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Ⅰ-27:スキルを検証しよう

 翌日。

 マナ切れの気怠さも抜け、気持ちのよい朝を迎えた。

 朝食に行く三人を見送り、今日も特訓をする。


 さて、昨日手に入れた{渦水流(アクアヴォーテクス)}の解析だ。

 この技能は水を扱うから、天井や壁を有効活用し、体を中空の箱状にする。この内側だけで実験すれば、外には響かないだろう。


 さて、{渦水流(アクアヴォーテクス)}は、任意の渦度、水量、流速、直径、焦点距離の円錐表面状の水の渦を任意の位置、方向に作り出すものらしい。

 最初に見た感想は、任意にできる項目が多すぎる、と言うことだ。自由度の高いのはいいんだけど、これ、完全に使いこなせるようになるまで時間がかかりそうだ。

 まぁ、気を取り直してやっていくしかない。

 渦度ってなんだよ、とかいろいろ気にもなるが、最も気になるのは水の渦という点。

 これ、昨日も感じたけど、水自体も魔力で生み出しているのではないだろうか?

 実際に各パラメータを適当――いや、直径、焦点距離、位置は箱の中で完結するようにしなきゃダメか――に設定して、渦を作る。

 どうやら推測は正しかったようだ。水は魔力で作ってる。

 次に、パラメータを変えてみる。例えば、流速をゼロにすると、完全に水が静止した。キモいなこれ。

 じゃあ焦点距離をゼロにすると? 渦は円盤状になった。多分無限にすると円柱状になるんじゃないかな、これ。

 次、直径をゼロ。ぐるぐる回る水の棒ができた。


 こうやって、いろいろ試していくうちになんとなくつかめてきた。

 面白いのが、この技能、{渦水流(アクアヴォーテクス)}なんて名前なのに、渦度をゼロにすればただの水の流れになる。いいのか、そんなんで……。

 あと、流速と渦度をきちんと設定しないと、渦がかってに動き出してしまう。そこは勝手に技能が渦自体が静止するように補正してくれるようなんだけど、わざと補正を外すことも可能だ。

 補正を外してできるのは水のドリル。うん、これは普通に攻撃にも使えるね。パラメータの設定ミスると真後ろに飛んでくるけど。

 また、渦度と直径をゼロにしてやれば、水鉄砲としても使える。なんだかめんどくさいけど器用なことができる技能だな、これ。

 習得でマナ切れ起こすのも分かるような気がする。


 そして、もう一つ気づいたことがある。

 この水の渦、壁の向こう側に作ることもできるのだ。

 実際に、壁の外……要するに、船の外に作れたんだから間違いない。

 ついでに≪水属性魔術≫による視覚情報獲得のトレーニングも忘れない。

 壁の向こうが見えるというのは、戦術上重要なものとなる可能性を秘めているのだから。


 午後には、おやつ(トレイニアの土)をむさぼりながら、{渦水流(アクアヴォーテクス)}と他のスキルや技能との組み合わせを試してみた。

 まずは{純音波放射}。これが案外うまくいかない。

 渦度と直径をゼロにしたときだけは、特定の周波数の音波を水の中に発すると、音波が水の中にこもったままになるのだが、肝心の一般化がうまくいかないのである。

 周波数が高いときにこの水の棒がヤバイ級の切断力を見せたため、ドリルでこれをやれば結構強い攻撃手段になるんじゃないかな、と考えたのだが、そんなに甘くはないようだ。

 次に、≪多次元収納≫。

 なんとこの収納、{渦水流(アクアヴォーテクス)}で作り出した渦をそのまましまえる事が判明した。

 もちろん、取り出せば元の渦がきちんと再現される。

 それだけではない。しまった渦を止めようと念じてから取り出せば、ただの水の塊となって出てきたのだ。

 そしてもう一つ。{渦水流(アクアヴォーテクス)}はあまり関係ないのだが、流れを見ることでしまった時と取り出した時の渦が全く同じことに気が付いた。

 これは何を意味するのか? つまり、≪多次元収納≫でしまったものには、基本的に時間的な変化が起きていないのである。

 じゃあ、なぜ渦を止めることができたのだろうか?

 仮説だけれども、意識すれば収納したものに時間的変化を起こすことが可能である、ということではないだろうか。

 つくづく不思議なスキルである。


 こうして、スキルや技能の研究をするだけで一日が過ぎてしまった。

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