2話 一章 始まりの街【ビーギニング】と、二人の少女 8
俺は目の前の様子、ーー大柄な男達の真剣な泣き顔を見て、やや引いてしまう。
暫するとリキッドは泣き止んだ。すると今度は、此方へと向き直り、アルフォンスの方を紹介してきた。
「彼はアルフォンス。…私の有能な右腕で、執事と此処の副責任者を兼任して貰っているんだ。」
「初めまして、ヒルフェ様。…お会い出来て光栄です。」
とアルフォンスも恭しく一礼して挨拶をする。おまけに此方の方に手を差し出し、無理矢理に此方の手を掴んで、がっちりと握手しだす。
凄く強い力で握りしめている。
「お、おう。……」
俺も返事をしつつ、平静を取り繕っていた。
やがてアルフォンスは手を離し、恭しく一礼していた。顔を上げて真っ直ぐ此方の顔を見ながら、
「私めの事は、気軽にアルフォンスと呼んでください。何なりと申し付けに応えます。」
と言ってくる。
すぐに俺は首を振って否定した。
「い、いや。…別に、そこまでしないで良いぞ。」
「そうは参りません。…リキッド様の家族なら私の主同然です。…ご遠慮なさらなくて大丈夫でございます。」
だがアルフォンスも頑なに譲らず、再び力強く申し出てくる。凄く強い気迫を漂わす。
「あ、あぁ。…宜しく頼む。」
次第に俺は勢いに負けて、たじろいでしまう。思わず後退りして少し距離を取っていた。
「やれやれ、その様子では先が心配ですね。」
後ろではダフネが小さく囁く声がする。最後には溜め息を吐くのも微かに聞こえた。
彼女は呆れているようだった。
俺は前を向いた姿勢のまま、後ろへ向かって怨念めいた殺気を送り付けながら、背後を一瞥して睨み付けた。もう一度、視線を前に戻した。
すると、リキッドとアルフォンスが囁く様に内緒話をしているようだった。




