほどの馬車ドライブの後、高速移動陣のある塔の前で降りて、二人とハグして別れを惜しむ。


ぐずぐずしていたら、

「行くぞ」

と冷たく声をかけられた。


そーゆー所よ。生徒に人気ないの。


仕方ないので両親に手を振って、エドモン先生の後を追う。


高速移動陣のある塔は、まず申請した後に発行される許可証がないと中に入れない。


中に入ると、最上階に上がる魔法陣が、階段と一緒に並んでいて、エドモン先生は迷わず魔法陣の上に立った。


「彼女もご一緒ですか?」

スタッフに声をかけられて、先生は頷いた。


床に彫り込まれた魔法陣は、私が乗ると一瞬キラキラッと輝いて、そのままグイーンと上がって行った。


ぎょえー。


もうちょっとエレベーターみたいに箱っぽいとか手すりがあるとか、してほしかった。


最上階で止まると、そこには高速移動陣。


話には聞いていたけど、見たのは初めて。

そこにあったのは、遊園地のコーヒーカップだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。