次元の闇
レーラに続き、タクも赤い扉を抜けようとすると・・・。
ガツン!!
頭に衝撃が走った。
「い、ってぇ~!!」
タクは後ろを振り返ると、
ルル―シカが満足そうな顔をしていた。
「てっめぇ~、何で急に殴るんだぁ~!!」
「殴られて当然なことを、私に言うからよ」
「あん?何も言ってね~じゃね~かよ」
「言ったわ。私の胸がまっ平らで、梅干し二つが乗っているだけだって、はっきりと言った!!」
まさか、こいつ、
鏡に映っていた俺のニセモノに言われたことを、
真に受けているのか?
「いや、それは・・・」
「すごく傷ついたんだから、いくら嘘でも酷すぎるわ」
嘘ではないにしても、
よくわからなったので
「ごめん」
とタクはうかつにも謝ってしまった。
ルルーシカの悲しげな顔を見たくなかったからかもしれない。
「ははん、謝罪したわね。なら、殺してもいいってことよね。そうよね」
いや、意味が分かれね~よ。
なに、指をポキポキならしているんだよ。
いや~やめて!!!
タクはルルーシカの気のすむまで
ボコボコに殴られた。
扉を抜けると、崖に出た。
強い風がタクのからだを吹き抜けた。
もう死んでしまうかもしれん。
体中が悲鳴を上げているし、
もう、強風に耐えれるだけのライフポイントが俺にはない。
タクは崖下を覗くと、雲が広がっていた。
崖かよ。こわっ・・・
落ちたら、つぶれたトマトどころじゃないな。
こりゃあ、確実に死んでしまうな。
雲間から、月明りが射し、あたりを照らし出した。
雲海が黄色い光に照らされ、
うっとりするほど美しい光景が広がっていた。
「なんだ、あれ」
雲海を二つに裂くように流れている漆黒の川が、
タクの目に入る。
「あれは、次元の闇。ヘッドリッジ魔法学園の空間を閉じ込めている魔法障壁なの」
レーラが、タクの問いに答えた。
「止まってないで、さっさと歩きなさいよ。わぁっ!!」
風が吹き抜け、ルルーシカのスカートがめくれ上がった。
月の黄色い光に照らされ、ルルーシカのパンツは何色かはタクにはわからなかったが、
陰影を作った、パンツと太ももの食い込みが、
芸術的だ、とタクは思った。
ルルーシカに殴られたせいで、タクはどこかおかしくなっていた。
「ちょ、ちょっと、あんた、私のパンツに見とれていたんでしょ」
「見とれてね~よ。あんな汚いもの」
「き、汚いはずないでしょ。毎日ちゃんと変えているし」
それを毎日洗っているのは誰だよ、とタクは思った。
「あ、次元の闇が見えるわね。あれは、私たちがこの空間に閉じ込められている証拠みたいなものね。そんなことよりも、ほら、さっさと歩く」
タクは足元に気をつけながら、歩き続けた。
道幅は、数十センチしかない。
足を踏み外せば、死が確実の崖脇の道を歩きながらも、
不思議と恐怖はなかった。
綺麗だ。
タクは、どこまでも広がる雲海に美しさに見とれていた。
感動が恐怖を凌駕したと言うのだろうか。
後ろを歩くルル―シカは、危ない!!危なすぎる!!とぎゃあぎゃあ叫んでいた。
レーラは慣れた様子で黙々と歩いて行く。
「も、サブいよぉ~。太ももが凍ってしまいそう」
吹き付ける風は凍えるほど冷たかった。
スカートじゃあ~さすがにな。
それにしてもレーラはさぶくないのか?
レーラは寒さ感じていないのか、気にした様子もなく歩いて行く。
細い道の先に、洞窟が見えた。
「急ぎなさいよね。私のお肌に関わるんだから。こんなんじゃあ、皺取りホワイトドリンクを飲み続けてきた意味がなくなってしまうわ」
ルル―シカの言葉にせかされて、
3人は小走りで洞窟の中に入っていった。




