2話 二章 ギルドの屋敷のあれこれ 10
周囲に気まずい空気が漂いだす。
アルフォンスは額に手を当てると天井を仰ぎ、溜め息を吐きながら、
「いや、…次の試験に使うとはいえ、急ぎで別の店に発注したのも私の責任だな。」
と独り言を呟くと、顔の向きを直し、すぐに扉の前の荷物を片付けだした。さらにはメイド達にも指示を飛す。
「……ほら泣いている場合ではないでしょ。…我々ですぐに運びますよ。」
「「「は、はい!!」」」
と若いメイド達も返事を返すと、荷物に手を伸ばして、運びだそうとしていた。
しかし彼女達は荷物を手に持つと、「むぅ、」「くぅ」と声を唸らせ、苦悶の表情に顔を歪めている。腕が下がり腰が曲がる状態だ。予想よりも重く、運ぶだけでも一苦労のようだ。
アルフォンスは、一人でも辛うじて持ち上げている。
メイド達も、三人で協力しながら、作業にあたっている。
「…大変そうだな。」と俺は思わず声に出していた。すると途端に、先程のダフネの言葉が脳裏を過って、思わず復唱していた。
「…態度を改めろ。…女には優しくしろか。……」
「え?」
隣にいるヒナが聞き返してくる。
「…少し、待ってろ。」
と俺は一言だけ告げると、すぐさま荷物運びに加勢する。真っ先にメイド達の側に行き、運びだそうとした荷物を代わりに手に取った。
「え?!」
「いいから、貸せ。…」
「いや、あの!…これは私たちが!?」
若いメイド達は慌てだす。
マアが驚きながら、必死に手で制して止めようとしていた。
さらには、アルフォンスも此方の様子に気がつき、止めに入る。
「ヒルフェ様!!…こんな雑用は私達がします!」
「…いいから、早くしないといけないんだろ。」
「そ、それは…そうなんですけど。」
「し、しかし!…主様の御令孫である方に、雑務を手伝っていただいて、迷惑をかける訳には。…」
「なら尚更、その娘が可哀想だろうよ。…いつまでも待たせてないで、手分けしてやるぞ。」
しかし、それを俺は気にも止めずに、作業を進めていく。この程度なら坑道の作業で持ってた範疇よりも簡単だ。
「で、ですけど。」
「…悪いですよ。」
と彼等は、尚も食い下がってくる。だが次第に互いに顔を見合せており、納得してないまでも、急いで後に続いて片付けを再開しだしたのだった。




