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Ⅱ-24:これから

「ところでサーシャ、お前はこれからどうするんだ? オウォッキャンにいるか、それとも森に帰るのか?」

「あーしゃサーシャさんがここにいるのは大歓迎っすけど」


 そういえば、そうだ。私もどうするのか全く考えていなかったから、とりあえずトシフたちについてきていたんだ。でも、パーティが解散するのなら、これからどうするかを自分で考えなきゃいけない。

 トシフはミッパラに戻るし、ローレンスとテタニはアナトル連邦へ。そして、キイヨとユゥはオウォッキャンで研究を続ける。

 私は……妹の、世界を渡る方法の、そして時間跳躍の情報を集める。そのためにはどうしたらいい? 今、考えられるのは。ロセの言っていた、スカラーという人を訪ねる。だけれど、私は彼がどこにいるのかを知らない。ともなれば……


「スコトリア、かなぁ」

「……正気か、お前。スコトリア内部の状況を知りたくなるのも分かるが、お前が行ったらすぐに殺されるぞ」

「ほら、土の中を移動してれば、誰も気にしないでしょ?」

「まぁ確かに、道端のカビなんて過激な人間至上主義者でも放置するだろうが、俺はやめといた方がいいと思うぞ」

「貴女様が神聖スコトリア皇国内部の動向を知りたいだけなのであれば、何もそこを目的地にする必要はありません」


 ……強く否定されてしまった。でも、私が知りたいのは、スコトリアそのものというよりも、ターレンシスの召喚した世界を歩く者ディメンジョン・ウォーカー達なんだ。


「もし、サーシャちゃんさえよければなんだけど……アタシと一緒にアナトルに行かない? 何を探してるのかは知らないけど、アナトルは昔っからずーっとスコトリアと戦争してるから、自然とスコトリアの情報も集めてると思うよ」


 アナトル連邦か。スコトリアは過去五百年にわたって断続的にアナトル侵攻を続けているらしいけど、世界を歩く者ディメンジョン・ウォーカーの情報までは……いや、ちょっと待てよ。


「ねぇトシフ。スコトリアが休戦協定を破るのって、どんな時?」

「なんだ、唐突に。あいつらはな、根が幼いというか……簡単に言うとだ、新しい技術を開発するなりすぐ休戦協定を破ってはアナトル連邦に追い返されている。これが直近百年の傾向だ」


 だとするならば、今回の侵攻と世界を歩く者ディメンジョン・ウォーカーの召喚に関係が無い、とは言い切れない。そんな中で召喚した世界を歩く者ディメンジョン・ウォーカー達をどこに投入するかと言えば、まあ戦争だろう。


「わかった。じゃあ私は、アナトルに行く」

「確かに、あまり喜ばしくはないですが、今の僕の故郷には多くのターレンシスが押し掛けてきています。最前線にさえ出なければ、スコトリアに入るよりも安全ですが……それは、戦争に巻き込まれる、ということを覚悟しなくてはなりません。それでも、貴女はアナトルに来ますか?」

「元々スコトリアに行くことも視野に入れてたんだよ?」

「……ヒジャーズまでは案内しましょう」


 よし、これで今後の方針は決まりだ。アナトル連邦はヒジャーズを目指し、スコトリアとの戦争地帯で情報収集をすることにしよう。

 その日は結局、夜遅くまで研究所の明かりは消えることは無かった。


 翌日。ローレンスとトシフは荷物をまとめに行った。私はまず冒険者組合(ギルド)で今回採掘した魔導具(アーティファクト)を全て売り、スツケークの駅に行って、途中ヒンヌハルまでの馬車軌道を確保する。

 ヒンヌハルまでは六百五十ノルルの道のりで、馬車軌道で足掛け六日かかるらしい。こう考えると、三百ノルル離れたオウォッキャンとスツケークが一瞬で移動できるポータルはえげつない威力だ。

 予約を終えて、一旦キイヨの研究所に戻る。トシフはまだ戻ってきてないが、ローレンスはもう戻ってきていた。まぁ彼の場合は収納系あるしほぼ挨拶だけで引き上げられるもんね。

 しばらく待っていると、ユゥとテタニが一緒に戻ってきた。奥にいるのかとでも思っていたが、旅に出る前に買い物に行っていたらしい。

 でも、トシフが戻ってくることは無かった。ローレンスとテタニは、出発の準備を完全に整え終わっている。


「キイヨ、トシフは戻ってくるって言ってたんだよね?」

「それは確かっすよ。流石に遅いとは思うんすけど……」

「じゃあ、トシフが戻ってきたら、これ、渡しといてくれる?」


 キイヨにトシフの分の魔導具(アーティファクト)の売上金を渡しておく。

 もう馬車の時間が近いから、そろそろ行かなきゃいけない。


「渡しておくっすよ。残念っすけど、あーしにゃ止める権利はねーっす。でも、オウォッキャンに戻ってきた時はいつでもここを訪ねてもらって良いっすよ」

「ありがとう、キイヨ。ご安全に」

「ご安全に、ローレンスさんも、テタニさんも」

「ええ、またオウォッキャンに戻ってきたら顔を見せようと思います。ご安全に」

「ユゥさんにも、よろしくねー。ご安全に」


 ポータルをくぐり、スツケークの駅にゆく。

 次にオウォッキャンに来るのはいつになるだろう? そんなことを考えながら、私達は馬車に乗りこんだ。

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